松永久秀から文が届いた。
は預かったので東大寺大仏殿に来るがいい、という内容だった。
政宗は、遠いから馬だと結構かかるんだが…と返事を送ったが、その返事は、短編なんだから早くしなさいと書いてあって、それもそうだと思い小十郎と一緒に忍に送ってもらうことにした。



「長編で私の出番がないから不貞腐れてみたよ。」
「政宗さーん、捕まったーごめん。」

たどり着くと、堂々とした松永の横で、が座っていた。

「変な薬嗅いで…足の脱力が抜けない…」
「良い香りだったろう。」
「はいっ!まるでローズのような高級感ある優しい香りで…」
「ちょっ!!人質と犯人は普通にしゃべらないだろ!!何で楽しそうだ!?」

そう叫んだ政宗に、松永はニヤリと笑みを浮かべた。

「くやしいかね?その嫉妬に燃える表情が良いな…」

それを聞いた小十郎は叫んだ。
「政宗様!!松永に好かれてしまいます!悔しい顔はだめです笑って下さい!!」
「小十郎なんでそんな指摘なの!?まぁいいか…そうだな俺も余裕を持って不敵に笑うか…」
「いえ!!梵天丸様を彷彿とさせる悩殺スマイルでお願いします!!」
「何で!?」
「俺が見たいだけです!!」
「何でそんなテンションだよ!?」

小十郎につっこみばかりしていると、それを見ていた松永は見下したような笑みになる。

「お前…!!勘違いすんじゃねえぞ!!いつもは俺こんな役しねえぞ!!」
「そうでしたっけ?」
「小十郎!?黙っててくれませんかねえ!?」

ぽん、と、松永の手がの頭に乗る。
まさか、髪を掴み顔を引っ張りあげるのではないかと想像し、一気に緊張する。

しかし、その手はただ優しく撫でるだけだった。

「男がそのような状態では…守られるべき女性が可哀想とは思わんかね?君もしっかり引っ張ってくれる男性、とやらが好きなのではないか?」
「え、えと…そうですね…やっぱりいざというときは頼れる人が…あっ!?ひゃ…」

咄嗟にが口を手で覆う。
松永が片膝立ちになってと視線を合わせ、何を思ったのか、耳裏や顎の方まで撫でだした。

「なっ…」
政宗が拳をぎゅっと握りしめた。

「お、お前!!俺がどんなに撫で撫でしたってそんな声出さなかったじゃねえかあああああ!!!!!」
「政宗様、お前ってのことですか。怒るのそっちですか?え、撫で撫でってなんですかあなたたち年齢おいくつの男女ですか?」

本日の小十郎はつっこみ部分の多さにも冷静な対応だった。

「ふざけんな!!無事に帰ったら、幸村呼んであいつの目の前で服脱がしてやろうか!!」
「えええ!!!そんなの嫌だ!!!!!!」
「おやおや可哀想になあ。まあ、私だったら…君を襲うならその辺の綺麗な寺で優しく抱いてやるがね?」
「やっ…やです!!そんな誰か来るかもしれないのにっ!!しかも仏様の前でなんて・・・!!!」

は頬を赤らめて、松永の視線から必死に顔をそらせた。

「政宗様、松永の発言の方がの反応が良いですな。」
「あの変態野郎に負けたくないけど勝っちゃったら俺、想像力が凄い相当の変態になっちゃう気がするんだが!!!!!」
「ものは試しでしょう。意外に正統派のほうが分かり易くては好きかもしれませんよ?」

小十郎の想像上のは、どんだけM女なんだろう…と悩んでしまう発言だ。

!!その…なんだ、小十郎の畑で襲ってやろうか?」
「なっ、なっ、何言ってるんですか政宗さん!!!!」
「お、慌てちゃって、なかなかいい反応…」

じゃねえか?小十郎…と続けようとしたが、小十郎が鬼の形相で歯ぎしりをするので政宗はなんだかもう帰りたくなった。

「政宗様…小十郎の畑を何だとお思いで…!!!!!」
「怖すぎる!!!だって変態対決やることになって……変態対決!?全く参加したくねえ!!何してんだ俺は!!」
「政宗さん!!松永さんは私には色っぽすぎるよ〜〜!!早く助けて〜〜!!」
「なんか声色嬉しそうなんだが気のせいだよな!?俺の気のせいだな!?」

