は今日はいつきに会いに、朝から小太郎と農村へ行ってしまった。

はまだ帰らねぇのか〜…?」

政宗は政務に飽きて、の淹れた茶が無いとやる気が出ねぇとか言い出していた。

「政宗様、が帰ったらたくさん遊べるように、今仕事を片付けてしまってください…」
「Hey、小十郎…俺は今やる気がねぇよ…今遊びてえんだよ…」
「…全く、仕方の無い…しかしそろそろ帰るはず…」

とすとすとすと足音が聞こえてきた。

「…誰の足音だ?」
「見て参ります」

小十郎が障子を開けて外を窺うと

「あぁ、小太郎帰ったのか…」

そう言う小十郎の声に反応し、政宗も外に出ようとしたら

「…政宗様…」
「どうした?、帰ったんだろ?」

障子を開けた体制のまま微動だにしない小十郎に疑問を感じつつも、政宗は外へ出た。

!!茶を淹れろや!俺に…」


帰って来るなり何よ―!!という声が聞こえるはずだった。

政宗も硬直した。

小太郎がそっくりの子供と手をつないで歩いていたのだ。


「政宗様っ…あれ!?が北に向かったのは何年前の今日でしたっけ!?あれ?子供を産むため北へ…!?あれ?向こうで妊娠した…?を汚した奴ぁどいつだ!!今すぐ前出ろ、前だっ!!」
「おおおお落ち着けって小十郎…!!あれは…そっくりさんだ!!小太郎が間違えて連れてきたんだ!!おいガキ!!お家に帰んな!!」
「……おうち、ここなの…」


声そっくりそして家がここですか―!?


女の子は恥ずかしそうにぼそぼそと喋ると、小太郎にぎゅっとしがみついた。

「まままままさか小太郎…お前じゃないよな…父親じゃないよな…」

小太郎が女の子を抱っこした。

そして政宗に近付くと、文を渡した。

政宗は開くのがすごい怖かったが、勇気を出して読んでみた。



『あおいおさむらいさんへ
にすまないことしちまっただ…。
おらの知らないところで、“ちゃんをを幼子にしよう計画”なるものが農民の間で進行されてただ…。
なんでも、若返りの薬を開発したらしく、おらが厠へ行った隙にに飲ませちまったみてぇで、がちっちゃくなっちまっただ!
うちの農民はろりこん、って奴が多くて、を巻き混じまっただよ…。
お仕置はいっぱいしたけ、許してけろ…。
そのうち戻ると思うだよ!!
いつき』



うわああああの農村潰せば良かったぜえぇぇぇぇ!!
「政宗様あああああ!!」
政宗が文を思い切り破いた。

「俺にロリの趣味はねぇんだよ!!どうせなら巨乳とか猫耳とか裸エプロンにしろやあぁぁぁぁ!!」
「聞きたくないです政宗様やめてください―!!!」

小十郎は泣きながら耳を塞いだ。
そんな二人を気にする事なく、小太郎はを抱っこしながら、小十郎の肩を叩いた。

「なんだ…?小太郎…」

小太郎を見れば必然的にも見える。

「……」

ちっちゃい

「だぁれ?」
「…判らないのか」
小太郎はこくんとうなづいた。

「片倉小十郎だ」
「こじゅ―ろ―おにいちゃん」

がにっこり笑った。

「……」

太っている訳では無いのに、柔らかそうでぷにっとした頬が可愛い…

「小太郎…抱っこしていいか?」
こくり

を受け取ると、凄く軽かった。

「…」

小十郎は政宗の幼少時代を思い出した。


…素直な子供は可愛い!!


何か嫌な事を思いだしたようです。
小十郎はの大人しさと可愛さに感動しました。

「あちらは政宗お兄ちゃんだぞ」
「まさむねおにいちゃん」
「な、なんだよ…」
「なんだよ、ではなく自己紹介してください、政宗様」

小十郎が政宗にを抱かせた。

は困った顔をする政宗の顔を覗きながら少しおろおろしていた。

政宗のを抱く手がぎこちないから余計だ。

「政宗様」
「お、俺は奥州筆頭伊達政宗だ」
「お―しゅ―…ひとぉ」
「政宗様、名前だけでいいんですよ」
「伊達政宗だ」
「まさむねおにいちゃん」

は安心したようで、にっこり顔を綻ばせた。


「可愛いでしょう?政宗様」
「…俺は伊達政宗で…」

政宗はじっとを見つめっ放しだ。

「…お前と将来を約束しあったフィアンセ「政宗様あああ!!!」
「何、何の騒ぎ?」

成実が小十郎の叫び声に驚いて、鍛練中だったであろう格好で現われた。

「えっ…え―!?うっそだぁ!!いつのまに産んでたんだよ…!?あれ?でもそっくり…ちゃんそっくり…殿の遺伝がない…!!殿の甲斐性なしいぃぃぃ!!」
「成実てめぇそこに座れぇぇぇぇ!!!!」
「ぎゃあああまさむねおにいちゃんこわあ!!こわっっ!!」

