「全く!!政宗様いつまでたってもやんちゃばかりだ…!!」

小十郎はそう言って、空になった一升瓶を畳みに乱暴においた。
ドンという大きい音に、は眉を顰める。

「…小十郎さん…飲み過ぎ…」

いつもはザルの小十郎が、頬をかすかに染めて、愚痴を言う。
これほど酔った姿を見たことがなく、は心配そうに寄り添う。

「明日には帰るよ…」
「明後日だ、絶対に明後日だ…俺の怒りが呆れに変わる頃政宗様は戻る…」
「そうなんだ…」

溜まった書類に気が滅入った政宗は、鷹狩りに行くと書き置きを残して消えてしまった。
注意をしていたのにまんまと逃げられ、小十郎はやけ酒に走った。

「付き合わせてすまん……」
「ううん、いいよ。小十郎さん。」

部下の前では、政宗の不在を心配させまいとしっかり指示を出していたが、自分と二人きりになると愚痴を言い出す。

としては甘えられてるようで悪い気はしない。

を放って出掛けるなんて…」
「私と趣味は別でしょう」
「まぁ…政宗様はやりたいことはなんでも行うからな…」
「自由気ままな政宗さんも、私好きですよ!」
「そうか…」

政宗は逃げる際に、に誘いをかけていたのだが、逃げだと知っていたは、仕事が終わってからなら一緒に行く、と言ったのだった。

政宗は、おまえまで!!と若干のショックを受けて、余計に素早く逃げ出してしまった。

「…一杯くらいどうだ?」
「…じゃあ、ちょっとだけ…」

盃を受け取り、味わいながら飲む。
舌触りがまろやかで、ゆっくり飲めば気持ち良く酔えそうだ。

「…いつからだったかな…」
「?」

小十郎がわずかに下を向き、情けないような表情になる。

「こんなに、に甘えるようになったのは…」
「ふえ?」

本当に間の抜けた声が出た。
信じられなかった。
甘えられているようだと思ったが、小十郎本人までもがそう感じていたなんて。

「今まで、こんな話を誰かとするなんて考えられなかった。」
「…」

「今までは何か思っても抱えこんじまうだけだったが…は聞いてくれるからな…」
「あ…」

小十郎にとっては、こんなことですら甘えなのか、と驚くと同時に不思議な気分になる。
「…そうなんだぁ…」

もっと甘えてほしいとか、

甘やかせたいとか…

「えへ…」
「?どうした…」

にっこりとは笑い、小十郎に近付く。

「甘えていいよ〜小十郎さん!!」
「!!!!!!!」

小十郎の頭を抱え込み、ぎゅっと力を込める。
どうしようもなく可愛いと感じてしまった。
…!!」
「あれれ?」

小十郎は大人しくしてくれるだろうと思っただったが、予想外に暴れ始めた。

「頭撫でる〜〜〜!!!!」
「い、いらんいらん!!!!!!」
「ひどいー!!!!小十郎さん照れ顔は可愛いのにー!!!」
「て…!!!」

咄嗟に小十郎は頬に手を当てた。

「あまりからかうな…!!酔った大人を…」
「正直に言っただけだもん…。それに…ぎゅってしたい…」
「………。」

小十郎が困った顔をした後、何かを考えるように天井に目を向けた。

「どうしたの?」
「…理由を考えてる…」
「理由?」

ふっと笑い、の手に自分のものを重ねた。

に触れる理由をな…」

可愛いこと言われたら、触りたくて堪らなくなった、と
耳にボソリと呟かれるとの顔は真っ赤になった。

「小十郎さん…」
「政宗様に置いて行かれて、心中穏やかじゃねえだろ?」
「政宗さんのあれは今に始まったことじゃないしっ…」
「……慰めてやる…」
「はっ…」

話聞いてよー!!と叫び終わる前に、は頭をごつんと畳みにぶつけるはめになった。

「小十郎さんー!!!!!!!!!!!」
…嫌か?」
「い、いやとかそうじゃなくって…」

押し倒されて痛いくらいに抱きしめられて、目の前の男との関係を考えると、からかわないで下さいと暴れだせば止めてくれるし笑い話になるだろう。

流されたくなんてなかったけど

「小十郎さん…」

この人をもう少し抱き留めていたいと思ったから

小十郎の指が帯に触れるのに気付かないふりをして、背に腕を回した。






音を立てて皮膚を吸われる。
くすぐったいと思っていたはずが、いつの間にか気持ち良くなってきて、声が漏れる。

「っ…小十郎さ…」
「………」

小十郎の手は着物の合わせ目から背に回され、ゆっくりと撫でられている。
もっとも、どうしようもなくはだけていて、着物は衣類としての役目を果たしていなかったが。

「は…離れないで…」
「…離れなきゃ先が出来ないが…」
「う〜!!!」

密着して首回りに口付けを落としていた小十郎が、起き上がろうとしたのをは腕を回してしがみつくことで阻止した。

今離れられたら、自分のほぼ裸と言っていい姿を見られてしまう。
抱き合うよりもそっちのほうが恥ずかしかった。

「…見せてくれないのか?」
「…はずかしいです…」
「俺はこの体勢のほうが恥ずかしいんだが…」
「え…なんで…」

小十郎が、わずかに足を動かした。
そこでやっと気付く自分を自分で鈍い女だと思ってしまった。

「…え…すご…」

言葉を間違えた。
もっと困惑してうろたえたような台詞を言えばよかった。

小十郎のものの大きさに素直な感想を言ってしまって、顔が真っ赤になった。

「年甲斐もなくすまん…」
「い、いえ…」
「…初めてなんだろう?は…」
「!!」

そう言われて、自分は小十郎に抱かれてしまうんだと認識した。
遅過ぎる。
小十郎の触り方が心地よくて自然に受け入れられて、どこかでそれだけで終わるんじゃないかと考えていた。

