上手く脚が動かなくなったところで地に落ちていった。

ガサガサガサ!と大きな音を立て、背中を打ったところで目を開けた。
草木をクッションにしたとはいえ、痛みに顔を歪める。

「くっそ…」

佐助は空を仰ぎながら舌打ちをした。
最悪の潜入調査だった。
悪趣味としか言いようがない。

思い出していると、人の気配を感じた。
右側に視線を向けると、恐る恐るこちらを窺うの姿があった。

「ここ、奥州?」
「は、はい、あの、大丈夫…ですか?」

唐突な質問にも疑問なく答え、少しずつ近づいてくる。

声を聞いても誰だかわからないのは仕方ない。

「あれ…?あの、武田に、お知り合いがいらっしゃいませんか?」

容姿が確認できる距離までくると駆け寄ってきた。
佐助は今、女の姿になっていた。

。俺だよ俺。」
「俺俺詐欺!!??」
「いや違うよ。ちょっとお仕事で、術使って女になってんの…。」

上体を起こして、傍にあった木にもたれ掛かる。
フェイスペイントは無く、輪郭は丸く、細身で胸がある。
だが、オレンジ色の髪に目、眉、口の形は佐助そのものだった。
はやっと納得したのか、隣に座り込んで佐助の頬に手を当てた。

「大丈夫!?どこか怪我は?」
「してないけど体動かなくてね…」
「!!ど、どうしよう…今日小太郎ちゃんは政宗さんのお願いで遠出してて…ごめん、私頼りないけど、佐助をお城に運ぶよ!!」
「いや…いいよ…自力で帰る…。」
「辛い時くらい休んだら…!?そもそも術使うの体力使うじゃない…!」

は懐に手を入れたかと思うと、小さな巾着を取り出して中を漁る。
綺麗な刺繍の入った手ぬぐいがの手に握られ、竹筒に入った水を少量かけて絞った後、佐助の額や頬を拭く。

「うわ、冷たくて気持ちいい。」
「さっき井戸で汲んだばかりだから…」
「そもそもは何してたの?」
「山菜取りを任せられてたの。このあたりは安全だから…」
「そっか…」

一言一言話すのでさえだるそうな佐助の様子に、は口をきつく結ぶ。

「佐助、ここはもう大丈夫だよ。術をといて、お城が嫌ならここで休もう?私見張ってる!!」
「といたら…もっとやばい。」
「え?」

聞き返すと、一度に視線を向け、そして観念したかのように話しだした。

「脚はなんか…吹き矢で打たれたね。あと、その前に、情報引き出そうとした男が悪趣味で、薬、飲まされたっぽい。」
「薬…!?」
「言っちゃえば…媚薬みたいなね…。くそ…!!」

顔を顰める佐助の様子から、本当に余裕がないのが分かる。
それを放って置くこともできず、優しく声をかけた。

「脚は麻痺みたいな感じかな?」
「!!」

マッサージのように擦るだけでも回復速度が違ってくるのではないかと感じ、着物がはだけて露になっている脚に触れる。
その瞬間、佐助がびくりと反応した。

「ちょ…!!」
「佐助?」

の手を掴み、困ったように笑う。

「ごめん本当…気遣いは嬉しいんだけど…敏感になってるんだわ…。」
「…敏感…。」

はっとして、顔を赤くしてしまった。
その反応に、ちょとやめてよーと佐助がおどける。

「ご、ごめん…」
「いいよ…だからあんまり可愛い反応もしないでくれると嬉しいし、放っておいてくれたら嬉しいな…。」
「……。」
「今男に戻ったら、本当に襲っちゃいそうで怖いよ。」