「……」
いい反応する辺り、ああ、やはりの幼少期なのだなあと小十郎は思った。




事情を知った成実は、を抱っこしたいと言い出した。

「可愛い可愛い!!抱っこしたい!!」
「落とすんじゃねえぞ!?」
「そんなヘマしないし!!ちゃん!!成実お兄ちゃんだよ〜!!汗臭いかな?ごめんね?」
「しげざねおにいちゃん!!くさくないよ!かっこいい」
「かーわーいーいー!!おっきくなったら結婚しようねー!!」
「けっこんー?うん!!」
「成実ええええええええ!!!!!」

政宗がを取り返しに、成実に迫った。

「大変だちゃん!!駆け落ちしよう!!継母が反対している!!」
「ままははー?かけおちってなにー?」
「成実えええ!!んな言葉教えるなー!!」

小十郎は、ちょっとひらめいた。

「では、成実様がの兄で、政宗様が父親と言うことで」

政宗と成実がぴたっと止まった。

「片倉殿?」
「Ah…?なんだ?ままごとでも始めるのか?」
「ええ、戻るまで、やりませんか?」

政宗がを抱き上げて、優しく話しかけた。

「おい、今から俺が父親になってもいいか?」
「まさむね、おじちゃんじゃないよ?」
「おじちゃんでなくてもお父さんになれるんだぞ?」
「そうなの…?じゃあまさむねおとうさん!!パパ!!」
「…Ha!!OK!!」

政宗はを抱っこしたまま外に出た。

「ようし、俺が散歩に付き合ってやろう」
「おさんぽ!!パパ、あっち!!おはなきれい!!」

「「「……」」」
残った三人はぽかんとした。

「こ、効果ありすぎだ…」
「片倉殿、目的は?」
「いや、子だと思えば、政宗様も父性が芽生えて少しは落ち着くかと…」
「…じゃあ、俺もお兄ちゃんになって少しは落ち着くか…。妹を守ろう。片倉殿もしっかり母になれよ」
「…え!?俺が母親ですか!?」
小太郎が、それは適任だといわんばかりに首をこくこく縦に振った。




「小十郎、が腹減ったって」
「のどもかわいたー」
「…はいはい」

政宗はと手を繋いで庭をしばらくうろうろしていたが、縁側でその姿を眺める小十郎の元にやってきた。

「では、自室でお待ちください」
「判った。、散歩は終わりだ」
「うん」
が目を擦った。

「眠いか?」
「ねむくないもん…まだあそぶ…」
「…そうか…、俺は眠い。おやつを食べたら昼寝に付き合ってくれないか?」
「そなの?うん、わかった。おひるねするー」

政宗様あああああああああああ!!!!!

小十郎は感動した。

政宗様が、あんな、あんな配慮を…!!

小十郎はその場で崩れ落ちた。

「こ、小十郎?」
「こじゅーろー?」
、小十郎はママだ」
「ママー」
「だだだだだ大丈夫です、俺に構わず自室へ…」
「そうかあ?んじゃ、待ってるぜ」
「まってるー」

小十郎は匍匐前進をしながら廊下を進んだ。




小十郎が茶と菓子を持って政宗の部屋に行くと、成実も一緒に遊んでいた。

ちゃん、えっと、四葉のくろーばー?見つけたんだ。あげるよー」
「しげざねおにいちゃんありがとー!おまもりにするーしおりにするー」

成実様それ探してきたんですか!?
ななななんて微笑ましい…!!

、強くていい女になれよ」
いやいやいやいやいや、の成長した姿知ってるでしょう!?

「いいおんなになるー。おおきくなったらおよめさんになりたい」
「だ、だめだ。俺が認めたやつじゃなきゃダメだからな!!」
「まさむねパパみたいなひとみつけるの」
「いい心がけだな!」

えええ何これはまりすぎですけど!?

