「私がカレーの続きやっちゃうよ。」
「いいの?じゃあお願い!!」

特にこだわりがないなら私にも出来る。
鍋の前に立って、気合を入れて腕まくりをした。

「んじゃ、入れちゃお」

どんどんカレーの良い匂いがしてくるのがたまらない。
はお腹が鳴りそうになった。

ルーも溶かし終わり、ぐつぐつしている鍋をゆっくりかき回した。
は周囲をきょろきょろ見回した。

「…なんだか、いろんな調味料が置いてあるなあ…」
イタリアンから中華のものまで多彩だ。
佐助に今度料理を教えてもらおうかな〜とぼーっとしていると、鍋の裏に何かが見えた。
ガス台と壁の間にも何か調味料が置いてある。

「片付けるの忘れたのかな…」
手を伸ばし、掴んで取ろうとすると、少し鍋に触ってしまった。
「あつっ…!!!!」
?」

丁度佐助が戻ってきて、の元に駆け寄った。

「どうした?はねた?」
「うーあー…いや、ちょっと鍋に触った…」
「うわ、はいはい、冷やして冷やして…」
佐助は火を消して、水道の蛇口を捻った。
は先ほど取った調味料を持ち替えて、患部を水に冷やした。

「あ、もしかしてそれ取ろうとして?」
「あ、うん。コショウ?」
「ごめん、ウチそういうの無駄にあるから、何をどこに置いたかたまに忘れるんだよね」
から受け取って、棚にしまった。

「赤くなっちゃったね…水疱できたらごめんね」
「私がうっかりしてたんだし…」
「いーや、うちでの怪我はうちのせい。」

佐助が冷凍庫を開け、コールドパックを取り出した。

「もう少し冷やしたらこっち来て」
そういってリビングに向かった。
「ごめんね佐助〜」
「いーえ」

もういいか、と思い、水を止めて佐助の元へ行くと、コールドパックをタオルにくるんでいた。
は佐助の隣に座り、受け取ろうとすると、佐助が俺がやる、と言ってくれた。

「ありがとう。」
は手を差し出した。
患部に当てて、ちょっと大袈裟だけど、と包帯を簡単に巻いてくれた。

「カレー作りで怪我ってどんだけ私馬鹿なんだろ…はあ…」
は頭をがくりと垂らし、ため息をついた。

「ドジなくらいが可愛いってね」
佐助は胡坐をかきながら笑った。

「いーや、お世辞はいりません。料理はささっとこなす女になりたいんですー。男受けなんて気にしてませんー。」
は唇をとがらせ、いじけてみた。
「まじかよ初耳ィ〜。ったら俺様にアピールしてんのかと思ったよ〜。」
佐助はにやにや笑った。

「…こんなアピールの仕方があるか」
「あるって。どーしよーもない女ならな。」
「アピールしてる女の子にどーしよーもないって…」
は佐助はモテるんだろうなーと思った。
女の子の攻撃に困ってる通り越して疲れてるに違いない。

は天然ってわかってるし」
「え?」
「…だから素直に可愛いって思えるよ」
「………」

あれ、何この雰囲気?

「佐助…」
「もし…今日旦那は帰ってこない、って言ったらどうする…?」
「カレー食う」
「あっはっは、だよねえ〜」
佐助はの肩に手を回した。

「さ、さすっ…」
「俺…がいい…ほっとする…」
ほらやっぱり疲れてる!!!!!!!!!

佐助の顔がどんどん近づいてきた。
「さ、佐助…!!まっ…」
「帰ったぞ佐助!!!俺、政宗殿に勝ったのだ!!」
ばたーんとドアが開く音がした。

「「………」」
「そのあと騒いでいたら元就殿に見つかり、怒られてしまって遅れてしまった!!すまぬ!!」

佐助はから離れ、は再びがっくり項垂れた。

「旦那!!お帰り!!」
「ベタだよねええええええええええ〜!!!!!!!!!!!」
「あ、もいらっしゃったのか!!」

気を取り直して、三人でカレーを食べ、は帰宅する事に。

駅まで佐助が送ってくれると言うので、お願いする事にした。

「火傷、大丈夫?」
「うん、軽いみたい。」
「ならよかった」

佐助がの手を取った。

「そのうち…続きするから」
「…へ」
「心の準備、しといてね」
「………」

の顔が真っ赤になったので、佐助はあははは!!可愛いなあー!!と笑った。



















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佐助END
普通なのは(普通か?)長編や短編での扱いが酷いからという悲劇