が右頬を両手で押さえる。
目に溜まる涙を零さまいと必死に目を見開く。
そのまま自分を見つめるは訴える。
―私…そんなに、いけない事をしたんですか…?―
謝るべきなのか怒るべきなのか、悲しむべきか逃げるべきかも判らない。
そんなに追い討ちをかけたいと思ってしまった自分は
狂っているのだろうか?
と町に出るのは久し振りだった。
しかし小十郎は数軒、用のある店や家を回らなければならない為、ゆっくりするわけにはいかなかった。
でも折角だから、と茶を飲む時間は作っていた。
「、待たせて…」
店から出て、悪かった、と言おうとしたがの姿が見えず言葉が止まった。
さっきまでは、自分が出てきたらすぐ、まるで主人を待っていた子犬の様に駆け寄ってきたのに。
「厠か?…待たせすぎたか?」
頭を掻いて回りを見回す。
今日は紺の着物を着ていたはずだ。
百合の花の柄が綺麗な…
「あれ……だよな?」
こちらに背を向けて、誰かと話している。
見た事の無い、若い男。
「…誰だ?」
町の人間と仲良くしている光景…でいいのだろうか?
が困っている様子は無いから、軟派な男に声を掛けられたわけでは無いようだが…
「……!!!」
は人懐こいところがある。
でもそれは、男好きとかそういう分類に入るものではない。
しかし、目の前のは、
男と一緒に談笑し、男がの頭を撫でるのを許している。
1尺ほどの距離で立っている。
「……。」
気に入らない。
「!!」
「あ!!小十郎さん、終わったの?」
男に礼をし、自分のもとへ帰ってくる。
「小十郎さん、ごめんなさい。次はどこ?」
「…」
紹介しないのか…
「今のは誰だ?」
「あの、以前私が熱出したときあったでしょ?その時お世話になったお医者様の息子さんだよ。」
何故?と聞きたくてしょうがない自分が嫌だ。
まるで嫉妬しているようで。
しかし、は小十郎の雰囲気から察していた。
「前にね、町を歩いていたら、お医者様に会って…その節はお世話に〜ってご挨拶に話しかけたら、一緒にいたんだよ。あの人も医者志望だから、その後大丈夫でしたか?って心配してくれて…」
「今も偶然会ったのか?」
「そうなの!!家が近くなんだって。」
…なぜ、そんなに嬉しそう?
………なぜ、自分は苛々している?
「…、少し、休んで良いか?」
「もちろんです!!茶屋?」
「いや、あそこに行こう。」
小十郎は、大通りより少し裏道に入ったところに見える、1つの大きな建物を指差す。
「あれ、何屋さん?」
「宿屋だが、俺の顔がきく。少しの滞在も許可してくれるだろう。」
小十郎は本当にただ休むだけを目的にそこへ向かう。
(町でを放って一人にはなれない…)
そんな事をして、に何かあったら大変だ。
だが、少しの時間でいいから一人になり、頭を冷やしたい。
(が厠に行けば一人になれる。…そういや昨日、政宗様の政務を手伝って寝るのが遅れていたな…すこし昼寝させてもいいか…。)
「わーわー足むくんでるよー!!結構歩いたからなー」
部屋に着くなり、は足を投げ出した。
「こらこら、はしたないぞ。」
「いいじゃないですかー。小十郎さんしか居ないんですから。」
「ま、まあ、そうか…」
自分を信用しているというよりは、自分に気を許しているという感じだが、嬉しいことには変わりない。
小十郎の口元が緩む。
「そうだ、小十郎さん。あのね、時間がある時で良いので、是非さっきの方を紹介したいんですが。」
少しだけ
胸が締め付けられるような感覚を覚える。
「なんでだ?」
「彼もきっと優秀なお医者様になるよ。素敵な夢…目標を持ってるの。こんな人がいるんだなって知って欲しいなって…」
「を利用して政宗様に近付くつもりかもしれないだろ」
発してすぐ口を手で覆う。
に向かって言ったということが信じられないほど、低音で怒りを露にした声だった。
「…ご…ごめんなさい…」
は肩に力が入ってびくびくしてしまっている。
「…あ、す…すまん、政宗様と、のことが心配でだな…」
あの医師の息子なら自分だって信用できるはずだ。
なぜそんなことを口走った?
「それはありがとうございます。でも…本当に優しくて、自分の意見を持ってる人なんだ。」
他の男を褒める。
「礼儀正しいし」
だめだ。
気に食わない。
なぜ?
決まってる。
には政宗様を見て欲しいから…
…それだけか?
このつっかかりはなんだ?
「結構堅いとこもあるから小十郎さんとも気があ…」
の言葉を最後まで聞かなかった。
どうしようもなく腹が立ち、を殴った。
平手でだったのは救いだったか。
乾いた音が部屋に響いた後のは良い顔をしていた。
行き場を失った小動物だ。
震える声が俺の名前を呼んだ。
ゾクゾクしてきた。
もっと、
もっともっと追い詰めたら、どんな顔をする?
