**長編ヒロインと突発夢ヒロインの無理あり混合夢です…**
朝起きて
障子を開けると
何か右目に包帯した見た事ある子供が立ってました。
小十郎は政宗の自室に勢い良く滑り込んだ。
「なんだ!?」
「政宗様―!!政宗様―!!」
「なんだ小十郎!!」
「梵天丸様ぁぁぁ!!」
「だからなんだよ!!」
「梵天丸様がぁぁぁ!!」
「俺がどうした!?」
「可愛いぃぃ!!」
「て、照れるぜ…」
「泣いてらした!!」
「はぁ!?俺泣いてねぇよ!!」
会話が成り立たなかった。
「朝起きたらこの子が居たんだって」
「」
は小さな男の子を抱っこして、政宗の部屋にゆっくり入ってきた。
「この子、政宗さん?」
がグスグスないてる子供の顔を政宗に向けた。
「…うわ…何が起こってやがる…」
まさに幼き頃の自分そっくり…
「君は、梵天丸君?」
「そうじゃ…」
「どこから来たの?」
「かえりたい…」
「どこに帰りたい?」
「小十郎と、の所じゃ」
……………はい?
「刀見てたんじゃ…」
「う、うん…?」
「が作った鍔で、きれいな竜が刻まれたものがあって」
「うん」
「それに触れたら、光って」
同姓同名だろうか…?
「ここに、来てしまった…」
「…よく判らねえが、とにかく前例、みたいなもんか?」
「なんか起こって、こっち来ちゃったんだね…時空移動?」
梵天丸が、急にがばっと顔を上げた。
「?」
「あ、私もって言うの」
「そうなのか…そういえば先程、小十郎と聞こえたな…」
「俺だ」
小十郎は冷静さを取り戻し、梵天丸に近付いた。
「俺の知ってる小十郎は、もっと若い…」
「でしょうね…」
梵天丸は少し戸惑っていた。
「…小十郎…」
「何でしょう?梵天丸様」
「この小十郎は、このの事好きか?」
「「「はい!?」」」
小十郎とと政宗は揃ってうわずった声を上げた。
「俺の知る小十郎は、どこからどう見てもの事が好きなのに、好きと言わぬのだ」
小十郎は政宗の視線を感じた。
いえ、俺知りませんからマジで…
そんなに見られても困りますから…!!
「…でも、俺もが好きじゃ…」
「!!」
梵天丸がしゅんとしてしまった。
「…その、さん、梵天丸君のことも好きだと思うな」
「…む…そなたは、俺の知るではない…」
「そうだけど、でも、大丈夫だよ。こんなにかわいい梵天丸君のこと、嫌いなわけないよ」
じいいいと梵天丸がの顔を覗くと
目をぱちぱちさせて
「…は、似ておらぬが」
「ん?」
「優しいところは、似ておる」
「わああ、ありがとう」
がにこりと微笑みかけると、梵天丸も笑った。
「……あ、落ち着きましたか?」
「…お前もな、小十郎」
小十郎は梵天丸の可愛さにさっきまでふるふるしていたのだが、話は聞いていたようだ。
「政宗さん、城に、鍔に竜が刻まれた刀って無いの?」
「…鍔に、なあ…とりあえず探させてみよう」
小十郎が家臣を呼び、刀の特徴を簡単に伝えて探すように指示した。
「梵天丸君、見つかるまで、待っててね」
「うむ」
は長時間梵天丸を抱っこしていたのか、腕が疲れてしまったようで、落ち着いたのを機に梵天丸を降ろした。
「おい、俺」
「…そ、そなたが、俺か?」
政宗は腕組をして梵天丸を見下ろした。
「お前の知ってるは、どんなだ?」
政宗はずっとにやにやしている。
もちょっと気になったので、座り込んで聞き手に回った。
小十郎も同様。
「は、刀鍛冶をしておる!!」
「…か、刀を…」
は、なんだかそっちのさんの方が優れている気がして、ちょっと先を聞くのが怖かった。
「料理も上手なのだ!!」
「ほう…」
「肌が白く、美しい黒髪で」
「…」
政宗がちらりとを見た。
はちょっと悔しかった。
絶対そっちのさんのがいいなあとか思ってる…!!
「よく小十郎の頬をつねり」
「「「……」」」
「よく小十郎を蹴り上げ」
「「「………」」」
「よく小十郎に襲い掛かるのだ!!」
「このがここにいてくれてありがとう!!!!」
「小十郎さん!!!!」
小十郎とは出会いに感謝し、ひしと抱き合った。
「……」
政宗は、女に翻弄される小十郎も見てみたいなと思っていた。
「それで、は…」
「ん?」
「は、俺が甘えると、すぐ我を忘れて可愛いと絶叫し、俺を恐ろしいほどの締め技にかけるのだ」
「……」
すげえよ。
「そして小十郎がを止めにかかるのだ。だから、俺はあまり甘えられぬ…」
さん…!!もっと自制してあげて…!!!
「…そなたには、少し甘えても良いだろうか…?」
上目づかいで覗かれては、駄目とは言えねえ…!!
