***何か生えちゃった夢***
小十郎がを起こすため、部屋の戸を開けた。
「、朝だぞ」
「ん…んぅ〜…」
「ほら、、起きなさい。俺は政宗様を起こさねばならないからもう行くぞ?」
「…う〜…はい…起きま…す!?」
は目をこすりながら小十郎の姿を凝視した。
小十郎の頭に長い耳が生えていた。
ウサギにしか見えない。
「こ…こじゅ…」
「朝餉は用意してあるからな」
小十郎は気にした様子もなく、に笑いかけた。
ぽんぽんと頭を優しく叩いて部屋を出て行ってしまった。
「…気付いて無い?」
がきょとんとしていると、政宗の部屋から叫びが聞こえてきた。
「うぉぉぉ小十郎おまえなんでよりによって寂しいと死んじゃうウサギさんなんだよ―!!?死ぬな小十郎―!!俺がそばにいる!!」
「如何いたしましたか政宗様!?この小十郎、政宗様がいる限り寂しさなど感じませぬぞ―!!!」
「…あ、やっぱり気付いて無いみたいだ。」
はゆっくり立上がり、顔を洗いに向かった。
朝餉が終わると政宗に一緒に小十郎の畑へ行こうと誘われた。
断る理由もないのでついて行くことにした。
「…なぁ…今の小十郎には優しくしねぇと死んじまう…俺あいつのこと放っておけねぇ…」
「あのですね、政宗さん、ウサギさんも自分のテリトリーは持っていますので、そんなに寂しさを感じる動物でもないんですよ…」
「何でそう言い切れるんだ!?判らねぇじゃねぇかそんなの!!お前はウサギさんになったことがあるのか!?」
「……………あぁ、すみませんでした…ウサギさんのことを知ったかぶってました…」
今の政宗を諭すことは無理だな…と必死な政宗を見て思った。
「…あれ?小十郎さん何してるでしょう?」
「ん?」
政宗から小十郎に目線を移すと、小十郎が何かを家臣から受け取っていた。
「ありゃ…ニンジンか…?」
「スタンダードですね。」
どうやら収穫したものをそのまま洗ってもらってきたようだ。
見ていると、小十郎はそれを口に入れ、ボリボリ食べだした。
「「……」」
美味しくて気が緩んでるのか、耳が下がっている。
「…可愛いじゃねぇか小十郎…」
「可愛いですね小十郎さん…」
不思議なのは畑を手伝う家臣皆が小十郎の異変を口を出さず、暖かい視線を送っている事だ。
きっと皆同じ考えだろう。
感情に合わせて上がり下がりする耳にときめいている。
「…政宗さん、どうします?もしあの小十郎さんが甘えてきたら」
「うっ…たまんねぇなそりゃ…!!それより、危機を察知して耳がピンと立ってきょろきょろしたらそりゃまた可愛いよな…!!」
「ちょ…松永さん来ないかな〜とか考えてないよね政宗さん…!!侮辱されて耳を震わせる小十郎さんとか想像しちゃだめですよ…!!」
「お…お前だろそりゃ…!!う…萌えか!?虐げられる小十郎萌え!?」
「萌えますね…!!あのオールバックを乱して…」
「着物も乱してよ…!!!!」
「何の話で盛り上がってるのですかな?」
妄想魂に火が付いた政宗とのもとに、小十郎がのんびり近付いてきた。
二人はすぐ近くから聞こえた小十郎の声にびっくりして硬直してしまった。
「さ…さすが小十郎さんの畑だって話に…!!」
まず最初に誤魔化したのはだった。
「ま…全く当たり前のことを言うぜはっ!!ってな!!」
政宗も便乗した。
「有り難うございます。しかし俺たちはもう城へ戻りますが…?」
「そーかそーか、じゃあ俺たちも戻るか、!!」
「そうですね!!政宗さん!!」
は政宗の腕にしがみついた。
恋人同士のようにべったりしながら城へ向かう二人を、小十郎は微笑ましいなと感じていた。
当の本人たちは
「…夜中に…こっそり…」
「寝間着に着替える時狙って…」
物騒な話をしていた。
夜になり、小十郎はそろそろ寝ようと寝間着を手にした。
着物の帯をほどいた瞬間、足音がした。
ぴくりと長い耳を動かす。
「…誰だ」
小十郎は声を低くして話しかけた。
「私です!!」
「俺だ!!!」
いやに明るい声が返ってきた。
「あれ…ちょ、お待ちください、小十郎は今着替えて…」
「こっちに着替えて小十郎さん!!」
「早急に取り寄せたんだぜ小十郎!!」
が取り出したのは網タイツとハイヒールだった。
政宗が取り出したのは黒いレオタードだった。
「……は?」
小十郎は口元を引きつらせた。
「小十郎さん、ウサギになってるから!!」
「え…何を言って…あぁ!?」
小十郎は頭に手を当てると、異物にやっと気付いたようだ。
「いつから!?」
「朝から!!」
「気がつかなかった―!!!!」
小十郎はくやしそうに座り込んで畳を拳で叩いた。
「ってわけで小十郎さん…」
「あの……」
「はい?」
さかんに網タイツを薦めるを小十郎はじっと見つめた。
「俺…帯解いて褌が丸見えなんだがそのことに対して反応は?」
「セクシーだぜ!!」
「………ありがとう…」
小十郎は下を向いてしまった。
「さぁ…小十郎…バニーになって奉仕しな…!!」
「キャ―政宗さんたら卑猥―!!私にも奉仕して小十郎さーん!!」
と政宗はノリノリで楽しそうだ。
しかし小十郎は、そんな展開には異議ありだった。
「二人とも…」
「はい!!」
「なんだ!?」
「俺はこんな姿にならなくても…二人に奉仕ぐらい簡単に出来ますぜ…?何なら同時に相手したって構わねぇんですが……返事は?」
と政宗は本日二度目の硬直をした。
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強制終了〜
この先…まあ…政宗様ならちゃんと逃げれる!!うん!!