昔、継母と継子に日々仕事を押しつけられる、可哀相なシンデレラが居ました。

「…佐助」
「シンデレラだってば」
「し、シンデレラは、灰をかぶらねばならぬのでは…」
「灰なんて付いてたら、偵察とか出来ないでしょ―?天井裏にでもいるときにパラパラ落ちてごらんよ。俺様捕まっちゃう」
「うむ、それもそうだな」

継子の1人は幸村でした。

「佐助ぇ!!」
「はいはい、何?大将…母さん」

継母は、信玄でした。

「今宵、城で舞踏会があるらしくてのぅ!!」
「はいはい、王子のワインに媚薬でも盛ればいいんですか?」

シンデレラは、なんか物騒なこと言いました。

「さ、佐助ぇ!!そんなことは駄目でござる!!正々堂々勝負し、王子の心を射止める事が大切だ!!武田の繁栄の為にも!!」

継子のほうが、良い事言いました。


「うむ、それが良いであろう…。差し当たって、佐助、ワシと幸村は城へ向かう。留守を任せる」
「了解しました」

なんか平和でした。

「いや、いじめねばならないだろ?」

スッと現れたのは、

「…かすが」

もう一人の継子、かすがでした。

佐助をいじめられると聞いて、立候補していました。

「私も舞踏会に行く…!!シンデレラは家中の掃除をしていろ!!埃一つあったら許さない…」
「…」

何だか、姑みたいだと思いましたが、口に出してはいけない気がしました。






シンデレラは1人になり、床掃除を始めました。

「城の舞踏会、ね…」

華やかなのだろうと、想像する。

…でも、大将と幸村のドレスアップ(メイクもばっちり☆)姿を思い出して、あまり行きたいとは思わなかった。

「…かわいそうな、しんでれら…」
「!!」

いきなりシンデレラの背後に人の気配が。

「その声…上杉謙信…!!」
「いいえ、まじょです」
「あ、あぁ、そうなんだ…」

上杉謙信、なぜか真っ白なワンピースで登場です。

魔女っぽくない。

「では、わたくしが、あなたをうつくしくへんしんさせてさしあげましょう」
「え、別に望んでない…」
「てんじょうてんげ…!」
「そ、それ、バサラ技じゃない!?」

慌ててシンデレラは防御姿勢をとりましたが

「!!」

突然、シンデレラの着ていた迷彩服が純白のドレスに変わりました。

「あぁぁひどい!!」
シンデレラは恥ずかしくてたまりませんでした。

「おにあいです。えぇと、あと、ばしゃがひつようですね。」
「上杉さん!!ちょ…スカートにスリット入ってる!!これ露出…」
「まじょです。にんじゅつをつかい、むしろおんなにへんしんしたほうがはずかしくないとかなんとかかんがえたらゆるしません」
「あぁぁその手があったか!!先に言われたぁぁぁ!!」

謙信は、定番、カボチャと武田騎馬隊の馬を使って馬車を作りました。

「しんでれら…。いちやのゆめを、たのしんできなさい。」
「は、はぁ」
「かねのねがひびきおわるじゅうにじになると、まほうはとけてしまいます。そのときまでに、もどってきなさい。」
「判ったよ…。じゃああのさ、上杉サン…」
「まじょです」
「(…こだわるな…)魔女さん、あんたが魔女さんだってことは他の奴等に内緒な」

かすがに、俺が二人きりで謙信と会ったなんて知れたら大変…

「えぇ、とうぜんです」
「頼むよ〜?んじゃ、行ってきます〜」

シンデレラは馬車に乗り込み、城に向かいました。

謙信は、見えなくなるまでシンデレラに手を振ってくれました。

「上杉さん、大将が女装したって知ったらどうしてたかな…。魔女役で正解だよ」

…それはぜひ、みたいですね…

「え!?なんかテレパシーがきた!?」






城に到着すると、シンデレラは突然緊張しました。

…か、考えて無かったけど、王子って誰…?

政宗だったら、すぐ逃げ出したい。

元親だったら、ナンパみてぇに軽く声かけてきそう。

元就だったら、ツンから一晩でデレにできるかどうか…


「…ま、まぁ、行ってみるか…」


シンデレラは、恐る恐る扉を開けました。

目の前には


―こ、これは…


眩しいくらいのシャンデリア

豪華に並ぶ、料理の数々

その中に


「じょ、女装政宗さん萌え…!!」
「似合って当然だろうが!!」

「……」

「幸村さんのドレス姿ギザカワユス…!!」
「照れるでござる―」

「………」

「小十郎さんチャイナドレスハァハァ」
「見るな―!!見ないでくれ―!!」

「……………」

この…

「元親着物別嬪さん…!!」
「まぁな―!!なかなかいいな!!こういうのも!!」

「…………………」

この空気…

「元就さん猫ミミお持ち帰りぃ〜!!」
「ふ、ふん!!我の世話が、貴様如きにできるか…!!」

ある意味逃げ出したい…!!


