今日は政宗さんが城下に連れてきてくれました。

町人の格好をして、二人で歩く。

「今日はお仕事で?」
「ちょっとしたな」
「ちょっと?」
「遊ぶ余裕は十分にある」

その言葉には目を輝かせた。

「どこ行きたいんだ?」
「ええと、ええと」
「あ、反物見るぞ」
「私に聞いたのに決定権は政宗さん!?」

結局は政宗に引きずられるような形になった。

しかしそれはそれで楽しい。

「綺麗な着物いっぱい…」
「なにか気に入ったものあるか?」
「この紫、大人っぽいねえ…」
「そうだな。つまりお前には似合わないな」
「政宗氏ー!!!!!!」

そう言いつつも、政宗はに試着するよう促した。

は、着るのはタダだぜ!!と心の中で叫んで、試着室に入っていった。

「……」
政宗はその間、店主に金を渡して

が喜びそうな食べ物を考え

が喜びそうな物を考え

が喜びそうな場所を考え

「…悩むまでもなく頭に浮かぶぜ…単純な奴だからな…」

呆れながらも、政宗は笑みを隠せなかった。


「どうですか政宗さん!!!」
「あ?」

勢いよく現れたは、予想外にその着物を着こなしていた。

「まあまあか」
「褒め言葉が出てこないー!!くやしいいいいー!!!」
「まあまあの美人」
「え」

まあまあ、が付いたが、は美人という言葉に反応した。

…扱いやすい女だなおい…

「じゃあ行くぞ」
「え、こ、このまま!?」
「ああ」
「だめ!!駄目だよ万引き!!」
「…俺がんなことするか馬鹿」

の手を引っ張って、外に出た。


似合いそうな簪を買って、付けてやって

茶屋で団子を食べながら雑談をして

日が暮れてきたころ、の手を引いて、今日の目的地を目指した。



「どこ行くの?」
「こっちだ」
「街道から外れてるよー?」
「ああ」

草の生い茂っている場所をどんどん進むと、さらさらと小川の音が聞こえてきた。

「川?」
「そうだ」

月の光で、キラキラと水面が光っている。

は川に歩み寄った。

石の上に乗って覗き込み、手を入れた。

「冷たくて気持ちいい」

政宗は一際大きな石に座り込んで、をじっと見ていた。


「ん?」
「こっちに来い」

そう言われては大人しく政宗の元へ近づいた。

ぽんぽんと政宗が自分のすぐ横にある石を叩くので、は政宗の隣に座った。

「ここ、よく来るの?」
「久々だな」
「へえ…」

思い出の場所なのかなあとがじっと川を見ていると

「!!」

視界にひとつの光。

「あ…政宗さん!!蛍!!」

指を差しながら政宗の顔を見た。

優しく笑っていた。

「どこ差してんだ?」
「え、あれ…わっ…」

周囲に無数の蛍が飛び始めた。

「きれい…!!」

がゆっくり手を伸ばすと、一匹の蛍が手に止まった。

「政宗さん、ありがとう…!!」
「Happy Birthday」

政宗の言葉に、はぴたっと止まってしまった。

「え…」
「違うとか言うなよ?お前の本に書いてあったぜ?」
「本…」

の頭にスケジュール帳が浮かんだ。

「か、勝手に見たのー!?」
「…だめだったかよ」
「い、あ、あの…」
嬉しいやら恥ずかしいやらで混乱する。

「一緒に居て、今日自分の誕生日なんだーとか言われたら俺も楽だったぜ…」
「すいません…」

今日一日

私のお祝いしてくれてたんだ…

「お仕事って言ってたから…ついでのお遊びなんだとばっかり…」
「何言ってんだ。お前を喜ばせんのは俺の仕事だ」
「な…何言って…!!」
「俺の仕事であって欲しい」

政宗の手が、の頭に乗り、優しく撫でてくれた。
の手に乗っていた蛍が飛んでいった。

「お前の誕生日か…」
「……はい」
「…尊い日だ」
「っ…!!」

撫でてもらうだけじゃ足りなくなって

は政宗に寄りかかった。

「なんだ?積極的」
「ううううるさいな…蛍に感動したの…!!」
「なんだそりゃ」

政宗さんに

こんな一日をプレゼントしてもらったら

こんな景色をプレゼントしてもらったら

こんな言葉をプレゼントしてもらったら

胸が高鳴ったって、別にいいでしょう…











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ちずるさんお誕生日おめでとうございます!!
の、勢いで書いちゃった夢…
よ、よかったら受け取ってください…!!

素敵なイラスト頂いてしまい…そのお返しがこれかよ!?ですが…よ、よかったら…!!