「ここが武田道場?」
「うむ!!お館様が建設されたのだ!!立派でござろう!!」
「すごーい!!信玄様多才ね〜!!」

幸村と佐助から漢祭りの話を聞いたは、道場を見たいと言い出し、幸村に案内を受けていた。

「ここで戦ったの?」
「うむ!!佐助の友人が出てきて、なかなか腕のある者だった…!!」
「へえ〜、佐助のお友達…」

その二人を仮面を被った佐助がこっそり覗いていた。

「…だーんなぁー…二人きりだよ?いくら道場っても二人の空間…そんなお館様自慢とか俺のこととか別にいいでしょ〜…」

本当に真面目に道場や祭りの説明をする幸村に、佐助はため息をついた。

「もっと自分のこと喋ってに好きになってもらいなよってね…。もー、仕方ないなあ…。」

佐助はパチンと指を鳴らした。
すると、おおおおと男の雄たけびが二人を襲う。

「な、なにごと!?」
「えええ何々!!幸村さん!!今から何か始まるの?」
「判らぬ…!!!!某の側から離れぬよう!!」

「お、いいじゃんいいじゃん…」

の腕を掴み、自分の方へ少々強引に引き寄せる幸村を見て小さく拍手をする。

「じゃあ行きますよ…100人組み手改!!!!」
「なっ…!!」

幸村とを100人の武田家臣が囲んだ。
なぜか髪型はリーゼントやセンター分けばかりだ。

「皆どうしたのだ!?まさか伊達軍に寝返りを…!?」
「お…お嬢ちゃんかわいいでござるなあ〜」
「我々と遊んだほうが楽しいのではないか?」
「幸村様よりわしらの方が空気が読めますぞ?」
「…皆さんどうしたんですか?ナンパ?」

「さあ旦那…絡まれるをかっこよく守るんだ!!」

元々武田の武将は皆真面目なので見るからに無理をしていた。
けど佐助は見なかったことにしてぐっっと拳を握った。

「どういうことだ!?」
「幸村様に殿は渡さぬということです!!我々が頂まする!!」
「さあ納得できぬならば我々を倒しなされ!!!」
「う…うおおおおお!!!そのような理に反する事見過ごすわけにはいかぬ!!は某が守るでござる!!!」

「その意気だ!!!!さあ旦那を本気にさせちゃいな!!」

が酷く困惑しているのを気にせず、佐助は影からエールを送った。

「…とりあえず、こういうのが漢祭りなのね…?」
は大人しく隅で傍観することにした。

「………。」
しかし、自分を守ると宣言し、美しく槍を振り回す幸村は正直かっこいいと思っていた。

そして倒される兵達も、いい汗をかきながら幸村の成長を感じ、イイ顔で倒れていく。

「…拳と拳でぶつかり合う男の友情…みたいな?カッコいい…!!!」

佐助の希望とは別のかっこよさを感じてきていた。

そしてあっという間に100人は倒され、立っているのは幸村だけとなった。
息が若干上がっている。

「幸村さん、大丈夫?」
「おおっと…」

幸村のもとに駆け寄ろうとしたの前に、一人の細身の男が立ちふさがった。

「流石、流石…。さあ、次のお相手は俺様だよ…」
「そなたは天狐仮面…!!」
「わっ…!!」

天狐仮面は後方に手を伸ばし、を無理やり引き寄せた。
そして見せ付けるように屈んで顔を近づけた。

「さ、佐助のご友人…!!の事を知って…!?」
「すっごい可愛いって聞いてたよ…。本当に可愛いねえ〜、びっくりしちゃった。んじゃ、この子巡って戦おうね。」
「そんな…の意見を無視しそのような…」
「本音は?」

口元を上げ、余裕を見せる天孤仮面に、幸村はたじろいだ。

が人のものになるなど某は望まぬ!!某が勝つ!!!」
「そうこなくっちゃね…!!」

佐助はから手を離し、振り向き、手を数回振った。
は自分の正体をもちろん知っているだろうから、自分がこのようなことをする意味も判るだろうと感じ、この馬鹿騒ぎも許してね、のジェスチャーだった。
幸村に向かっていく佐助の頭には、もう、仕方ないなあ〜、と苦笑いを浮かべるの姿が想像されていた。

「佐助の友人さん…服も一緒なんて仲良しだなあ…。」

戦大好き伊達軍にいるは感覚が麻痺し、自分を巡って、というのは単に天孤仮面が幸村の強さに魅かれ、戦う理由を無理やりつけたのだろうと思っていた。
そして本当に佐助の友人だと思っていた。