小十郎は障子を開けるのが怖かった。

「片倉ママ?どうして入ってこないんだ?」
「…すいません…」

気配を隠してなかったので、逃げる事など出来ないのだが。


お茶をにも小さい湯のみで持ってきたのだが、まだ熱いのが気になった。

、お茶、ふーふーして飲むんだぞ」
「ふー、ふー」
「小十郎、やってやれよ」
「え」
「片倉ママーやってやれよー」
「だいじょうぶだよ、できるもん」
「…、貸してくれ。お手本を見せてあげよう」

こうやるんだぞーといいながら、程よい熱さになるまで冷ましてあげた。
に再び渡すと、は2、3回息を吹きかけて飲み始めた。

「あつくない。おいしい」
「そうか、よくできたな」
「うん!!」

…やばい、可愛い。

小十郎は政宗と成実の気持ちが凄い判った。


「饅頭か…」
政宗は小十郎が持ってきた1つの饅頭を小さく4つに分けた。

、あーん」
「あーん」
「ah?これでも大きかったか?食えるか?」
「もぐ。」
「はは、食欲はいいな!良い事だぜ!!」

「……」
政宗様めろめろですね…



は満腹になった後、ぐっすり眠ってしまった。

「ほっぺたに食べかすつけて…幸せそうにしやがって…」
「可愛いですね」
「…まーな」
政宗が指で食べかすを取って、自分の口に運んだ。
の横に肘をついて寝転んで、すうすう寝息を立てるをじっと見つめた。

「…気が知れねえな」
「政宗様?」
「小さい餓鬼をよ…ましてや、自分の…」
「……」
「…殿」

「…が起きたら、風呂に入れてやっかぁ〜」
「それはダメです」
「え」

タオルを巻いてあげても、動き回って全裸になってしまいますから

餓鬼に突っ込む趣味はねえんだけど!?

…殿、突っ込む言うな



「む…むう…」
が身じろぎをした。

「起きたか?、あんまり寝たら夜眠れなくなるからな…そろそろ起きな」

政宗が起き上がって胡坐をかき、を抱っこした。

「うん…」
「あんまり目を擦るんじゃない」
「ごめんなさい」
「…やったら聞き分けがいいな」
「……」

が天井の一点を見つめた。

「…どうした?」

忍が居る気配も無い。

「小太郎」
こくり

小太郎が天井裏を回って調べるが、何もない。

、どうした?」
「……いたそう…」

…え

「何が?ちゃん?」
「ななななんか聞くの怖いんだけど?」
「あそこにね、まっかな」


ぼふっっっ!!!!!!!!!


「「「………」」」

「……あれ?っっ…わあああああ!!!!!!!」
が戻ってしまった。
そして目の前に政宗が居て驚いていた。

!!」
「え!?」
政宗がの頭をがしりとつかんで、天井を向かせた。

「何が見える!?」
「…何も?」
「ちっちゃいは何か見えてたぞ!?」
「ち、ちっちゃい?」

記憶は無いようだ。

ちゃん!!もしかしてお化けとかさあ…!!見えない!?」
「すいません…いや、幼い頃は今より強くて…」
「小十郎!!いつきのとこから、若返りの薬大量に買い取れ!!」
「落ち着いてください政宗様、僧を呼んでお祓いをしてもらえばよい事…」

小十郎はそう言いながらお茶を饅頭に注いでいた。

「お前が落ち着け!!」
「ええと、何が起こってるの?大丈夫だよ、幽霊はそんなに悪いのばかりじゃないし」
「余裕ぶるな!!怖いもんは怖いんだぞ!?」
「えー…」


はとにかく訳が判らなかったが、手に持っていた四葉のクローバーを見て、なんだか幸せな気持ちになった。


「えへへ…まあいっか」


政宗さんたちは騒いでるけど
なんか幸せな時間を共にした気がする。




「あ、そうそう、
「なに?政宗さん」
「当分嫁にはださねえからなっっ…!!」
「……」

政宗が歯軋りをしながらを威嚇した。

「……」

まあよくなかった…










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初の幼児化です…!!
小太郎がいるうち設定ですいません…!!
やっばいすっごい楽しかったです…!!
5歳目標でしたが、すごい幼くなってしまいました…

掌乃様、ゆう様、リクありがとうございました!!

こんなのでよかったのかは不明。