佐助の真面目な声を聞いてもは立ち去る気配がない。
助けたいと、強い思いがあるのは握られた手から伝わってくる。

「なんとかできる薬があるなら、私が作る!!」
「はは…を回避するのは無理かぁ…。」

困ったように笑った後、佐助の体を黒煙が包む。
すると、いつもの装備を身にまとい、本来の、男の姿に戻っていた。
やっと術をといたようだ。

「佐助…」
「言うとおり、術使うのは体力要るからね…さて…じゃあお薬貰いましょうか…。」

疲れた声をしていたが、体を起こしてに顔を寄せる。
佐助の表情から力が抜けると、徐々に熱を帯びたような瞳となる。

「あ、その…。」
「とりあえず、人肌くださいな…。」

腰と肩に腕を回され抱きしめられる。
無視しないということはそういうことだ。もちろん分かっているはずだ。

だからは膝立ちの状態で佐助に寄りかかり、抵抗せずに肩に手を置いた。
しかしドクンドクンとうるさい心臓は大人しくなってくれない。

「…、大丈夫?」
「大丈夫だよ!」
「そっか。」

の襟元を少し緩め、首元に口を当てる。
ペロリと舌を出して肌の感触を楽しむ。

「!!」
「いいね…女の子の柔肌ってのは…。」

僅かに口を離して呟けば、息が耳にかかる。
それに反応する間もなく、腰に回された手が下に滑り、目を見開く。

「あ、さす…」
「何?」
「ひえ!?」

耳穴に舌を這わせられ、びくりと肩を揺らす。

「あ、あの、ど、どんな、状態、なの?」
「ああ、今の俺様?」
「うん…」
「効き目は薄れてきてるはずだよ…。は?」
「私?」

自身は何も薬など盛られていないのになぜそのようなことを聞くのだろうかと疑問を感じていると、優しい笑顔を向けられる。

「どこまで俺様を受け入れられるの?」
「!!」

体を僅かに離すと、胸にそっと手を添えられる。
慣れない感覚に、腰が反ってしまった。

「自制、できる。大丈夫。」

というより自身に言い聞かせているようで、中途半端な行為に申し訳なさを感じてしまう。

「少し、良い?肌、触っていい?」

ゆっくりと、こくりと頷くのを確認すると着物の合わせ目から手を忍び込ませる。

…」
「な、なに?」
「着痩せする体格だ?」
「え、え…」

撫で回される感覚になんのことを言っているかは察したが、喜んでいいかは悩むところだ。

「女の子って感じで、凄く良い…。」
「そ、そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど…」

今度はが佐助の体に触れる。

「ん?」
「佐助は細い細いって思ってたけど…こう…近くで見ると…」
「逞しい?」
「う、うん…」

佐助の胸に手を添え、感心したように呟く。

「小太郎と比べてる?」
「そ、そんなんじゃ…」
「竜の旦那は細身の方だよねーじゃあ片倉さんかな?」
「他の人の名前出さないの!!」
「そうだね、今は俺のお相手してくれてるんだもんね?」

の頬に手を添え、今度は愛おしそうに数回撫でながら、今度はぎこちなく顔を寄せてくる。
避けずにいると、下唇をぱくりと食まれ、そしてやや吸うようにしながら離された。

「ほんっと、どこまでしていいのよ?」
「どこまでしたいの佐助…」
「良いんなら最後までだけど?」
「薬のせいでなんて許すまじ!」
「あーあ、言われる気がしてた。」

これだけ感触を楽しめたなら、あとは少しの妄想で十分なオカズになりそうだ。
なんて、の前で口にする悪趣味は無い。

「あと…そうだな…の感じる顔、見たいかな…」
「な、なんで私が…!!」
「それで完璧っていうかね?」

押し倒された瞬間に発せられそうになったのぎゃーという叫びは、もちろん予測していたので口は手で塞ぐ。

「もがもが!!」
「大丈夫大丈夫、胸だけね?」

を組み敷き、口から手を離すと、怒りの表情を向けられた。

「佐助!!!!」
「はいはい?」
「痛いのは嫌だからね!?」
「さすが。痛くしなけりゃ何してもいいと。太っ腹ァ!!」
「あ、そ、そういう意味でなく…!!」


女に化けてまで得た情報の報告ができるのはもう少し待ってくださーい、と、佐助は心の中で呟いた。























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お相手佐助で、佐助かヒロインに媚薬が盛られるというリク頂きました!!
あと微エロということで
微…微 えろ になれたかどうか 謎な そしてどこにおけばいいのか悩み表という

リクありがとうございました!!!