ぽかぽかと気持ちの良い日差しを浴びて、小太郎は原っぱに寝転んでうとうとしていた。
「……」
目線の先には鳶が
大きく弧を描いて跳んでいる。
「……」
あそこから、自由な思いで
遥か彼方を眺めるのは
どういう気持ちになるのだろう…
「………」
特に、羨ましいなどという気持ちは無い。
ただ高いところが好き。
それだけ。
「小太郎ちゃーん!!」
の呼ぶ声。
こんなに良い天気だ。
と一緒に空を見るというのも、良い。
のっそり起き上がると、後方から来たが勢いよく小太郎の隣に座り込んだ。
「日向ぼっこ?私も一緒に居て良い?」
こくんと頷いた。
「えへへ…ありがとう。日差しはぽかぽかで良いよね…。奥州って寒い日多いし…。…メラニンとか皮膚癌とか気にしないこととしよう…」
「……」
なんだか、言葉の響き的に気にしたほうがいい気がしたが、がいいならいいのだろうと思うことにした。
と一緒に寝転ぶ。
「あ、鳶」
こくり
同じものを見ている。
なんだか嬉しい。
ピーヒョロロロロ…
「鳴いてる」
こくり
上昇気流にのって
優雅に飛ぶ
「…」
自由に
自由に
「ん?」
が小太郎をじっと見た。
小太郎もはっとして、を見た。
つい、声に出してしまっていたようだ。
「何?何か言った?」
「……」
めったに話さないからか、は焦ったように聞き返す。
…あまりに必死なので、言ってあげなければならない気がした。
しかしなぜか改めて言うのが恥ずかしいので、寝転んだまま、できる限りの耳元に近づいて話した。
…鳶、は自由に、飛ぶんだな、と
気配から、がきょとんとしたのを感じた。
…言うんじゃなかった!!
当たり前だと思われたか…
「…羨ましい?」
「!!」
勘違いされたかと思い、今度は小太郎が必死になって首を振った。
はまた空を見つめた。
「自由だけど…」
「?」
「自由に飛び続けたら、疲れちゃうよ」
「…?」
同じものを、見ていたはずなのに
「止まる場所なかったら、飛べない」
「……」
考えが、こんなに違うなんて
「確かに、気持ち良さそうだけどね」
……こくり
「小太郎ちゃんみたいね」
「…?」
俺があの鳥のようだと?
「小太郎ちゃんも高い所飛んでる」
…それは一応忍だから…
「…ねぇ、もし小太郎ちゃんが、鳥になりたいんだったら…」
「……」
「……」
「…?」
が突然顔を真っ赤にした。
「?」
「…なんでもない!!」
「…!!」
ぷいっとそっぽを向いたに、小太郎は少しショックを受けた。
「〜〜!!」
「あああ言いませんなんでもないです」
を揺すっても、頑固に口を閉ざした。
仕方無く、また空を見つめた。
鳶はどこかへ行ってしまった。
餌を見つけたか、どこかの木に止まったのだろう。
―俺が鳥みたい、か…
―わ、悪い事したかな?で、でも…
―俺にはが居るから
―…やだな…私、小太郎ちゃんに何言おうとしたよ恥ずかしい…
―の、言うとおりなら
―…私が、小太郎ちゃんの止まり木になりたいなんて
―俺は、がいれば、鳥になれるのか…
は頭をふるふる振った後、俯きながら、小太郎に寄りそった。
「小太郎ちゃん、さっき普通に私の名前呼んでくれたねー。なんだか嬉しいやー!!あはは!!」
そういうと今度は小太郎が顔を真っ赤にした。
「こ、小太郎ちゃん…?」
「……」
最近どうしても
の名を呼びたくなるんだから仕方ないだろう…
「小太郎ちゃん…」
が小太郎の顔を覗き見た。
「ーーーーー!!」
寄り添ったまま首を動かすから、擦り寄られてる感覚だ。
は犬猫じゃないんだから…!!
というか俺は何故こんなに動揺…!!
「……」
判ってるんだけどな…
はもう俺の家みたいになってるんだし…
…止まり木なんて規模じゃないんだ…
「……」
…家か
そうだな…
家があって
俺はすでに、随分と自由だ
「…小太郎ちゃん、なんか眠くなってきたねえ〜」
「……」こくり
「ちょこっとお昼寝しようか…」
「」
がびっくりした。
「は…暖かいな」
「小太郎ちゃんのほうが、ぽかぽか…」
「…暖かい」
「…む、むう…じゃあ、じゃあ、どうせ暖かいなら」
今度はが小太郎の耳元に口を寄せて
「…さ、寒い日には、小太郎ちゃんのことを、暖められる位に…な、なりたいですね」
小太郎がクスリと笑った。
「どうして敬語なんですか?」
「うおぎゃああああ!!!!何!?何で今日饒舌!?そしてなぜ意地悪!?」
意地悪なのは政宗さんだけで十分だー!!
「…俺じゃ、駄目なんですね」
「そういう意味じゃ…!!恥ずかしいんじゃあああ!!!敬語やめええええええ!!!!!!!!」
そっとの手を握って、慌てるを落ち着かせた。
「……」
「……」
は、じいいいいいと小太郎を見つめ
「?」
少し首を掲げて、寡黙に戻ったことをアピール。
は、ほっと安心して、小太郎の手を握り返した。
「小太郎ちゃんは、小太郎ちゃんのままがいいですね…」
「そうですか?」
「うおおおおおおおおおいおいおいおい!!!!!」
のビビる態度が面白くて少しはまりそうになってしまったが
もうそろそろいつもの俺に戻らないと。
日差しの暖かさとの暖かさが混じって、俺には少し熱過ぎた。
「…ま、まあ、たまにはこんな日もいいよね…」
「……」こくり
「たまに、だから、幸せだって思えるんだよね…」
「……」
…俺は、いつもの傍で幸せを感じているのになぁ…
「…いじめていいですか?」
「なんなんだよおおおおおおおおお!!!!?」
がばっと起き上がったは、耐えられなくなったようで、だだだと走っていってしまった。
小太郎はただその後姿を見つめながら、にっこり笑った。
―暑さのせいだから、許してくれるだろう。は。
俺も意地が悪いなと思いながら、立ち上がって、走り出した。
飛び上がって
高く高く飛び上がって
見下ろした。
「……」
、どうやら俺は、鳥にはなれないようだ。
羽を動かすより
君の隣を歩きたい。
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不完全燃焼としか言い様が…
小太郎が饒舌ですいません…!!
でもあんな可愛い顔して(顔?)敬語使ったら可愛いなあとかも最近…!!
この文では主人公の敬語真似しただけですけど!!(補足…?)
…鳥ネタは政宗だよなぁ…すいません…
夕月様、小太郎のほのぼのリクしてくださった方、
ありがとうございました!!
小太郎っぽくなくてすいませ…!!