が属性技使えたら、何になんだろね?」

佐助が何気なく発したその言葉に、政宗と幸村は過剰反応した。

「…そりゃお前、はウチのだから雷だろが」
政宗は、当たり前の常識を問われたかのように、不思議そうな顔をした。

しかしそれには幸村が黙っていなかった。

「政宗殿っ…政宗殿には見えぬのか?あのの内から湧き出る熱い魂…!!は炎が似合うでござる!!」

幸村は政宗のがを理解していない可哀相な男を見る視線を送った。
政宗はそれに怒りを覚え、幸村を睨み付けた。

「ま…まぁまぁ…。ほら、そうじゃなくて…なら回復とかそんな感じしない?ねぇ、片倉さん?」
「…の属性か…そうだな…」
「良い子だからね〜」
が歌えば野菜達が踊り出す…みたいな…」
「どんな属性だよ!?片倉さんさっきの'そうだな'は悩み中のそうだな!?」

つっこんだはいいが、小十郎は嬉しそうな顔をしていた。
本気でそう思っているようだ。

「小十郎はともかく…あれ、オイ、もしかしてよ……に聞きにいくか?」
「政宗殿、そのニヤついた顔は何でござるか?」
「いや、が使いたい属性技イコール…が一番格好いいと思ってる属性技だろ?あいつのことだから…」
「一番…格好いい…」

幸村が頬を赤らめた。
に生まれ持つものを格好いいと言われたら、明日から鍛練に気合いが入るに違いないし、嬉しい。

「…そうでござるな!!聞きにいくでござる!!」
「あいつの口から聞くに限るな!!」
「待った!!やめときな!!」

慌ただしく立ち上がる二人の前に佐助が制止に入った。

「なんだよ…」
「答えは決まってるでしょ」
「佐助も炎だと!?」
「残念、旦那…風だよ…絶対風だよ…!!」

それを聞いた政宗と幸村は、何いってんだこいつ、前田まつに憧れてるとでも言うのか、いやありうるけどやっぱ俺の属性の方がかっこいいだろと佐助を睨みつけた。。
佐助ははぁ、とため息を吐いた。

「…小太郎の属性ね。小太郎の…」










は小太郎と薪割りを手伝っていた。

は両手いっぱいに木を持って、小太郎の正面に立っていた。

「いくよ〜小太郎ちゃん〜」
「……」こくり
「でや!!」

は小太郎に向かって薪を投げた。
すると小太郎の姿は風になり、薪を綺麗に割っていく。

「すごいすごーい!!」
「……」

どんどん投げて薪を割り、が疲れたら休憩だ。

「…小太郎ちゃん、疲れちゃった〜。薪拾いしようよ。」
「……」こくり
がそう言えば、小太郎はすぐに技の発動をやめて、散らばる薪を拾い始めた。

「えへへ…」
「?」

がちらりと小太郎に視線を向け、すぐに逸らし、微笑んだ。

「小太郎ちゃんの技って、かっこいいよね〜」
「??」

小太郎にはの言葉を鵜呑みにできなかった。
自分は風の悪魔などと呼ばれることもあるのだ。
そんなに笑えるものでも、かっこいいものでもない。

「ひゅううう〜、しぱしぱ!!って感じで…」
「?????」

の擬音語はもっと理解できない。

「筋肉結構ついてるのに、動きは俊敏で…」
「……。」
とりあえず、褒めてくれているというのは判った。

「かっこいい。私も小太郎ちゃんみたいな技使ってみたい。」
「……。」
「小太郎ちゃん?」

小太郎は、ふるふるふるふると、今までになく何回も首を横に振った。






「小太郎のヤロCOOOOOOOOLなことしやがってよおおおおおおお!!!!!」
政宗は木の陰でその光景を見ながら歯軋りをした。

「小太郎殿っ…!!!!にそんな言葉を頂けば某ならばそうでござるか?照れるでござる〜などと調子に乗ってしまうところを、人を傷つけるような技をに覚えて欲しくないからそんな風に思わないでくれと首を振るとはなんという余裕…!!!」
「…余裕ってか、ちゃんとのこと想ってる証拠ってゆうか…ってか旦那、観察力ハンパないね…」

政宗は拳を思い切り握り、幸村は羨ましそうに人差し指を唇に当てた。
佐助はそんな二人を呆れた顔で見ていた。


「俺は素直に照れてぇ!!仕方ねぇ!!俺と小太郎は違う!!」
「政宗殿!!」
政宗は立ち上がり、の元へ向かっていった。

「おい!!!!」
「あ、政宗さん、何?」
「属性の話してたな…!!俺のは…ど、どう思う!?」
「政宗さんと小十郎さんはね〜、スピードあってちょっと怖いけど遠くから見たら格好いい」
「俺と小十郎ひとまとめ感想!!!!!」