収拾がつかなくなりそうな危機に、政宗はこうなったら仕方ないと刀を抜いた。

「早く帰りたいんだから帰るんだよ!!松永!!後からキャラが長編に出たがってんじゃねえ!!」
「友情出演でも良いのになあ…」
「お前と築く友情とかオブラートよりも薄いっつーの!!!」

一気に駆け出し、松永を狙う。
松永も立ち上がり、抜刀する。
を盾にするようなことはしなかったので、それは唯一の救いだ。

「た、戦うの?」

こんなくだらないことで?と続きが出かかったが引っ込めた。

「君はそこで見ていたまえ。もうすぐ薬の効き目が切れそうだが。」
「そんな…」
「安心しろよ!!見れるのは松永がくたばる姿だ!!」

ガキイ!!と大きく音を立てて刀が交差する。

「独眼竜…卿に魔法をかけてやろうか?」
「はっ!!何を言い出すかと思えばおとぎ話か?くだらねえ!!何の魔法だい!?」
「そこに座る麗しい姫君が…一瞬で卿へ抱く気持ちが変わる魔法だよ…」
「俺との間にそんなもの…通用しねえ!!」
「政宗さん…」

自信たっぷりな政宗に、ほう、と松永が感心する。

「では…失礼しよう…」
「何をしようが関係ねえ…俺はお前を殺すだけ…!!」

睨みつける政宗を見下していただけだったが、急に刀を持っていない手で政宗の頭を掴んだ。

「!!てめ…」

咄嗟に腕で払いのけようとしたが、それよりも早く松永が政宗を引き寄せ


べろり



政宗の頬を舐めあげた。

「へ?」
「きっ…」

は口で手を塞ぐが、止められなかったらしく、きゃあああああああ!!と叫んだ。


「や、やらしい!!なんてやらしいものを見てしまったんでしょう私!!ちょ、萌え!!も…え!!きょとんとした政宗さんの顔萌えだし政宗さんを弄ぶような松永さんの表情いやらしい!!」
黙れ!!!!!」
「贈り物は喜んでくれたようだね…?」
「ああああ何この胸の高鳴りは!!!!どうしよう政宗さん私…!!!」
「言うな!!それ以上の報告はいらねえ!!!!!」
「さすがは松永久秀か…!!の特性を活かしたな…!!」
「小十郎!冷静に分析するな!!」

政宗は松永の手を振りほどき、飛び上がって距離を広げた。
あ、と口をあけた。

救出を忘れてしまった。

「すまっ…!!!!!!」
「あっ!!大丈夫!!立てそう…!!薬抜けたから、自分で逃げるよ!!」

すぐに立ち上がって、政宗の元に走ろうとする。
しかし瞬歩ですぐにの前に回り込み、首を掴まれる。

「あ…」
!!!」
着地した政宗は、すぐに駆け出し、距離を詰めたが間に合わない。

「君にも、贈り物だ…」

べろりと、の頬も舐めあげる。

そして手を挙げると、後方にあった建物が爆発を起こす。

!!!!!!!」

爆風に耐えながら倒れたに駆け寄る。

「大丈夫か!!怪我は…」
「まままま松永さんにほっぺた舐められちゃったよおおおお…」
「そこは俺の名を呼んでしがみつけよ!!」
「まあ、ですから。」
「小十郎うるさい!!」







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松永久秀と伊達政宗で、連載ヒロインをめぐるドS対決、というお題でした
オチは松永で…ってこんなので良いのかしら!!
長編のほうが真面目ぶっているので鬱憤晴らすかのようなひどいキャラですみません!!

リク、ありがとうございました!!