王子は、腐女子ヲタクバージョンなでした。


だらだらシンデレラが冷や汗を流していると


が突然シンデレラに振り向きました。

「う…」
「生足美人発見…!!」
「褒められてる気がしない…!!」

シンデレラは逃げようとしましたが

「げっ…!!」

突然、誰かに後ろから羽交い絞めにされました。

「っ…小太郎!!」
「………」

しかも

「なんでお前普通にタキシードなんだよ!!ずるいぞ!!」
「ずるくない!!小太郎ちゃんは私の執事!!」
「ぎゃあああ!!」

はシンデレラにダイブし、ぎゅううとしがみつきました。

シンデレラは皆の視線を感じ

「ぐ…!!」

なんとか小太郎を振りほどき、煙幕玉を足下に勢いよく投げ付けました。

「ひゃっ…!!」
「あっ…」

露骨に煙を浴びたは、転んでしまいました。


シンデレラは、この場から消えようとした瞬間であったため、支えられませんでした。






シンデレラはそのまま家に帰りました。

「おかえりなさい、しんでれら」
「…上杉…ま、魔女さん、何でうちにまだいるの」
「にほんしゅいただいてます」
「あぁ、そう…」

シンデレラはどかっと椅子に座りました。

「はやかったですね」
「散々だ」
「おうじはどうしました?」
「あぁ、悪いねぇ…。何にもしなかったよ。俺は主人公向きじゃないっての」
「…しかたありませんねぇ。けれど、はなしはすすみますよ」
「何もしなかったんだ。俺と王子は何もない」
「…あすが、たのしみです」

魔女は酒を飲み終えると、消えてしまいました。

「…あ、ガラスの靴だって俺ちゃんと履いてるし」

進行ぶち壊しで、シンデレラは少し落ち込んだ。







次の日の朝。

シンデレラはいつも通り屋敷の掃除をしていました。

「お館様!!大変でござる!!」
「何だ!?幸村!!」
「王子が昨晩の生足美人を探していると!!」

シンデレラはドキッとしました。

え、な、なんで…?


「それは、婚姻相手としてか!?」
「判りませぬ!!しかしその可能性は高いかと…!!」
「うむ…生足か…」
「私は謙信様以外に体を晒すなど出来ない!!」
「…かすが、なんで舞踏会行ったの…?」

こんこん

「すいませ〜ん」
「「「「!!」」」」

王子の声。

「はい!!」

幸村がドアを開けると、正装をした王子が立っていました。

「…」

なんで俺を探してるんだよ…

昨晩は少ししか会ってないし、逃げたし、転ばせて…最悪だったろ…

旦那たちと仲良くしてればいいじゃないか…

俺には、幸せなんて似合わないんだよ…


「…人を探してるんです」
「はぁ、あの、それは」
「小太郎ちゃんが抱き締めれば判るんですが、いいですか?」

「「「「……」」」」

なんつー探し方…

「ま、まぁ、いいのでは…」

幸村が答え終わらないうちに

小太郎は屋敷の中に入り

「え」

まっすぐシンデレラを目指し

ぎゅう

佐助を背後から羽交い絞めにすると

ぐっっ!!と親指を立てた。

「その人ね?」
「……」

幸村も信玄もかすがも驚いた表情。

「…人違いだ」

シンデレラは王子を冷たくあしらいました。

「…」

王子は泣きそうな表情でした。

「人違いでもいいです…」
「へ?」

つかつかとシンデレラに近付きました。

「…ごめんなさい…」
「なんで…」

王子は、シンデレラを潤んだ目で見上げ、本当に申し訳なさそうな声を発しました。


「パーティーだと思ってはしゃいでしまいました…!!そういうイベントじゃないのに…」
「はぁ…(そういうイベントって…)」
「勝手に一人で騒いで…折角来て下さったのに迷惑でしたでしょう…」
「…」
「嫌がる事してすみませんでした…」
「あのね―…」

シンデレラは調子が狂いました。

貴方に惚れました!!って感じに進むのかと…

「王子」
「はい!!」
「俺は粗相をいたしました。王子を拒み、転ばせました。」
「構いません。王子という名に媚び売られる方がよほど気にいらない。」
「…いいや、あんたにも立場がある。」
「え」

シンデレラは王子をお姫様抱っこしました。

「あの?」
「…粗相の詫びは、俺の一生をかけて償いましょう」
「…あれ―?」

気がつくと、信玄も幸村もかすがも、拍手して喜んでいます。

「…お詫びに来たのは私ですが」
「俺のこと、貰って頂けませんか?王子」
「え―と、君のその笑顔を見ると嫌な予感がするよ」

シンデレラはにっこりとさらに笑みを深め

「王子に惚れたんで」
「え」

王子を抱えたまま、シンデレラは外に飛び出しました。

「ちっ、ちょっ…!!」
「城行ったら尻見せて下さいね」
「ぎゃあぁぁぁ!!嫌だ!!」
「…心配なんですよ…王子を転ばせて…」
「だからっていやだ―!!」


町中に
王子の叫び声が響き渡りましたが

魔女の魔法のおかげで、すべて言葉が変換されて人々の耳に届きました。


シンデレラ大好き―!!

とか

シンデレラ結婚して―!!

と。


「ふふ…めでたしめでたし」
「謙信様こらぁぁぁぁ!!」
「まじょです」


王子は引くに引けなくなり、

シンデレラと結婚することになり

散々でした。











■■■■■■■■
童話著しく脱線していてすいませっっ…!!
なんだか謙信様書いててすごく楽しい…!!
下克上…になれたのかどうかは謎…!!(ばか!!
こんなのですいません!!
リク下さった方、ありがとうございました!!