「…怖いか?」
「こっ、こっ、こわい…」

素直に伝えれば、小十郎は困った様に笑った。

「判った。」
「ありがとう…」
「優しくする。」
「そっちか―!!!!!!」

止めてくれるものと思ったは叫ぶことしか出来なかった。
両手首を握られ、見下ろされる。

「!!」

の足の間に、小十郎が足を入れる。
膝を曲げた状態で当て、優しく擦り始める。

「うう〜」
困惑した様子で声を出すを、小十郎が笑った。
女の、こんなに可愛らしい反応を見るのは初めてかもしれない。

(遊郭の女と比べる気はねぇがな…)

「ちょっ…」
足の動きはやめずに、今度は胸を舐め始めた。
小振りだが、綺麗だと思う。
先端を舌で転がしたり吸い上げたりすれば、腕の力が抜けて行く。
「っふ…う」

小十郎がの反応を見ようと目線を上げる。
すると、の視線とぶつかった。

「…痛かったか?」

歯を立てた覚えはないが、一応聞いてみる。

「かわいい…」
「?」

が腕を伸ばそうとするので、押さえていた手を離した。
小さな手が、小十郎の頭を包み、軽く髪を乱す。

「…赤ちゃんみたい…」
「………。」

そんな事を言われ、へらりと笑われたので、小十郎は複雑な気分になった。

「…赤子には出来ない事もしてやるから安心しろ。」
「!!」

下腹部に手を這わせ、徐々に下に滑らせる。

「くすぐったい…くすぐったい…」
「少し我慢な…」
「!!」

下着に指先が触れ、優しく撫でられる。

「っ、あ、あ…」

わざとらしくない声に興奮してくる。
もっと聞きたいと思うほうが自然だ。

「!!あ、ちょっと待った…!!痛い…痛い!!」
「…まあ、最初はな…」

ゆっくり挿れてみたが、第一関節で早くも痛がる。
もう少し濡れてからのほうが良いだろうか。

「!!」

慌てて手を必死に伸ばし、止めようとする姿が視界に少し入ったが、小十郎は足の間に顔を埋めた。

最初は優しく、徐々に早く舌を動かす。
吸えばじゅる、といやらしい音が出た。

「恥ずかしいよ…!!やめてやめて…!!」
「気持ちよさそうに反応してるが?」
「そんなことないもんー!!!」

からかったわけではなく、本当に反応している。
はここを舐められるのが好きなのだな、と、ピクンと動くのを感じながら覚えていく。

が今度何かいたずらをしたら、お仕置きに使おうなんて、意地の悪いことを考えた。


「…今度はどうだ?」
「っ、あ!!」

窮屈だが、先ほどよりはスムーズに指が入る。
異物感に腰を捻る姿がいやらしい。

「小十郎さんん〜…」

少しずつ指を動かして、筋肉をほぐそうとするが、なかなか広がらない。

(まあ…最初はそううまくはいかないよな…)

このまま先を進めれば、自分は気持ちよくなるだろうが、はきっと痛みしか感じない。

「……。」
「!!」

ぬるっとした感触。

自分のものをの濡れた部分にあてがう。

「まって、まだ…」
「挿れないよ」

優しく言えば、は不思議そうな顔をする。

「!!!」

腰を動かすが、擦るだけ。

「あ、ああ…」
「どうだ?」
「こ、小十郎さんは…?」
「俺?」
「いいの…?」

先ほどまで嫌がってて、気遣えばそう問う。
笑ってしまった。

「俺はこれだけでも満足…」
「そうなの…?」
「お前が相手だからな…」

きょとんとしたあと、口をぎゅっと閉じて照れてしまった。
しかしすぐに口を開ける。

「ふあ、あ、ああ…!!」
「感じてきたか?」
「判んない…」
「すげえ、濡れてきた。」
「〜〜〜〜!!!!!!!」

激しく動かすと、の声が大きくなる。

「この程度で喜んでくれるとは…」
「あ、ああ!あ、小十郎さん…!!!!」
…」








は着物を直し、部屋で一人正座をしていた。
背には小十郎の羽織が掛けられていた。

「一人にしてすまない。」
「小十郎さん…こちらこそすみません…」

ぺこりと頭を下げた。

結局小十郎は挿入することは無く、別室で自分で処理することとなった。

「気にするな。それより、こんなこと…悪かった。」
「あ、謝らないで下さい!」

謝られたら、小十郎が自分にしたことを後悔しているようなので嫌だった。

「…そうだな…」
「?」

小十郎がの頭を優しく撫でる。

「次があったら、そのときは…」
「つ…つぎ…」

真っ赤になるのが自分でも判る。

「容赦できないかもな?」
「次も未経験の状態なのに!!!!!!」


小十郎の苦笑いが、どれだけしたいのを我慢して抑えてくれたのかを自分に伝えていて、

次があったら全て許してしまうかもしれない自分が怖かった。





















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初夜を小十郎さんと、連載ヒロインの処女バージョンでとのリクを頂きました!!
もふもふ出来ているでしょうか!?
裏はやはりかいててびくびくしてまいます…!!
こんなんでも初夜と言わせてください〜

リクありがとうございました!!