風魔小太郎―

気がつけば教室に居て、声を聞いた事のある人は居ないし、昼休みだってどこで何を食べているか判らない人。
それを探索する人も居ないし、先生だって問題視はしない。

佐助君とかすがとはたまーに一緒にいるところを見たことがある。

そのくらいの情報しかもってないし、自分とは関わりを持つことはないだろうなと思ったのが第一印象。

「……あの…。」

ああ、もうすぐ予鈴が鳴る。

「…風魔、君?」

「……………。」

飲み物を買いに自販機に向かっていると、裏庭にオレンジの髪が見えて、佐助君かと思った。
借りてたDVDは明日返すねと言おうと思って近づいたら、違った。

桜の木の下に座り込んで、昼寝をしている風魔君だった。
膝の上には、子猫が乗っかって、丸くなって一緒に寝てる。

「………………。」

その姿があまりに有り得なくて可愛くて

惚れました。








「風魔君、一緒に帰ろうよ!!」
「………。」

その言葉に返事は無く、小太郎はの顔をじっと見た後立ち上がる。
そして教室を出て行く小太郎に、が付いて行く。

「…あれ、一緒に帰ってる、ってことになんの?」
「一緒にいるんだからそうだろう。」

幸村がやるはずだった黒板の掃除をする佐助がそう呟けば、たまたま通りかかったかすががそう返した。

「何で小太郎かなあ…俺様のが良い男じゃない?」
「言ってみたらどうだ?」
「…んー、いいや、邪魔はやめとこー。」

小太郎が迷惑がっていないのは見て判るので温かく見守ってやろうと、佐助は思った。







小太郎の後ろを一歩下がってついて行くと、図書室にたどり着いた。

「あ、委員会?」
「………。」

「会議?」
「………。」
静かに首を振った。

「当番?」
「……」
今度はこくりと頷いた。

反応を返してくれるのは嬉しい。

最初はシカトだったから、一歩ずつ近づいているのが感じられる。

(…当番、邪魔しちゃだめだよね…)

でも帰りは一緒になりたいので、隅で勉強か読書をしようと思い、小太郎と離れた。

空いている机に荷物を置き、財布と携帯のみ持って本を物色する。
「…あれ?」

ふと、本棚の影から長い黒髪が見えた。
少々震えているように見えて様子がおかしいと思い、近づいて声をかける。

「慶次、どうしたの?」
「!!!!ああ!!!!!!」

呼ばれて振り向いた前田慶次は、目に涙を溜めながら慌てていた。

「失恋?」
「そうなんだよ〜彼氏いないって言うから告白したのに、好きな人がいるって言われて…!!!」
「そりゃ仕方ないって〜。大丈夫だよ慶次なら他に良い子いるって。」
「だといいけどさ…!!今回はいけるって思ったからショックで…」

でかい図体でめそめそする慶次は可愛らしい。
そう思ったから自然と頭を撫でた。

「ありがとう、俺と付き合って。」
「こらこら、やめなさい!!」
慶次が冗談で自分を抱きしめようとするので、やんわりと拒絶した。

「ほら、慶次、バイトの時間は?」
「あ、やば…!そろそろ向かわないと…!!」
「良い出会いがあるといいね〜」

また明日ね、と手を振り、慌てて出て行く慶次を見送る。

途中振り向き、今度デート誘うわ!と叫ぶ慶次に焦りを覚える。
小太郎に誤解されたら嫌だ。
メールで好きな人がいるからあんまり私に構うなと送らなければ。

「……。」
「わ!!」

気がつくと小太郎がすぐ横に立ち、本の整理をしていた。

「…あ、うるさかった?ごめんね…」

なんだか不機嫌なようだったので、謝ってみる。

「…………。」
無反応。

「風魔君、どうしたの…?」
「………。」
そう聞くとやっとの方を向いた。

そして距離が縮まる。
「風魔君…?」
「……。」
「えっ!」
心臓が高鳴った。
小太郎がの耳に口を寄せた。

そしてゆっくり、言葉を発する。

は硬直した。

『…遊び人なの?』

慶次をぶん殴りたくなった。

「ち、違うよ…!さっきのは…慶次が馴々しいから…!!」

「……。」

「でもあのくらいは…コミュニケーション…じゃない…?」
小太郎がの肩を掴んだ。

「…………。」
「なんか怒ってます…?」

もし自分が遊び人なら、小太郎は遊び相手。
そんなわけがない。
これはちゃんとした恋心なのだと言いたいがそれは告白になってしまう。

(まだまだアプローチ足りない絶対フラれるでしょ!!!)

ならばなんと言えば丸く収まるか考えてるうちに、気がつくと逃げ場のない角に押しやられていた。

「風魔君…」

やっばい怒ってるよこのくらいで怒るってピュアなのね風魔君かわいいと思ってしまったのは秘密だ。

そして

この展開は?

「……。」
「ちょ、ちょっと…」

他に生徒はいないのだろうか?

先生は?

「風魔くん…!!」

大きな声が出せないので小声で訴える。

「…ちょ…」

肩に顔を埋め、何をされるかと思えば歯を立てられる。

「いっ…!!」
「……。」
「ちょ…」

制服に手を忍び込ませ、身体のラインをなぞられる。

「〜〜〜〜!!」

ゾクゾクと反応してしまった。

「っやめ…」
「……。」

細くて可愛いなあと思っていたのに、抵抗して身体を押そうとしてもびくともしない。


「んっ…」

胸に小太郎の指先が触れ、声が漏れた。

それを聞いた小太郎は、の口を手で塞いだ。

「…んぐ…」

黙ってろと、言われた気がした。

急に怖くなって小刻みに震えてきた。
抵抗したら殴られる?
泣き出したらどうなる?

「ふぅ…ま…く…」

名前を呼ぼうとしても、気にした様子もなく、ただ体に触れられる。

「〜〜」

小太郎の手首を掴み、必死に外そうとする。

「……。」

それほど力強いものではなかったが、小太郎は手の力を緩めた。

「…私…風魔君だけ…」
「……?」

はきゅっと目を閉じた。
判ってもらいたくて、まだ言いたくなかった言葉を懸命に紡いだ。

「風魔君が好きなの…風魔君だけ…!!」

言い切ると想いがあふれ出し、このまま全てをぶつけようと決心した。

「だから…!!」

ばっと目を開けると

目の前の小太郎は

顔を真っ赤にして

今度は小太郎のほうが、ふるふる小刻みに震えていた。

「〜〜〜〜。」

「あ、ちょっと!!風魔君…!!」

真っ赤な顔を腕で隠し、小太郎は図書室から走って出ていってしまった。

「え…?」

告白されて…

恥ずかしくなって逃げた?


「………。」


お前のが何倍も恥ずかしい行為してるわぁぁぁぁぁぁ!!という叫び声が響き渡った。

そして服を直しながら、本当にあの男がいいのか考え直す。

「価値観の相違は重要って…雑誌に書いてあったわ…」

でも

「風魔君…言葉責めに弱そう……。」

Sに目覚めそうな、だった。


















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ぬるーいですが
公の場でなんかやってるってことで
年齢せいげんを…え、えへ!!

現代学園パロでリク頂きまして
主人公…ああ!!主人公長編のがよかったーとかありましたかね!?
でしたらすいませ…!!あわわどうしよう許してくださ…!! 
リクありがとうございましたー!!!