「いいよ!!梵天丸君!!ね?小十郎さん!!」
「ああ、梵天丸様の自由にどうぞ…!!」
「……」
小十郎とは梵天丸にきゅんきゅんでした。
「…おい」
「どうしたんですか?でっかい梵天丸」
「コラ!!!お、俺はそんなに甘えん坊だった記憶がねえ!!」
「政宗様は姉上には甘えてらした」
「…何が言いたい小十郎」
「年上の姉ちゃん好き…」
「てめえええええええ!!!!」
なんだかと小十郎の結束が固くなっていた。
「ん?なあに?梵天丸君?」
梵天丸は、膝を立てたの足首を持って
「「!!」」
片方ずつ少し広げさせた。
ちょっとしたM字です。
「何してんだ俺ー!!!!!!抵抗してくれよー!!!」
政宗は、目の前の状況を見ていられないけど自分を止めねばならないしで混乱しました。
「政宗様、落ち着いて」
小十郎はほわわんと優しい笑みを浮かべ、左目を手で隠して現実逃避しようとする政宗を止めた。
「居心地が良い…」
「梵天丸君かわいい…」
梵天丸はの両足の間に入り、の体に寄りかかっていた。
「あああ…可愛い…政宗様…絵師を呼びましょう…この場を描いて頂きましょうよ…」
「……」
小十郎がだんだん明智みたいなキャラになってきて、政宗は不安でいっぱいだった。
「……」
そして梵天丸の頭がちょうどの胸の辺りにあることが気になっていた。
…俺よ…
それは計算か…?
かなりタチ悪いと思っていた。
そう思っていると梵天丸が頭を動かして、の顔を覗き見た。
当然擦ってしまったようで
「…っ」
がぴくりと反応した。
「、は歌は詠まぬのか?…?」
「…え?あ、ああ、私は…そういうのはちょっと…」
「どうした?何かあったか?」
「なんでもないよ…!!」
は誰にも気づかれないようにと必死だ。
政宗が気づいているとは思っていないだろう。
「…、嫌なら嫌って言っていいんだぞ?」
「!!」
「な、何言ってるの?政宗さん?」
政宗の言葉に、梵天丸は酷くショックを受けたようだ。
「!!!!おれのこと、き、きらいか…?」
「大好きですけど何か?」
は笑顔で即答した。
「よ、よかった…!!ええい!!おれ!!紛らわしい事を言うでない!!」
「なんだとー!?こいつ生意気…!!」
「この方、政宗様ですけど…」
小十郎の言葉は流された。
「おーい、殿ー」
ひょっこりと成実が部屋に現れた。
「何か探してるって聞いたんだけどーこれ?」
「お前が持ってたのか!!」
成実は刀を取り出して鍔を指差し、政宗に見せた。
「ガキ!!これか!?」
くるりと政宗が振り向くと
と小十郎が、梵天丸を両側から抱きしめてびくびくしていた。
「…何してんだ」
「帰っちゃうの…?」
「も、もう少し…」
「ありがとう、、小十郎…」
政宗は口元を引きつらせた。
その横で、成実は目を輝かせていた。
「梵じゃん!!なになに!?可愛い!!どうしたんだよー!?」
刀を持ったまま近づいて
…というか、成実は三人に向けてダイブした。
「ぎゃあああああ!!」
「成実様あああああ!!!!!」
「あ…」
成実は目をぱちぱちさせて
「…え?何?片倉殿に向かって飛んだつもりだったんだけど…?ごめんちゃん、梵…俺そんなに重かった…?」
しゅんとしたまま、成実が体を起こすと
「…あれ?」
梵天丸は消えていた。
と小十郎か固まったままだ。
「…梵は?」
「…刀持ったままで飛び込むなよ、成実…」
政宗は三人の元に歩み寄って、と小十郎の頬をぺちんと叩いた。
「夢から醒めな」
「政宗さん…」
「政宗様…」
仕方ねえなあと、ため息をついて
「…可愛がってくれて、ありがとうな…」
と小十郎は、その言葉にぺこりと頭を下げた。
一方、梵天丸は
「梵!!!梵!!!!」
「叩くな!!叩くなって!!!せめて揺すれ!!」
「頭打ってたらどうするんだよ…!!」
「だからって叩くのか!?いいから…!!寝かせて…医師を…」
聞きなれた声が、耳に響く。
「…小十郎…」
「梵!!」
「梵天丸様…!!!!」
左目をあけると、も小十郎も、泣きそうな顔をしていて
「おれは…」
「いきなり倒れたんだよ…!!どうしたの!?転んだの!?頭…痛くない…!?」
「すみません…小十郎が…目を離さなければ…!!」
目に涙を貯めながら、は梵天丸を優しく抱きしめていた。
は、こんなに優しい抱き方を知っていたのか…
「…と、小十郎に、会っていた」
「…え?」
「ま、まさか、梵天丸様…寝てただけ…!?」
「遠い場所に居る、と小十郎じゃ」
自分でもおかしなことを言ってると判ってたが
「そこの二人は、とても仲良しで」
「ぼ、梵?」
「……」
「ふたりで、おれを、優しく抱きしめてくれたわ」
と小十郎の口元が引きつった。
夢だったのかもしれないし、あの世界の二人のほうが好きというわけではないけれど
もし、二人が互いに想い合っていたら
もう少し素直になって欲しくて
「…こ、小十郎、ど、どうするよ?」
「俺に聞くのか!?ずるいぞお前…!!」
「……」
「お前男だろうが!!」
「それもずるい!!そういうのは意見を持ったほうが言うべきだ!!お前何か言いたい事があるんじゃないのか!?」
「なっ…何を…!!」
「……」
子供が
二人を想って話振ったんだから
「…空気読めよ」
「梵!?」
「梵天丸様!?」
こっちのふたりは、随分と子供だったようだ。