「どうしてそんなになってまで戦うの…!?」

は、ぎゅっと自らの拳を握り締めた。

爪が食い込むほどに


「なんでそんな…なんでそんなに、苦しそうな顔、してまで…」


には、理解出来ない。


「もうやめてよ…!!」











時はその日の早朝に遡る。


政宗が政務をこなしていると、が政宗の部屋の障子を少し開けて、顔を出した。


「何だ?」

「政宗さん…にぎやかなの好きだよね…」

「……」


何かあったなこいつ…


「回りくどいことするな。なんだよ?」

「…お客様、来ても良い?」

「誰だかはっきり言え」

「えぇと…」

うーんうーんと考えた後

「あっ!!」

いい言葉がひらめいたようで

「秀吉さん!!」
「半兵衛か…」

んな言葉で誤魔化されるか。

「何で」
「…近くまで来たからって…」

ってゆーか秀吉っておい…

「…政宗様への書簡は無かった。政宗様…文句の一つ言ったところで、何も問題は無いでしょう」

小十郎が書類の確認をしながら、声を低くして言った。

「来ねぇのが一番いい」
「でも…政宗さん…」
「仲良しごっこをするつもりはない」
「でも…」
!!駄目なものは駄目だ!!断れ!!」

「……もう来てるんですよ」
「仲良しごっこはこちらからも願い下げだな、政宗君」
「うむ!!」

ひょこっと、の背後から半兵衛と秀吉が顔を出した。


え―…

そんな顔してちょっと可愛い行動しないでくれるかな…


…黙ってたのか?」
「さっきお手紙来て、さっき秀吉さんと半兵衛さん来た」
「…お前らな…」
「困ってるんだからいいじゃないか」
「うむ!!」

部屋の中に入って来て、秀吉と半兵衛が座り込んだ。

「…散歩してたら道に迷って」
「半兵衛お前いつからそんなに嘘が下手になった!?逆に対応しにくい!!あ、何!?そういう作戦!?」
「うむ!!」
「秀吉が返事しちゃったよ!!」

政宗が立ち上がり、半兵衛の目の前に来ると、胸倉を掴みあげた。

「政宗君、止めないか」
「てめえに言えた義理かよ?真実が言えねえなら出て行け」
「…君の前だ。」
「なっ!!」

半兵衛からそんな言葉が出るとは。

ちらりとを見ると、本当に困った顔しておろおろしていた。

「政宗様」
「・・・ああ」

手を離せば、は安堵したように大きく息を吐いた。


…半兵衛の

への優しさは、疑ったほうが良い

利用するにはちょうど良い位置に居るからな…こいつは



「じゃあ、一日、お世話になるよ」
「…待て。その前に」

政宗がにやりと笑い

「俺と勝負しな」

本気の目を向けた。

「…勝負?」
「ま、政宗さん…!!」
「何も刀で勝負とは言ってねえだろう。タダで泊まらせんのが嫌なだけだ」
「…いいだろう。勝てば、泊まらせてくれるんだろう?」
「ああ」
「秀吉、構わないね?」
「うむ!!」
「…君も、流血沙汰にはならないから、安心してくれ」
「…半兵衛さん」
「うむ!!」

ここでは、勝負よりも

「…秀吉さん、さっきから"うむ!!"しか言ってませんね…」

そんなことが気になった。

「さて、勝負の内容だが…」
「政宗様」
「ah?」
「…この小十郎に、案がございます。」












―そして、勝負が始まり、現在に至る。


「うっ…」
「…政宗君…辛そうだね」
「Ha!!てめえこそ、顔色がさらに悪くなってんぜ?」

小十郎も秀吉も、ただ見守っていた。

「こ、小十郎さん…!!もう止めようよ…!!」

は隣で静かに正座している小十郎の袖を掴んで引っ張った。

「…駄目だ。、待つんだ。もうすぐ、決着がつく…」
「…み、見たくないよ…政宗さんも…半兵衛さんも…どっちも…負ける姿なんて…それに…勝ったって…もしかしたら…」
「……」

肥えちゃった政宗さんと半兵衛さんなんて見たくないー!!!!!!!!!!

