軽い気持ちで読みましょう
***人魚●***
人魚姫は海の上に浮かび上がる事を許され、初めて見る外の世界に目を輝かせていました。
「まあ、何て大きな船!!」
人魚姫は船の甲板にいるアニキに一目ぼれをしました。
すると突如、その船は豊臣軍に砲撃され、沈んでしまいました。
「ぎゃあー!!半兵衛さんやりすぎだよー!!」
人魚は、でした。
人魚姫は、海の中を漂うアニキを見つけだし、砂浜まで運びました。
人魚姫は体格のいいアニキを、波打ち際に横たえる事しか出来ません。
「アニキ、重い…でもここじゃ、潮が満ちたらまた海の中…ああそうだ、心肺蘇生法をしなきゃ…意識、呼吸、循環確認…ここじゃ、この状態じゃ、除細動器はできないし…」
人魚は戦国では無駄な知識がありました。
「!!」
人魚姫は人の気配に気付き、海に飛び込みました。
誰かがアニキに駆け寄っています。
横顔しか見えませんでしたが、とても美しい人でした。
人魚は、アニキが運ばれるのを見届けた後、自分の住まいに帰りました。
しかしその日から、頭の中はアニキの事でいっぱいでした。
何とかしたいと思い、人魚は魔女に相談しに行きました。
「なんじゃあ!?人間になりたいのかあ!?そりゃあ困ったもんだ!!酒でも飲んでたほうがええぞ!?」
「ええと、あの…」
魔女?は、島津のおっさんでした。
「判らんでもないがの!!ワシも人間になって、忠勝どんと戦いたくてのう!!」
「ああ、そうですか…」
昼間っから酒をぐいぐい飲んでいます。
「あれだ、一度人間になったらもう戻れんぞ!?好きな男と永遠の愛を誓えなかったら、海の泡になって消える!!ワシの場合は忠勝どんに勝てなかったら泡になる!!」
「へえ…」
「本望だ!!!!」
「ですよね」
なんでか魔女?と一緒に人間になる事になりました。
「あの、声、取らないんですか?」
「声?なぜ?」
「…いや、なんでもないです」
鬼島津は、結構テキトーでした。
二人で陸に上がって、人間になれる薬を飲みました。
ゴーヤー味でした。
人魚姫は吹きそうになりました。
島津のおっさんはまずい!もう一杯!と叫んで、忠勝さんに会いに行ってしまいました。
人魚はそれは青汁だ…と呟き、あのおっさんいつか殴ると思いました。
そうしていると、いつの間にか背後に人が立っていました。
忘れもしない、アニキでした。
「どうした、お嬢さん?…どこから来た?」
人魚はすでに人間の姿になっていました。
「あ、あの…」
「お困りのようだな?俺様のとこに来るか?」
アニキは、親切でした。
を城に連れて行ってくれ、綺麗な服を着せてくれました。
そしていつもそばにおいてくれました。
アニキはしょっちゅうを浜辺へ連れて行き、豊臣軍から砲撃を受けたときに助けてくれた人の話をするのでした。
「目覚めたら元就が俺を見下ろしてたんだ!!目が合うとフン、馬鹿め、って言いやがった!!」
美しいと思った人は、男でした。
はショックを受けました。
「…でも、助けてくれたんだよなあ…あのツンデレ…」
「…」
は、この先の展開に恐怖を覚えました。
BL色に染まるのだろうか…
しかし、はそれはそれで見てみてえな…とだんだん腐ってきていました。
ある日、元親は船でどこかに行ってしまいました。
は帰りを待ちました。
そして帰ってくるなり、にこういいました。
「毛利と、同盟組む事になった!!」
「…よかったね」
はいいかげん早く失恋したいなあと考えていました。
同盟を結んだ晩、海を眺めながらこの先の話の進行に不安を感じていると、海からかすが姉さんが顔を出しました。
に、クナイを渡しました。
「それで奴の心臓を抉り取れ…喉を切り裂いてもいい…」
「怖いよ!!!!!」
「奴を殺せば、お前は助かる…」
「かすがも、人間にしてもらって、謙信様のところ行けば?人魚姫番外編。」
「ななななな、私は、謙信様を遠くから見れるだけで…!!」
かすが姉さんは、軽いストーカーでした。
は、元親の寝室に忍び込みました。
のんきに寝ていました。
机の上には、元就オクラこんちきしょうと書かれた紙が散乱していました。
「……」
は、振られてもいないのに元親を刺そうとしていいのか判りません。
こうなったら無理矢理振られよう。
そう思い、元親に馬乗りになりました。
「元親…」
「ん…?」
耳元で囁くと、元親がぴくりと反応しました。
恥ずかしさを押し殺して、元親の首筋に唇を押し当てました。
「…仕方ねえな」
「え…」
元親は、起きていました。
寝たふりをしていました。
「そっちから誘ってきたんだ…手加減はいらないな?」
「ちょ…」
急に起き上がり、逆に元親がに馬乗りになりました。
「ぎゃ…ぎゃああああああ!!!ある意味悲劇のヒロインー!!」
「…お望みなんだろう?可愛がってやるぜ…」
「お願いします!!拒んでください!!てめえみたいな淫乱は死ねってなじってください!!」
はM発言をしました。
すると、元親の部屋の扉がばんと開きました。
光に満ち溢れ、直視できません。
「日輪よー!!!!!!」
M発言に反応して、中国のSがやってきました。
ちなみに今は夜です。
「ふん!!Mが二人では、何も楽しくなかろう!!」
「だ、だれがMだ!!」
「元親って、Mだったんだ…」
「ちげえ!!」
「私がなじってやろう!!さあさあ!!」
元就がずかずかとベッドに迫ってきます。
「ぎゃあああ!!ど、どどど同盟破棄するぞ!?」
「したければしろ。ただし…その後身体が疼いても、放置だがな…」
は、この人は本当にSだと思いました。
すると、今度は窓から、
「!!調子はどうだ!?」
「おっさん!!」
島津のおっさんが忠勝さんの背に乗って、やってきました。
「なんか変な事になってるよー!そっちは?」
「そうかそうか!!こっちもなかなかケリがつかんわ!!ははは!!」
鬼島津は豪快に笑いました。
「……」
元親は、忠勝をじっと見つめました。
「元親?」
「忠勝どん?」
ぽっと、元親が顔を赤らめました。
「ええ!?」
ぽっと、忠勝も顔を赤らめました。
「なんと!?」
と鬼島津、泡決定です。
「うっそだー!!!あぶぶぶぶぶぶぶぶ!!!!!!」
「ケリついてないど…!!ごふふふふふふふ!!!!!」
「…しょうもない愚民どもめ…」
元就が、と島津の泡を、近くにあった水槽にとっさに入れました。
「もとちか!ふつうにおんなのこにこいしてよー!!」
「ただかつどん!!いくさばがおいたちのすみかでないかー!!」
泡が叫んでます。
「ふ…祝儀には呼べ…元親…」
元就は二人に背を向け、水槽を持ったまま、部屋を後にしました。
「こんなおわりかたいやだー!!!」
人魚姫は、悲恋なので、諦めましょう。
一番可哀想なのはまったく出番もなく忠勝をとられた家康かもしれません。
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長編に出てきてないグループでした
キャラつかめてない