軽い気持ちで読みましょう


***大●なカブ***



「…む」
ある日小十郎が畑に野菜の収穫をしていると

「抜けん…」

大きな大きなカブが出来ていました。
小十郎の力を以ってしても抜けません。

「新種か?種が混じっていたのだろうか…」
とりあえず額の汗を拭い、落ち着いてカブを見つめました。 葉からしてとても大きい。

「それに、甘そうだな…」
小十郎は政宗やに食べさせてあげたくて仕方ないご様子。

「……」
「ん?小太郎」

小太郎がその様子をカカシの上に立ちながら眺めていました。
「抜けないんだが、手伝ってくれないか?」
…こくり

小太郎も大きなカブにとても興味があるようです。
小太郎が引っ張ると
「〜〜〜〜」
小太郎も頑張りますが、抜けません。

「いったいどれほどのものなんだ…?よし、小太郎、一緒に引っ張ろう。」
こくん

小太郎は悔しかったようです。
マジ顔になって、カブの葉をしっかりと持つ小十郎の背後に回りました。

「せーの…」

思い切り踏ん張って

「うおおおおおお!!」
「ーーーーー!!」

…抜けません。

そこへ成実が通りかかり

「…え!?二人はそういう関係!?」
「どういう関係!?」

軽く誤解しました。

カブが抜けないんだと言ってみます。

「ふーん、なるほど?力仕事なら任せな!!」
成実が腕まくりをし、カブに手をかけました。

「どおりゃあああああああ!!!!!!」

抜けません。

「えええ!?嘘!!これっ…悔しいいいいい!!負けねー!!」
「成実様!!落ち着いて!!」
葉をもぎり取らんばかりに指に力の入った成実を小十郎が止めました。

「おいおいおい!!何で抜けねえんだ!?」
「謎ですね…他のカブは普通に抜けたのですが…」
これほどの大きさなら、放っておくわけにもいかない。

「小十郎さん〜、お水もって来たよ!!休憩したほうがいいよ〜」
がとことことやってきました。

ちょうどいい。未来の知恵を借りよう。
小十郎はカブのことをに言いました。

「へ?そんな品種は聞いたこと無いなあ…かぼちゃなら判るけど…」
「そうか…」
「これ?わあ、本当に大きいね!!」

小十郎はの持ってきてくれた水を一気飲みしました。
は、カブは好きか?」
「好き!!食べたい!!」
「よし」

小十郎が気合を入れました。
もう一度、今度は三人で引っ張ります。
は頑張れーと応援してくれます。
けど抜けません。

「どうしたもんだ…」
「殿、呼ぶ?」
「こんな事に政宗様を呼ぶわけにはいかないだろう…」
「じゃあさ」
がカブのそばにしゃがみこみました。

「周りの土を掘ればいいんだよ。ほら、土は普通なんだし」
はカブに傷をつけないように、指でカブの周りの土を掘り出しました。

「なるほど」
これなら力は要りません。
四人で黙々と掘ります。

「「「「……」」」」

日が傾いてきました。

「す、すいません…いつまで掘れば…」
50pほど掘っても、まだ終わりが見えません。
姿を現すカブは、大きくなるばかりです。

「おい!!てめえら何してんだよ!!」
皆の帰りが遅いのを心配して、政宗がやってきました。

「申し訳ありません、政宗様」
「殿〜…これ抜けない〜」
「ah?カブか?そりゃ…」

政宗もさすがに驚いています。

「でっけえ…保存に困るなそりゃ…」
「保存の前に抜けないんだよ〜!政宗さん、引っ張って〜」
「俺一人でか?」
「全員で引っこ抜こう!!」
「私も、私も、頑張る!!」
成実とが勢いよく立ち上がりました。

政宗がカブの葉をしっかり持ちます。

その政宗を成実が引っ張り、成実を小十郎が、小十郎を小太郎が引っ張り、小太郎をが引っ張ります。

「ようし、じゃあ、がんばろ!!せーの…」
が声をかけ、

「「うおりゃああああああ!!!」」
小十郎と成実は男らしい声を上げましたが

「どっこいせ!!」
「殿ジジくさ!!」

政宗はcoolとは言えない声を出しました。

すると

「!!」
小太郎がとっさに手を離し、を抱え上げ、一歩下がりました。

カブが抜け、三人が倒れ込みました。

『ふぉ、ふぉ、ふぉ…本当はどっこいしょ、と言って欲しかったが…まあ、が一番後ろで頑張ってるから、許そう…』

カブが喋りました。

「へ…」
「!!」
と小太郎は、カブに顔があるのを見ました。

『ワシは甘いぞ…思う存分食べるが良い…』
そう言うと、顔がスッと消えました。
その顔は、氏政そっくりでした。

「か、カブの神か…!?」
小十郎は本気でそう言いました。

「めちゃくちゃジジイの声だったぞ!!食いづらいだろ!!」
政宗は立ち上がって、服についた土を払いながらカブを眺めました。

「〜〜〜!!!!!」
小太郎がカブにしがみつきました。
食べちゃ嫌だと目で訴えます。
小太郎は、氏政がだいすきでした。

「政宗さん、小十郎さん、このカブ、観賞用にできないかな…?」
「本気でいってんのか?」
「しかし、食べろといったぞ?美味しく食べられるのが、カブにとっても幸せだろう…」
「……」
小太郎がしばらくカブを眺めた後、こくんと頷きました。

「小太郎ちゃん、今度爺さんにお手紙渡してきてくれない?」
「っ…!!」
こくりとまた小太郎は頷きました。
小太郎はも好きだが、やはり氏政も好きでした。
小太郎はにしがみつきました。
「小太郎ちゃん、こらこら」
「ははは、小太郎はには甘えん坊だな」
「いいなあ、忍ってえのは。羨ましい!!」
あははうふふとめでたしめでたしを決め込むと小太郎と小十郎と成実の輪に、政宗は入れませんでした。

「え、こ、小十郎カブしか持ってねえんだけど…今夜のおかずってカブだけ…!?」
夕餉のおかずは小十郎に任せていた政宗は、切ない気持ちでいっぱいでした。


その後、小十郎の畑には神が宿るとかいう噂がたって、慶次にまた野菜を催促されたとか何とか。







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小十郎の畑は
夢の国!!(アホだ)