勝負は

大食い勝負でした。

「もう一杯!!」
「僕もだ!!」

二人ともすごい勢いで食べてますが

勢いだけで、まだ3杯目です。

ちなみにメニューは、小十郎さんの野菜炒め丼やら、元親から頂いたマグロのづけ丼とか、美味しそうなのばかりです。

「政宗様はそんなに食べるほうではないからな。」
「半兵衛も、腹は強いほうではないな。」

つまり、そんなに時間がかからない勝負を提案ですか。

「ででででも、いつもより食べるって事は、あの、カロリーオーバーで…ふ、太るかもですよ?基礎代謝高そうですが…」
、心配はいらねえ…」
「政宗さん…」

口元に米粒ついてますよ…

「太ったって、ちいと体動かせば元に戻るってんだ…。それに、もし俺が太ったって、お前は変わらず傍に居てくれるだろ…?」

…口元に米粒つけたままそんなこと言われても…

「……………ええと」

「迷うところじゃねえだろうがあああああ!!!!!!」


政宗が叫んだと同時に、カチャンと音がした。

「うっっ…」
「半兵衛!!」
「半兵衛さん…!!」

半兵衛が箸を膳の上に落とした。

苦しそうに、口とお腹を押さえていた。

「…ふっ…。どうやらここまでのようだな…」

倒れ掛かったのを、秀吉が大きな手で半兵衛の体を支えた。

「…僕が、こんなところで…。ふふ、君たちの愛にやられたのかな…」
「半兵衛さん…(え、何か幻を見てない?大丈夫?そんな急に無理やり理由付けしなくても…)」
「判ってんじゃねえか、半兵衛…」
「…む、むう、我にはそのようには見えなかったぞ…?」
「…秀吉さんが、正しいですよ」

が半兵衛のお腹を擦ってあげた。

頑張って食べてた割には、全く膨れていない。


「あ!!!!てめえ!!浮気か!!」

政宗が勢いよく立ち上がると、ぐらりと政宗の体が揺れた。

「政宗様!!」

こちらは小十郎が支えた。

「Shit…!!どうやら…熱くなっちまったようだな…」
「政宗様…」
「政宗さん…」

…今の政宗に、あまりかっこよさげな台詞を吐いて欲しくない二人でした。


「…
「はい?」

小十郎がさりげなく政宗の耳を塞ぎ、小声になった。

の隣だ」
「はーい」

言われたとおり、半兵衛を抱えた秀吉を、の隣の部屋に案内した。

政宗は食べすぎで気持ち悪くて、ぼーっと天井を見上げていた。

「…小十郎」
「はい」
「…俺、勝ったよな?」
「はい」
「…何か敗北感がある…」
「…気のせいでしょう」









はシャッと襖を開けた。

「ここで休んでくださいー。あ、布団敷いてある」
「うむ、かたじけない」

半兵衛を布団に横たえると、秀吉はに向き直った。

「すまなかったな」
「…いいえ。こちらこそ政宗さんがすいません」
「半兵衛はいつもは冷静なのだが…」

はあ、と大きくため息を吐く秀吉に、は親近感を覚えた。

「はは、でも、騒ぐ半兵衛さんも好きでしょう?秀吉さん」
「うむ!!」

素直な秀吉に、はきゅんとなった。

こ、こんな大きな図体で、怖い顔して、素直さん…!!!

「秀吉さん、可愛いです…!!」
「む?」

秀吉さんなら大丈夫だろうと思い、ぎゅうとハグしようとしたら

にゅっっと腕が伸びてきて

ガシっとの腕を掴み

「…いくら君でも、それは許せないなあ…」
「すいません」

半兵衛が半身を起こし、をぎらついた目で見つめていた。

は思った。

なんか所々、私への配慮の言葉をくれていた半兵衛だったが

根本的なところ、秀吉のことしか考えてねえだろう。

「なんだか、私、立場が無いような」
君?」
「すいません、半兵衛さん」
「え、あ、いたたたた」

がぎゅうううううと、半兵衛の頬をつねった。

秀吉はなんだかの目が怖くて、そのまま黙って見つめていた。

「…(急に常闇のような目に…)」





「…あれ、小十郎」
「如何いたしましたか」
「なんだか、爽快感が」
「…それは良かった。」











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vsなんだから
主人公取り合えよと思いながら
こんな文に…
おおおおすいませんすいません…!!
でも半兵衛と秀吉書けて、とっても楽しかった…!!
リク下さった方、本当にありがとうございました!!
半兵衛たちがなぜ泊まりに来たかは不明。(テキトーな…