痛がる表情にどうしようもなく興奮してしまう。
は情事の最中もこのような顔をするのだろうなと想像してしまう。
この子が"女"になったら
いつものあどけない表情が一変、快楽を求めて男に縋るようになったら
…政宗様を求めるようになったら
そうだ、それがいい。
他の男との接触を許している場合ではない。
「」
返事はない。
「政宗様に粗相のないよう、今すぐ覚えろ。」
俺があの男に嫉妬しているなんて、そんなことは無い。
そんなことはあってはならない。
「いいか、」
ほら、大丈夫じゃないか。
「とにかく落ち着くんだ。政宗様の優しさは知っているだろう。落ち着いて受け止める。じゃないと濡れないからな…」
政宗様がを抱くところを想像しながらの行為だって出来てる。
「自分からは脱がなくていい。もし求められたらこれを…」
きっと最中を目撃したって大丈夫だろう。
「黙って舐め上げて、口に含め。出来るだけ唾液を出せ。」
俺がを好きなわけがない。
当たり前だろう?
政宗様の気持ちを知っているんだ。
だから…
「ぐっ…んぐぅ…!!がっ…」
ふと我に返ったのは、苦しそうな声をが荒げた時だった。
「………。」
やりすぎだ。
の頭を両手で掴んで、腰を思いきり振っていた。
可哀相に、は涙を流しながら、力の入らない腕で抵抗しようと、自分の大腿を押そうと必死になっていた。
「ひゃ…め…」
小十郎の動きが止まり、手の力が弱まった為、顔を背けようと、ゆるゆると首を動かす。
「や…も…離し…」
「!!」
にとっては、抵抗だったのだろう。
もちろん、そこを噛み千切ればどうなるか判っている。
だから、口に含んだままの小十郎のものを、優しく噛んだ。
「…!!」
逆効果だ。
ゾワッと、興奮が背中を走る。
「は…む!?」
堪らなくなり、再び動き始める。
しかし長くは続かない。
「っ!!………!!」
声にならない声を上げ、は脱力し、倒れこんだ。
「…うぶっ…!!おっ…おぇ…」
小十郎の出した欲は、の開いた口から吐き出される。
空気を思いきり吸いたいが、匂いと残る感触が、それを邪魔する。
「…」
眉を寄せ、小十郎がの背を擦った。
抵抗が無かった為、そのまま顔を覗きこむ。
「………。」
顔色は真っ青で、目が虚ろだ。
「うっ…う……」
静かに、また涙が流れ出す。
それが小十郎に、言葉にならない痛みとなり突き刺さる。
「…」
「ごめ…なさ…」
なぜが謝るのかが理解できない。
「怒らせ…私…何も考えてなくて…」
「何を言ってる…俺が…すまん…途中…狂っちまって…」
そんな簡単な謝罪で済むわけが無い事は判っていたが、今はの話を止めたかった。
「こ…」
「も、もう話すな…!!今、水を持ってくる!!」
自分がした仕打ちとはいえ、喋る度に泡立った自分のものが口から溢れるの姿を見ていられなかった。
宿に用意されていた手拭いを手に取り、急ぎの顔を拭く。
「こじゅ、ろうさ…」
「いいから…!!お前は何も悪くないから…だから…」
これでもう、何も考えなくて良いだろう、と思う。
もう俺は、を守る資格は無い。
もう二人きりになることはない。
に関することで、誰かに苛立ちを覚えることだって、そんなことは許されない。
だから…
「きらいに、ならないで…」
何度も何度もの顔を拭いても、涙が溢れ頬を伝う。
「ま、また…小十郎さんと…おでかけ、したいよぉ…」
「なんでだ…」
「畑…いく…また、一緒に…収穫…」
「…なんでだよ…」
こんなことをされて、まだそんなことを言う。
訳が判らず、小十郎は片手で顔を覆った。
なんて事をしたんだろう。
なんでこの子はこういう性格なのか。
泣きたいのは俺のほうだ。
は失望してくれていいんだ。
「小十郎さん…お願いだよ…」
自分に向けて伸ばされる手を拒む事はできない。
「い、言って欲し…私のこと好きって…だめ?」
「……。」
「だめ…?」
の両脇に手を入れる。
そして赤子を扱うように起き上がらせ、そのまま抱きしめた。
だめだな。
は全然体に力が入っていない。
今日はここで休もう。
帰るのは明日だ。
もちろん、ただの隣に居させて欲しいだけ。
それ以上何かを求めたい気持ちは無い。
「…好きだ」
耳元で呟けば、ゆっくり小十郎の首に腕が回される。
「う、げほ…」
「大丈夫か」
「…おいしくない…」
「だろうな…」
「……小十郎さん…」
「待ってろ、今度こそ水を…」
「…小十郎さんのこと、好きなんですが…」
「………。」
「…ちょっと…受け止めるにはおっきくて…」
「………お…俺はどういう反応すればいいんだそれ……。」
「あの…もう少し小技から教えて頂けると…」
顔色は変わらず青いし、体は弱々しく自分に預けたままだが
って、結構強ェな…と思った瞬間だった。
「小十郎さーん」
「…もう元気になったなら…城に戻ろうか…」
「勃って無い時ってこんな感じなんですねえ…」
「………。」
宿の布団の上。
小十郎の上に跨るがいた。
「あ!!」
「……………。」
「起き上がってきた!!」
「……」
「小十郎さんはどこをどうされるのが好きなんですか?」
「………………。」
誰かこの
子猫だとおもったら獅子だったこの子を止めて…
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裏なので暴走してしまいました
いいよね裏だし!!と思う自分と全力で土下座する自分が居ます
小十郎夢で、切ない→甘で裏というリクを…
………
ひゃっほう!!!!
切ない→裏→甘?になってる!!!!
頭飛んでたみたいでっすあほ管理人ー!!!!!!!!
………
よし、
裏の要素はラスト14行の部分だけということで(あほうー
り、リクありがとうございました!!
頭の足りない管理人ですいませー!!!!!