***願望夢***





『あなたの願望はなんですか?』
「ah?」

政宗は夢を見ました。
真っ暗な闇の中、そう問いかけられました。

「天下だ」

当然とばかりにそういいました。

『…あなたの萌えシチュエーションはなんですか?』

質問を変えてきたので、政宗はその意味するところ理解しました。

とってことだな?そうだなあ…」
『はい』
「雪山で遭難、とか、ありきたりでいいんじゃねえか?」








「…ん、…さん…、政宗さん!!!!!」
「んあ?」

の怒鳴り声で政宗は起きました。

「何慌ててんだよ?目覚めくらいcuteな声で起こせって…」
「ね、寝ないでよおおお!!!死んじゃうよ!!!!!」
「…は?」

周りを見渡すと、山小屋のような場所で

木目から冷気が吹き込んでくる。

木板が十字に止められた窓はがたがたと大きな音を立てていた。

「…ま、まさか?」
「政宗さんが近道しようなんていうから…!!!なんであんな細い道…!!!!」
「…まさか…」

あの声は管理人か!!!!!!!

ほ、本気で寒い!!!!!!

「手加減しやがれえええええ!!!!!!!」
「政宗さん…!!そ、そんな大声…体力温存しないと…手加減?」
「…こ、こっちの話だ…」

これはやらしい気持ち無しで寄り添いたいんだけど!!!!

「なんか…ねえのか!?とにかく吹雪がやむまで、寒さに耐えねえと…」
「…あ、あのね…これ、見つけて…」
はおずおずと一枚の毛布を取り出した。

「…あ、の…」
「……」
一緒に暖まろうって
言いたいけど恥ずかしくて言えない様子。

俯く姿が

…か、可愛いじゃねえか…

この非常時にそんな事を考えてしまった。

政宗は甲冑を脱ぎ、毛布を受け取って両手で広げ、自分の背に回し

「来いよ」
「う、うん…」

片腕を伸ばしておいでおいでとするが、なかなか来ないので

「恥ずかしがってる場合か」
「あ、ご、ごめん…」

政宗のほうから寄って、抱きしめた。

「…おま…冷たっ…」
「ごめん…」
「謝ってばっかりいるんじゃねえ…」

手を触ると、本当に冷たくて

「大丈夫だ」

そういって、の手を自分の唇に当てた。

「政宗さん…」
「……」

いやあ、なかなか良い状況なんだが

にこんな寒い思いをさせてるのが自分のせいなので罪悪感が…


「…寒いか?」
「うん…政宗さんも、寒いよね…」
「寒いな…」
「甲冑…着てても…」
「くっつけねえだろ…」
「そ、だね…」

そういったあと、は黙って政宗に寄りかかった。

「…な、なんか喋れよ」
「…しゃ、喋っていい?」
「当たり前だろ…眠くなったら困るし…」

…ヤりたくなったら困るから、とにかくなんか萎える馬鹿な話をしてくれ…!!

「不思議なんだけど」
「…ん?」
「政宗さんが起きたら、安心した。こんな状況なのに」
「……」
そういう可愛いことを言うな…

「…あー、もう判ったよ」
「え?」
「二人きりでこんな状況だ。俺にたくさん甘えていい」

やましい事考えた罰ゲーム、ってことにしとくぜ…

「う、うん…ありがと…ごめんね…!?」

突如、扉ががたがたと音を立てて揺れ始めた。

「な、なに…」
「…、下がれ」

政宗はを後方に押しやって、刀を取り構えた。

ドンドンと何かが体当たりしてる様だ。

、あの扉…」
「か、鍵しか…しっかり閉まったから、補強はいらないかなって…ご、ごめんなさい」
「おい?どうした?俺は起きてるぞ?何ビビッてる?」
「ま、政宗さん…」
「…安心してていい」

鍵が壊れそうなので、抜刀し、構え

バアンと勢いよく開いたと同時に、政宗は飛び出した




「がおー」
「………」

政宗は上段の構えをしたまま止まった。

2mはあろうかという熊

の胸にぽっかり空いた穴から、頬に刀傷のあるよく知った顔があった。

「…小十郎?何してんの?」
「小十郎ではございません。小十郎くまさんです。」
「…無駄に可愛いこというなよ…」

政宗は刀を降ろした。

「如何致しましたか政宗様?くまさんが襲いに来ましたぞ?を守らねば」
「…小十郎…くまさんになりてェならせめてもう少しキャラ設定をきちんと考えて別人に振舞ってくれねえか」

を振り向くと、きょとんとしていた。

「で、何してんだ?」
「政宗様が一向に何もしないから、小十郎が更なる試練を仕掛けて、乗り越えらぶらぶになって頂こうと…」
「おいこらちょっと待てェ?この寒さで押し倒してみろ?の体力ヤバくなんだろ?俺は臆病なんじゃなくて、を気遣ってだな」
「ああ、やはり寒かったですか…成実様〜、もう少し弱めて!!」
「なんだその呼びかけ!?」

扉から外に出ると、なにやら巨大な扇風機から吹雪が生み出されていた。
その横に成実がいた。

「まじー?じゃあ弱めるよー?えーと、中でいいか。」
「…成実、なにそれ?」
「四国の長曾我部に作ってもらった、吹雪製造機でーす」
「ふーん…」


お前らそこに座れええええええええええええええ!!!!!!


「え…と」
は小十郎と成実を叱る政宗の後方でまだきょとんとしていた。

「…とりあえず、よかった…?」

小太郎が現れ、の肩に羽織をかけてくれた。

「小太郎ちゃん、ありがと」
「……」
笑顔でそう言うに眉根を寄せて、怒ってもいいんだよ?と視線を向けるが

「…そんな体力がないプラスなんだか女優になった気分だ」
「……………」

ふふふと笑うの頭が、寒さでおかしくなってない事を祈るばかりだった。
















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山小屋に二人きりってとてもいいと思うんだ。
べただけど。