「政宗殿おおおおお!!いざ尋常に勝負!!!!!」
「おっと!ここを通すわけにゃあいかねえな…テメエの相手はこの片倉小十郎だぜ!」

「…片倉殿、ここの竜は、火を吹かぬ。なぜだ?」
「…アレ?何か詰まっちまったか?」

そんなわけで呆気なく一時休戦することにした。






「幸村ああああ!!何してんの!?俺待ってたんだけど!?ずっと待ってたんだけど小十郎まで来ないからどうしようかと思ってたんだけど!?」
「すまぬ、政宗殿」
「申し訳ありません、政宗様。点検がなっておりませんでした。他の竜はちゃんと作動するか今確認させていますので」

政宗が不安になり馬に乗ってやってくると、小十郎と幸村は竜の口に詰まった汚れを箒と雑巾で掃除していた。

「やはり葬竜陣が無いとここまで来た気がせぬから…」
「すまねえな、真田幸村」
「構わぬよ、佐助!!そっちはどうだ?」
「んー、こっちはそうでもないなー。もうすぐ綺麗になるよ」
小十郎と幸村が掃除している反対側の竜の口に佐助が腕を突っ込んでいた。

「お掃除ですか?」
政宗の後ろからがひょっこり顔を出した。

「おお、もいらっしゃったか」
「こんにちは幸村さん。なんか政宗さんが寂しいから話し相手になってくれって「黙れ」

政宗がを引っ込ませて、竜の様子を見た。

「お…随分汚れてんな…」
「最近は真田に長曾我部に…戦が続きましたからなあ…」
「すまぬ!!なんだか戦いたくなるのだ!!」
「あー、もう帰れよ幸村…俺たちで掃除しておくからよ」
政宗はすっかり戦う気が失せてしまったようだ。

「そうだよ旦那ー。大将もそんなに遅くなるなって言ってたじゃん」
「あ、そうだったな…うむ…仕方ない…また来る」
「その時までには綺麗にしておくからな」
「うむ!!ではまた!!政宗殿、片倉殿、
「じゃね〜!!」

幸村と佐助は帰ってしまった。

「…さて、んじゃあ今から掃除始めるか…おい、成実は突破されたんだろ…?今はどこに居る?」
「成実さまは隊で鬼ごっこしています」
「何してんだー!!」

幸村単独だから通さないと政宗に怒られると考えたようだ。





「…といわけで、一斉に掃除をするぞ!!!準備はいいか!!てめえら!!!」
「覚悟は出来てますぜ小十郎様ー!!!!」
「埃1つ許しません!!!!」

小十郎が兵を揃え、皆に指示を出し始めた。

「…え、覚悟が要るんですか?」
は政宗の隣で雑巾を握り締めながら不安になった。
「そういうのはノリだっての。」
深く考える必要は無かったようで、は安心した。

「さて、は特別に一番奥のやつ掃除させてやるよ」
「お、奥って…本陣!?」
「気合入れろよ?」

なんの罰ゲームだ…と呟きながら、は政宗に引きずられていった。

そんな姿を見た成実は、可哀想だと思い、俺も行くよー!!と政宗との後ろをついてきた。




「よし!!気合入れて掃除だ!!」
政宗が箒を掲げて二人に喝をいれた。

「はい!!じゃあ、最初に政宗さん、その箒で大まかに埃落としてください」
は当然とばかりにそう言ったが

「…なんで俺が?」
「なんでって!!箒持ってるじゃん!!」
「これは竜の口に頭突っ込んで掃除し始めたのケツを叩くためのものだ」
「いやだああああああ!!!何プレイだよ!!!」

成実は来てあげて良かったと思った。

「殿、早くしないと日が暮れるっての…」
「仕方ねえな…」
「仕方なくない!!!」

手にした箒でザッザッっと竜の掃除を始めた。

「殿、気持ちをこめて掃除してあげるんだよ」
「そうだよ!!この子たちは政宗さん…独眼竜の子のようなものですよ…!!」
「…俺の子…!?」

政宗は竜をじっと見つめた。

…そう言われると可愛く見える…!!

