「…いい加減にしなって…」
「全くだよね〜」

佐助はにこにこしながらに同意した。

「でももうすぐ決着つきそうだね」
「…うーん、で、負けたほうがもう一回だ!!て言うんだよね…」
「…これ、数回目なんだね…」

うん、もうどうしようもないよねぇ〜と言って、佐助がポケットから小さい人形を取り出した。

「俺は暇だったからUFOキャッチャーしてた。はい、あげる」
「いいの?ありがとうー」
「そのかわりと言っちゃなんだけど」
「?」
は人形を受け取り、佐助を見上げた。

「一緒に買い物行かない?夕飯の買出し。」
「あ、いいよ!!」

やった、と言って、じゃあ行こうと肩を叩かれた。
幸村さんに言わなくていいの?と聞くと、いつものことだし、という返事がかえってきた。






近くのスーパーに来ると、佐助が買い物かごをすぐに手に取った。

「…佐助」
「ん?」
「似合うね」
「何が!?」

そりゃよく来てるけどさあ…と呟き、佐助は頭を掻いた。

「褒め言葉だよ、佐助。何買うの?」
「んー、卵と肉と、あと…野菜も何か欲しいかな〜」
「じゃあ私先に卵取って来ようか」
「あ、ちょっと待ってよ。一緒に歩こうよー。少しはデート気分にさせてー」

佐助がの腕を引いて、自分のすぐ横に立たせた。

「…怪しくないですか。制服でスーパーって…」
「怪しいって素敵じゃない?勘違いする奴はさせとけばいい」
佐助は楽しそうに笑った。
は、佐助がいいならいっか、とそのまま隣を歩く事にした。

、どうせなら一緒に食う?」
「いいの?」
「いいよ。何がいい?」
「そうだなー…幸村さんは何が好きかなー…」
「旦那は何でも食うよ。あ、カレーなら結構もつからな…カレーでもいい?」
「大好き!!」
「よし!!」

佐助がニンジンやじゃがいもを選んでかごに入れる姿をは眺めた。
本当に似合うぜ…!!と思っていた。

「さて、じゃあ次は肉…アレ?」
佐助がの方に顔を向けたが、視線はには向かず、一点を見つめて止まった。

「?…あ」
もその方向を見ると、佐助に負けないくらい買い物かごが似合う人間がいた。

「小十郎さん」
「片倉さん、お買い物?」
「…ん?おお、お前らもか?」

牛蒡を見つめていた小十郎は、ゆっくりたちの方を振り向いた。

「なんだお前ら、そんなにくっついて。ああ、のボランティアか」
「そそそそんなに寂しく見えるんですかね俺は!?」
小十郎にはが佐助にくっついてやってる、ように見えたようだ。

「…一応、お前らに忠告しておくが…」
小十郎の声が低くなった。
と佐助はなんだ…!?と少し警戒し、小十郎の言葉を待った。

「ここの牛蒡はあまり良くない…牛蒡が要り様な場合、ウチに来い。分けてやろう。」

あまり要らない情報だった。

「では、俺は夕食の支度が途中なんでな」

小十郎は手をひらひらさせて、じゃあな、と言ってすぐに行ってしまった。

「片倉さん…ちょっとタチ悪いね…」
「自分の牛蒡が天下一品なの知ってて品定めしてたよね…」

あんな大人にはなるまい…と思って佐助たちは買い物を続けた。
清算を終えて袋に詰めていると、は、私も持つからね!!と何度も言うので、佐助は荷物を二つに分けて軽いほうの袋を持たせて家に向かった。






「たっだいまー」
「誰か居るの?」
「誰も居ないけど何となく。」
アパートにお邪魔すると、中は少し汚かった。

「…ゴミ…ちゃんと出さないと…」
「旦那はどうも散らかしちゃってねー」

佐助は早速キッチンに向かい、買ってきたものを出した。

「私掃除していい?」
「すっげえ助かる」
「じゃあゴミだけまとめちゃうね」
佐助は夕食の準備をし、は紙くずや広げられっぱなしの雑誌を片付け始めた。

置いてあるテーブルの上も綺麗にしていると、佐助が顔を出した。
「お、さっすが。綺麗になってきたね〜」
「ありがとう。そっちは順調?」
「あとはルー溶かして、煮込んで終わり。」
「早いなあ…さっすが!!」
「ありがとね〜」

でもちょっと、と言って、佐助はトイレに向かった。

「あ、佐助〜…


私がカレーの続きやっちゃうよ。


お皿出しちゃっていい?        」