雷を操る政宗、については意見を言うと考えていたため、ショックを受けてしまった。
しかも内容が薄かった。

「う…殿…某は…?」
「幸村さんと信玄様は」
「某もひとまとめ!!!」

政宗の姿を見ながらも果敢に挑戦した幸村だったが、あえなく玉砕してしまった。


「あ〜あ、の発言はなかなかうまいこといかないね……あれ?」
佐助はやれやれと頭を掻いたが、すぐに目を丸くし、を凝視した。

「佐助?どうしたの?」
「…俺は、だれとひとまとめ?」
「え、えと…あの、そんなひとまとめにしたがってるわけでも…」
「明智サンとかお市さんと同じ扱い?」
「えええそんな!!!佐助はあの、忍らしい!!魅せる技もあるけど、基本死なないように、な技が多いじゃない…?」
「それで?」
「見てて安心するよ!!!」
「へえ?ありがと。俺様嬉しい。」

佐助はに近寄ると、手を肩にぽんと乗せた。

「褒めてくれてありがと。俺様照れちゃうよ〜」
「そ、そう?」
「うん、だからさ、」

佐助はにこりと笑いかけた。
そしてゆっくりボソリと呟いた。

「今度は俺様がを照れさせてあげる…」
「へ?」

と佐助を黒い風が包み、二人の姿を消してしまった。

「さ、佐助?」
「お、おい、…!!!」

一瞬驚愕してしまった政宗だったが、すぐに怒りに震え始めた。

「あの野郎!!に何する気だ!!!!!!」
「…小太郎殿も一緒に消えたので大丈夫だとは思うが…さ…さすけえ…抜け駆けはずるい…」







「さてさて、どうですか〜?」
「…恥ずかしい照れる…」
「やったあ成功成功…」

佐助とは狭い物置に密着していた。
佐助は予想外の場所に現れてしまい上手く着地出来ず、書物のようなものを下敷きに、座り込んでいた。
はそんな佐助の足の間にはまり、胸にもたれ掛かって動けないでいた。

「…も〜…俺様は竜の旦那とうちの旦那にいっつも付き合って疲れてるだろうから茶屋にでも連れて行こうと思ってだね〜…」
「だったらそう言ってよ…」
「そう言ったら、竜の旦那は、そんなことないよな?ってに問うよ?絶対大丈夫だよって言うだろ…」
「気遣い、ありがと…」

なぜ失敗したかといえば、佐助の言葉を真に受けた小太郎は、佐助の移動を咄嗟に忍術で邪魔してしまい、結果を照れさせることになってしまった。

「小太郎ちゃんは…?」
「さあ?咄嗟の判断で動いちゃって、自分もどっかに飛んじゃったんじゃん?」
「そうなのー…?」
「…ねえ、。」
「ん?」

佐助がを覗き込むと、思いの外顔が近づいて、の顔が真っ赤になった。
すぐに視線を逸らされる。

「…何か、属性技が使えるなら、何がいい?」

しかし、構わず質問を続けた。

「属性?何で…」
「いや、俺のせいで進んじゃった話だから、聞かなきゃかな〜と思って…」
「属性か…うーん…」

が真剣に悩み始めたと思ったが、どうも違う。
言おうか言わないかを悩んでいるようだ。

「何でもいいよ?」
「佐助、呆れるかもしれないけど…」

顔を上げたはへらっと恥ずかしそうに笑っていた。

「戦の仕方とか、自分に合うのとか良く判んないし、…みんなが笑顔になれる様な、技とか…使えたら素敵かな…」

佐助が唇を尖らせてしまい、不服そうな顔になってしまったので、は慌ててしまった。

「え、えと、回復…!?回復できるような属性かなあ〜!!!!!」
「いらないデショ」
「え?」

慌てて訂正したのだが、手が伸びてきた。
の頭を優しく撫でる。

「使えてるよ。今のままで十分。」
「う…」
「みんなを癒して、笑顔にさせてるよ。」
「あ…ありがとう…」
「俺だってさ…」

佐助がそこで言葉を止めた。
は続きが気になって佐助の目を覗く。
見詰め合って、沈黙が続き
そうになった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!

がったーんと物置の扉が開くと同時に、の身体が宙に浮いた。

「小太郎ちゃん…」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

無事を確認すると、に頬を摺り寄せた。

「あのさ〜、小太郎…」
「……。」

佐助が声をかけると、すぐに冷静な小太郎に戻る。

「小太郎ちゃん、佐助はね、私のために…」
「……。」

小太郎はの話を聞こうとせず、ひょいと抱き上げ、佐助に背を向けてしまった。

「じゃあね〜、
「佐助ェ〜〜、誤解はちゃんと解くからね〜」
「別にいいよ〜」

去っていく二人に手を振り続けた後、佐助はふっと穏やかに笑った。

「…が技使えようが使えまいが、関係ないよな〜…」

あれこそがある意味の属性だ。

「……本っっ当…良い子…」

そして、にとっては自分が闇の属性を持とうが持たなかろうが、自分への対応は変わらないんだろうなあと思うと


「…手足が使えなくなったら…に遊び相手として雇ってもらおう…」

そんな馬鹿なことを考えるようになってしまうから、不思議だ。
















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佐助オチに…なてしまたしほぼ忍夢…!!
げふんすいませ…
もっと政宗と幸村を出したかった…!! もしも、トリップ主が属性技を使えたら、というリクを頂きました!!
リク、本当にありがとうございました!!