「ねぇねぇ、あの子の事どう思ってるの?」

が、やんちゃな二人だなあ、とにこにこしながら見ていることには気づかず、佐助は幸村に話しかける。
にやにやと笑いを浮かべ、幸村に手裏剣を投げつけながら。

「どう…とは…」
幸村は手裏剣を槍で弾きながら、天孤仮面に接近する。

「ここ連れて来て、二人きりで…さっきまでは緊張してた?」
「緊張などせぬ!!は気心知れた友…!!」

戻ってくる手裏剣をすぐにキャッチし、ガードを取り、幸村が振り下ろす槍を受け止める。

「友達ねえ…。…んで?最奥まで行ったら…手ぇ出す気だったの…?」
「なっ…!!そ、そんなこと…そんな破廉恥な事某は一切…」
「一切ィィィ?」
それはそれで問題だよと佐助は頭を抱える。

「もうちょい女の子の事教えたほうがイイって、佐助に伝えとくよ。ちゃんは待ってるのかもよ?」
「ま…待ってる?」
「旦那が、触れてくれるのを。」
「!!!!!」

ぼっと幸村の顔が赤くなったのを確認すると、後方に飛んで距離を置く。

「それとも、ちゃんに、言わせたいのかな?」
「い…言わせ…でもっ…」
「だからぁ…「佐助ぇこの馬鹿者がっ!!

足音よりも先に叫び声が聞こえ、その後、道場に向かってドドドドド と地鳴りがした。

「えっ…大将…!?」
うおおおおおおおらぁぁぁぁ!!
ぎゃあああ!!

信玄は道場の中に怒涛の勢いで突進し、そのまま佐助にぶつかっていった。
吹っ飛ばされた佐助は上手い事門に激突し、武田式開門を成し遂げた。

「信玄様?」
「お館様?」
「おおおおおおおおおおおお!!!!」

幸村とにはあまり反応せず、そのまま門へと一直線に走り去る。

「何をしとるか佐助ぇ!!」

倒れている佐助の側で止まり、腕を組んで仁王立ちをした。

「む…無断で道場使ってすいませ…」
「違う!!」

佐助の謝罪は切り捨てられ、ぽかんと口を開けてしまった。

「男なら…正々堂々幸村と戦いを奪ってみせよ!!」
「…へ?」

信玄は
佐助が幸村に嫉妬してこのようなことを起こしてると勘違いしていた。

「変装して幸村の思いを揺さぶるとは何事か!!仮面を取り、幸村に己の思いをぶつけるがよい!!!」
「え、あの、大将?熱いですね…」
「ふんぬう!!」
「うわ!!」

佐助の面を無理やり剥ぎ取ると、佐助の襟を掴み、勢いよく道場へ投げ飛ばした。

「えええええええ!?」
「あ、佐助ー」
「む、佐助?どこにいたのだ?」
「え、いやあそのっ…!!や、やあ〜、元気かなあお二人さん?」

本気でそう聞いたわけでもないのに、某は元気でござる!!、や、私も元気だよ!!と返してくれる二人が微笑ましい。
しかし背後からの信玄の殺気が、佐助に和ませる時間を与えなかった。

「だ、旦那…ごめん…」
「む?」
「た、戦わなくちゃいけないんだ…俺達…」
「何ィ佐助!?それは何ゆえ…」
「えと…の…」

自身はアドリブはきくほうだと思っていたが、今佐助の脳には1つの言葉しか浮かばなかった。

「その…」
「構わぬ佐助!!申してみよ!!」
と…」
「私と?」

佐助はぐっと手裏剣を握り、意を決した。

「今日のおやつのお団子、あーんして食べさせてもらう権利を巡って!!!」
「よく言ったぞ佐助ええええええええ!!!!!!」
「ええ!?」

絶対信玄にダメ出しされると思い、言うと同時に幸村に向かって踏み込んだが、予想外の返答に反応してしまった。

「そういうことなら負けられぬ!!!」
「なんでこういうことなら負けられないの!?」

「私でよかったら二人にするよー?」
ー!!!」
「でも戦ってる姿見たいから頑張って二人ともー」
ーーーー!!!!!」
「行くぞ佐助えええ!!!」
「あーもーはいはい手加減してよー!?」

もう佐助は諦め、稽古同じ感覚で幸村に攻撃しようとしたが

と団子を食べるのは某でござるあああああ!!!
「いっ!?」

幸村の熱気が異常なので、無理やり本気を出さねばいけなくなり、佐助は泣きたくなってきた。


「…うむ、。」
「何でしょうか、信玄様?」
「わしが勝ったらわしにあーんをしてくれるのかの?」
「あ、私でよろしければ。」
「…うむ…」

「うむ、じゃない大将ー!!!!ちょっとおお武器持たないでー!!!寄ってこないでよー!!!!!!」















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武田家の日常(漢祭)的なノリのもので天狐仮面を可哀想な目に遭わせる、というリクを頂きました!!
日常は…素晴らしすぎるお話でしたのでなかなか難しいですがと、とりあえず…
こ、このようなものですいませ…!!
でも武田家書けて嬉しかったです!!
リクありがとうございましたー!!!