「…色、塗ってやったほうがいいかな…」
「それより掃除」
「今ピカピカにしてやるからな…!!」

政宗が丁寧に埃を落とし始めた。

「…大体落としたな…!!!!拭け!!」
「はい!!」
は雑巾を水で濡らし、丁寧に拭き始めた。
上から徐々に下へと雑巾をずらしていき
目を拭き出すと

「馬鹿ヤロー!!!!」
「ぎゃあああああああ!!!!」
ばしいいいいいん!!!と政宗がのケツを箒で叩いた。

「い、いた…痛い痛い!!」
「目だぞ!?優しく水をかけろ!!そんな風に乱暴にするんじゃねえええ!!!」

「………」
成実はやはり来て良かったと思った。

「…殿、これ、石像だからさ…」
「あ…そ、そうだったな…」

政宗の感情移入は凄まじかった。


「政宗様、どうですか?終わりそうですか?」
小十郎が指示をし終えたらしく、本陣にやってきた。

「小十郎さんー!政宗さんが邪魔するのー!!」
が小十郎に泣きついた。

「政宗様、ダメでしょう…仲良くしてください」
「片倉殿…その言い方は子供向けじゃねぇ?」
「…ちえ…わかったよ…」
「うわ!!効いてる!!」

を励ましながら、小十郎も本陣の竜の掃除に取り掛かった。

「終わったらおやつ用意してるから、楽しみにしてな」
「わー楽しみー!!」

は小十郎と一緒に仲良くお掃除だ。

「…なんだよ。は小十郎ばっかり…」
「殿、自分の行動を顧みて自分の非を認識することも大切だと思うよ…」

政宗と成実も掃除に取り掛かった。

「ところであの大きな竜は?」

はあれも掃除しなきゃならないのかなあと不安になりながら指を差した。

「あれは業者に頼まねえとな」
「そうだよね…大きいなあ…」
!!登るか?」
「え?」
政宗がのそばに駆け寄り、の返事を待たずに腕を引っ張った。

「登れるの?」
「ああ!!」
「殿!!気をつけてね!!」
「では後は我らにお任せください」


竜に駆け寄ると
「わ!!」
政宗は突然を担いで竜に登りだした。

「大人しくしろよー」
「は、はい!!」

ひょいひょいと身軽に頂上を目指した。


「着いたぜ!!」
「も、もう?」

下に居た小十郎も成実も小さく見える。

空が近くて、風が気持ちいい。

…しかし高すぎて足がすくむ…


「…座っていいかな…政宗さん…」
「おお、いいぜ、ほら」

政宗はより先にどかっと胡坐をかき、太腿をぽんぽんと叩いた。
そこに座れということか。

「お、おじゃまします…」
はいそいそとその好意に甘える事にした。

「向こうまで結構見えるだろ?」
「うん」
他の場所で竜の掃除をしている人たちが見える。

「ここでの戦は俺いつもここで見てんだよ」
「さっきは下にいたじゃん」
「お前にここまで来いとはいえねえだろ」
「あ、そっか。」
「今でさえこんなに足震えてんだもんなあ」
「!!」
政宗がの足をするりと撫でた。

着物が乱れたので急いで直して
「震えてないし!!」
「そうか?……だったらもっと触らせろ…」
「いいい!?」
いきなりの囁き声で

へ、へたに抵抗したら怖いし…!!高いよおお…!!!

「選べよ。ここから落ちるのと、俺に落ちんのとどっちがいい…?」
「ひいいいいい!!!」
「酷いお前鳥肌立ててんじゃねええええ!!!!!!!」

政宗はの頬を後ろからぎゅううとつねった。

「そういうムードじゃね!?」
「そうでもないですよ政宗さん!!」
「マジ!!?」



そんな二人を下から見た小十郎と成実は、何をしているのかは詳細には判らないが、とりあえずと政宗がじゃれあってるように見えた。

「仲良しだな」
「あはは!!兄妹みたいだね!!可愛い!!」
「しかしそろそろ降りてもらわねば…」

小十郎は政宗たちに向かって大きく手を振った。


「政宗さん!!小十郎さんが手を振ってるよ!!降りて来いってことじゃ!?」
「あん?もうかよ…」

仕方ねぇなと政宗は

「え?」

をお姫様抱っこして立ち上がり

「…え?」

そのまま

「……ど…」

飛び降りた。

「どんだけええええええええええええええええええ!?」

そして無事着地。

「そろそろ城へ戻りましょう」
「そうだな」
「おやつ食おう!!」

政宗たちは何事も無かったかのように普通の会話を進めた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
は怖くてまだ政宗にしがみついて離れなかった。

「Oh、なんだ。もっと二人きりがよかったか?」
「それはすまないことをしたな」
「えー?ちょっとーいつの間にそんな関係にー?」
「……………」

は 改めてこの人たちの人間離れぶりを再認識させられていた。

…もう少し気遣ってくれたって…!!!

が涙目になりながら、地に下りると

「政宗様、着物が汚れております」
「oh…座ったところが悪かったかな…どこだ?」

が即座に反応し、置いてある箒をばっと勢いよく取って
「埃落としてあげるよ政宗さん!!!!!!!」
「ぎゃああああ!!お前ええええええ!!!!!」
政宗のお尻をフルスイングで叩いた。

ー!!!!テメエのケツに指突っ込むぞ!?」
「な、な、ならば私は箒の柄を突っ込むよ!?」
「う、うおおお…痛そうだなおい…」

「…片倉殿、止める?」
「そうだな。止めてくれ」

成実は急いで二人に近寄り、一言

「おやつ食べようよ」
「うん、食べるー」
「おお、食う。」

こちらも呆気なく休戦することになりました。












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一度主人公にどんだけと言わせたかった…(阿呆…
伊達軍の皆様がせっせと掃除するの可愛い…
政宗が俺もやりたいって言い出して小十郎が一番簡単なお掃除を政宗にやらせたりしてたら可愛い…などと考えてましたばか…

うしお様、リクありがとうございました!!