これは政宗と幸村が逆トリップしていたときのお話。
今日は午後から雨が降り出していた。
二人はの家でごろごろしていた。
「は今日は何時ごろ帰ると言っていた?」
「んあ?…ええと…4時ごろって言ってたろ?」
お昼の天気予報では午後はずっと雨が降ると言っていた。
「…迎えに行ったほうがよくないか?」
「傘持ってったんじゃねえのか?」
「はばっぐしか持っていかなかった気がするが…」
「馬鹿、ここは未来だぞ?ちいせえ傘とかあるんじゃねえの?それかこう…なんか唱えるとシールドが現れるとか…」
政宗は未来の技術に期待しすぎだった。
「で、でも、もしも、忘れてたら…」
幸村は玄関に向かった。
「幸村?」
「ああ、ほら、これであろう?傘…3本もあるぞ?」
はよく傘を忘れては100円ショップで買っていたため傘を溜め込んでいた。
「某は、これを持って迎えにいく!!」
「…ああ、はいはい」
「政宗殿、留守を頼む!!」
「馬鹿。俺も行くに決まってるんだろうが」
「え」
政宗もゆっくり立ち上がった。
「暇だしな」
「そ、そうか」
「お前大学までの道のりも迷いそうだしな」
「し、失敬な…」
ふたりはサンダルを履いてマンションを出た。
「あれ、思ったより降ってるなあ…」
は空を見上げてため息をついた。
そんなに家は遠くはないのだが、これでは走って帰ってもびしょびしょになる。
「しかたないな」
近くのコンビニまで行って、傘を買おうと思った。
少し濡れながらもコンビニに入って、1本しか残っていない傘をよかった!!と思いながら手にとって
「あ、雑誌…今月号いろいろと出てるなあ…」
すぐにレジには並ばず、雑誌を見て、立ち読みじゃないですよ〜
どれ買おうか悩んでるんですよ〜、と一冊とってはパラパラめくって戻して、再び一冊とってはパラパラめくって戻して…とを繰り返した。
内容はしっかり頭に入れているところ、嫌な客だ。
「…ん?」
手にとった雑誌を戻した際に、外を見ると
「………………」
なんっか見た事のある
かっこいい兄ちゃんが二人通り過ぎて…
「!!!!!」
慌てて雑誌を戻して、傘も戻して外に出て
濡れるのも気にせず二人を追った。
追いつく前に足音で振り返った。
「ああ!?!!」
「あ?何で大学にいねえんだよ?しかもびしょ濡れじゃねえか」
「な、なんでって…」
近くに寄ると、政宗がひょいっと傘を傾けてくれた。
「そこの店に居たのか?」
「う、うん」
「行き違いにならずに良かった。」
「まさ…伊達も真田も、ど、どうして…」
「迎えにきたでござる!!」
にこーっと幸村が笑った。
「……」
こ、こんな、雨の日に、む、迎えに来てもらう…って…
幼稚園のお母さん以来ですよ…
「はい、傘でござる!!」
差し出されたビニール傘を受け取った。
「あ、あ、ありがとう…」
なんっか…すごい嬉しいな…
傘を下に向けて開こうとすると
「…あ!!!!ちょ、何サンダルで来てんの!?びちょびちょ!!デニムもすごい濡れて…」
「雨だしな」
「あ、あのねえ…」
「…というかに言われたくねぇよ。下着透けてんぜ」
「見るなああああああ!!!!」
幸村が首を傾げた。
「…したぎ?どれが?」
「ほら、よく物干し竿に桃色とか白とか黒の、丸いのが二つついた変なのが吊るされてんだろ?」
「説明するなあああアアアアアアア!!!!!しかもちゃっかり見てるなアアアアアアア!!!!」
「ああ!!あれが!!」
「納得するなああああああ!!!」
傘をさすと、片手で荷物を抱きかかえて胸を隠した。
「…く、朝のニュースじゃ降水確率30%だったのに…!!」
「30もありゃ十分じゃねえか」
を真ん中にして、三人で歩き出した。
「と、とりあえず、その、ありがとね、来てくれて」
「の役に立てたならば某は嬉しいぞ!!」
「あーあー、ご主人様がいねえからなあ。幸村は今はのペットかよ。尻尾振ってんじゃねえよ」
「ちょっと…伊達さん…」
「そなたこそと一緒だと雰囲気が変わるではないか」
「…おい、幸村、黙れ」
くすくすとは小さく笑って
「本当に、嬉しいよ」
「「……」」
二人はゆっくりに近づこうとしたが
「「あいた!!!!!」」
「え!?」
の傘の骨に当たった。
「あーくそ!!雨の日なんか嫌いだぜ!!」
「…傘、邪魔でござる…某もあまり好きではござらぬ…」
「…?そうかなあ?こんなことがあるなら雨の日もいいかなーって私は思ったけどなあー」
小雨になってきたので、は傘をたたんでしまった。
「?」
「傘二つで十分」
二人の傘が頭上にあるため、自分はささなくても大丈夫だと判断したらしい。
「……」
政宗も幸村もの方に傘を傾けて
ぼす
「「……」」
ぼすぼすぼす
互いにお前が引けと傘をぶつけ合った。
「あ、雨止んだよ」
が晴れた空を指差した。
「あいあい傘…」
「まだしてねえ…」
「あ、虹出てるよ!!」
「…幸村、なんで3本全部持ってきた」
「3人だからでござろう」
「もっともだ」
「今日は夕ご飯何にする?ま、とりあえず帰ったら洗濯ね」
「そんな誰にでも思いつく事すんじゃねええええ!!」
「何を言うかああ!!!!そなたが留守番していれば邪魔が入ることなく某は1つで十分だとかいってあいあい傘アアアアア!!!」
「……なにしてんの」
歩みを止めた二人を振り返ると、傘を開いたまま捨てて、取っ組み合い。
「……青春みたいだよ」
は傘を握りなおして
「とや!!!」
「うお!!」
「わあ!!」
は政宗と幸村の脇を突いた。
「何してんの?」
「…お前こそ」
さあ、早く帰ろうよと二人の腕を取った。
また、いきなりの雨の日はよろしくねと言うと、
今度は今日の教訓を活かす!!と二人が意気込んだ。
「………」
次の日の朝
窓辺に逆さまになったてるてる坊主が二個ぶら下がっていた。
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現代版にしてまいました。
ほのぼのすぎるかこれ山がなくてすいません!!
政宗と幸村のほのぼのをリクしてくださった方、ありがとうございました!!