***奥州心の相談室***




奥州のある山奥にその空間はあった。

「こんにちは〜。ここは、皆さんの悩みを一気に解決、こんな胃が痛くなる世の中あなたを献身的にサポートします、奥州心の相談室ですー。」
「弱みになるようなことなら特に大歓迎だ。」
「…政宗さん、それをネタに強請っちゃだめだよ?」
「そういう企画じゃなかったのか?」
「ないわ!!」

と政宗がL字型のソファに並んで座っていた。

「あ、ちなみに私は政宗さんの秘書みたいな役です!!スーツは気が引き締まるわー。膝丈スカートで出来る女みたいに見えるかな…」
「俺もスカートだ」
「わぁカッコいいお姉さん…つってぇぇぇぇ!!!!うわぁお前何してんのほんとだスカート着てる何してんのそして無駄にセクシーなんだけど悔しいけどお前馬鹿なんじゃねぇの!?普通でいいだろお前!!」
「oh…気付くの遅いし酷い言い様だな…」

政宗ももスカートスーツに身を包んでいた。

「で…まあ話を聞いて、アドバイスすればいいわけだ?」
「女装で普通に進めるわけ!?ってかうん…いいと思うけど…心理学大丈夫かなー私…」

話していると、政宗様!!客が来ましたぞ!!と声がした。

「こ、小十郎さん…ま、まさか…小十郎さんもスカート…」

はびくびくして小十郎の声がしたほうを見つめていると

「ん?どうした?」
小十郎は普通に男物だった。
「ちょっと見てみたかったけどね!!スカート!!」

は小十郎に、とっても似合ってます!!と親指を立てた。
小十郎も親指を立てて返した。

「小十郎、来たのは誰だ?」
「浅井です」
「長政様!?」

は慌てた。
政宗の女装はどう見ても悪だ!!

「政宗さん!!服…」
「悩みを聞いてくれるというのはここか!?」
「ぎゃあ早速きた!!」
が政宗に着替えろと言う間もなく、ズカズカとやってきた。
普通に鎧姿だ。

「な、長政様っ…外伝発売おめでとうございます…!!」
「と、当然だ!!私が英雄でなくて誰が出ると言うのだ!?私が昇格するのは当たり前のこと…!!…む…しかし改めて言われると…嬉しいような…ふ、ふん!!礼を言う!!」
「うわ―!!絵に書いた様なツンデレだ!!ひとつのセリフの中にツンデレ詰め込んである!!」

はこいつは逆に扱いづらいような気がして頭を抱えた。
長政は何も言われてないのにどかっとソファに腰をおろした。

「hey、浅井、何の用だ?」
「む…?」

長政がじっと政宗を見た。
やばい、騒ぎ出す…とは青ざめたが…

「…同じ服を着てるとは仲の良い…うむ…それは正しいな…正義だ…。私も心を許すとしよう…」
「馬鹿だ!!!!」

長政は目の前の人間が男ということにも政宗ということにも気がつかなかった。

「…そういうのは幸村さんだけでいい…」
「相談だが!!」
「ああはいはい…なんですか…」

長政は腕を組んで政宗に負けないくらい偉そうにふん反り返った。

「市のことだ!!」
「嫁さんか?」
「え…」

信長様とのことで色々あったのかな…なら私達が介入してどうにかなる問題じゃないぞ…とは困ったが、

「あのメソメソした性格をなんとかしてもらわねば困る!!」

安心した。

「はぁ…」
「もっと強気にならねば悪には勝てん!!いつもか細い声で囁く様に話すわ下を向くわよく泣くわ…」
「…でも」

は首を傾げて長政をまじまじと見た。

「そこが好きなんですよね?」
「!!」

長政の顔がみるみる赤くなった。

「な…」
「守りたくなっちゃいますよね」
「私はっ…」
「笑顔が見たいと思っちゃいますよね」
「〜〜〜〜ええい!!」

長政は勢い良く立ち上がった。

「私はそんなこと…市の耳に残る声が好きだとか下を向いた時に目立つ長い睫毛が好きだとか涙を拭ってやったときに少しはにかんだようになる所が好きだなどと一切言ってなかろう!!勝手な解釈をするな!!」
「今言った」
「今言ったな…お熱いねぇ…浅井よ」
「言ってない!!」

長政の顔が耳まで真っ赤っかで、と政宗はにやりと笑った。

「…政宗様…もう一人客がきましたが…」
「長政様…市…嬉しい…」
「ぎゃあ!!」

小十郎とともにドアから市が顔を出して中をのぞいていた。

「いいいいい市…」
「長政様…市…長政様の役に立つようになるにはどうしたらいいか…相談しに来たの…」
「市さん、大丈夫。長政様は市さんが居るだけで元気になれるよ!!」
「相談するまでもねえ。一緒に帰んな。」

と政宗はさらににやにやにやにやと悪どい笑みを浮かべた。

「いっ、いっ、市ぃ!!一人でこんな場所に来るなど危ないだろうが!!」
「長政様っ…ごめんなさい…」
「わ、私の後についてこい!!」
「はい…」

長政と市はさっさと一緒に出て行ってしまった。

「………これでいいの?」
「…いいんじゃねえか?」
















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政宗女装すいません