「では、こちらは調理実習の班分けでございまする」
まつ先生がプリントを配った。
「調理実習ねー…」
出来れば真田の旦那と一緒がいいなあ、と、佐助は頬杖をつきながら思っていた。
…だって、旦那、料理できないし、何するかわかんないし…
同じ班ならすぐに目が届くからまだ楽だ。
「なんだ?だるそうだなおい。お前腕に自信がねえのか?」
「…そーゆーんじゃないから」
後ろの席の伊達政宗が、ニヤニヤしながら話しかけてきた。
「あんた何でだるくないのさ。不良なんだからかったりーとか言ってよ」
「料理は得意だってんだ。…Oh、I know what!!いい考えがあるぜ…!!勝負しねえか?」
「勝負?」
がしりと政宗に肩を掴まれた。
「お前も腕に自信があるんだろうが?先生に食ってもらって、どっちが旨いか判定してもらおうじゃねえか」
「えー…それこそかったるい…」
プリントが回されてきた。
あ、よかった
先生の配慮か、俺と旦那、一緒だ。
「政宗!!俺と一緒だぜ!!」
「おう、元親、なあ、班で勝負しようって話してんだが?」
「佐助とか?おもしろそうじゃねえか!!」
あーあー…勝手に話進めないでよー…
俺旦那の面倒で終わるって…
「…負けたほうが、勝ったほうの言うことをなんでも聞く。どうだ?」
佐助の眉がぴくりと動いた。
「…なんでも?」
「何でも、だ」
政宗も元親もにやにやしている。
…なーんか癇に障るんだよねえ…
そりゃあ勝てばいいけどさー…こっちには旦那がいるんだよねー…
こいつらが旦那に命令するなんて絶対嫌だし…
「そんなに悩むのかよ?」
「決めちまえ。やろうぜ!!何、そんな無理な事はいわねえって事でよ!!」
だだだだだと、幸村が笑顔で佐助の席に近づいてきた。
「佐助ー!!某と一緒だ!!共に頑張ろうぞ…って、何事?」
あー…旦那は、勝負は受けちゃうタイプだからさー…
「幸村、調理実習、勝負しようぜ」
「勝負!?うむ!!受けて立つ!!」
…決まったー…
ため息をつきながら、睨みあう幸村と政宗を見ていると、後ろからトントンと指で肩を叩かれた。
振り向くと
「佐助」
「」
にこっと俺に可愛い笑顔を向けてくれた。
「私も、佐助と幸村と一緒なの。よろしくね」
もう一度プリントをよく見ると
「ああ、ホントだ。よろしくね。華があって嬉しいよ」
「華ってなにさー!!腕は期待しないでよー?」
あははーと二人で笑っていると
「「負けた―――――――――――!!!!!!!!!」」
政宗と元親が叫びだした。
「…は?」
「何と、政宗殿!!始まらぬうちから負けなどと…」
「ずりー!!!なんでと一緒なんだよー!!」
「あきらめるな政宗!!俺とお前ともう一人…!!女の子だ!!きっと女の子だ…!!」
元親が佐助からプリントを奪ってじっと見ると
“伊達政宗 長曾我部元親 かすが”
女の子だしセクシーだけど調理はダメー!!!!!!!!!
「さて、お二人さん、向こうで何作るか決めようか…」
「そうだね!!何作ってもいいんだもんねー」
「うむ!!」
がっくりと項垂れる政宗と元親は放置して、屋上に向かった。
「さっき、勝負が何とかって聞こえたんだけど?」
「無視していいよ」
「い、いいのでござろうか?」
「とにかくおいしいの作りゃいいんだよ」
で、何が作りたい?という話になると
「ううむ…某、和食がよい…」
「は?」
「私も和食好き!!」
「じゃあ、和食で検討しようか…」
あ、そうだ、と、思いついて
二人にそれを言ってみると
「「え…」」
「折角だし」
「で、でも…」
「、時間あったらさ、うちに来てちょっと練習しようよ。いい経験になるって。来週までに出来ればいいんだ」
「あ、幸村と佐助、同じアパートだっけ…。う、うん、じゃあ…」
「佐助ー…某…」
「旦那は出来ることすればいいから。ね?」
「…うむ、すまぬ…」
そんなこんなで、は佐助と幸村のおうちに毎日のようにお邪魔して、料理の特訓をしました。
そして調理実習当日
「、エプロン姿可愛いし。あーあ、家でもちゃんと着てやればよかったねー」
「佐助、割烹着とか持って来たらどうしようかと思った」
「…着ないよさすがに!!」
「幸村も可愛い〜」
「佐助が作ってくれた!!真っ赤なエプロン!!」
「…か、可愛い…」
三人でのほほんと、授業直前の準備をしていると
「ha!!めでたい奴等だぜ!!」
政宗と元親が、いきなり現われた。
「…竜の旦那ぁ〜…なんかキャラがジャイ●ンとス●夫みたいになってるよ…」
「一緒にすんじゃねぇ!!」
「何と!!政宗殿…ジャ●アンを愚弄するか!?映画のジ●イアンを見たことないのでござろう…!?今度共に見に行こう…!!あの男、なかなか器の大きい…」
「お前とジャイ●ン談義しにきたわけじゃねぇ―!!おい、元親…」
政宗が振り向くと
「元親、エプロンピンクなの〜?可愛い〜!!」
「ピーちゃんの刺繍入りだぜ!!」
「え―なにこれ―可愛すぎる―!!」
「と戯れてんじゃねぇ―!!クソ!!羨ましい!!」
佐助が政宗の肩に手をぽんと置いた。
「で?もしかして、まだ勝負する気?」
「ふん…がてめぇら側はくやしいが、よく考えりゃ、勝てばも俺の好きにできるってことだろが…」
「…旦那、の事好きなの?」
「そっ、そーゆーんじゃねぇよ!!」
…顔が赤いぞ…
「…仕方ないな…負けらんないね…。そういえばかすがは?」
「謙信先生にちょっと盛った。看病で休みだぜ」
…竜の旦那―…
なんだかんだで調理実習が始まり
「佐助―味これみて―」
がスプーンで佐助に調理途中のものを差し出し、佐助がぱくりと食いついて
「ん―、うん、この調子で煮込んで―」
「は―い」
仲良く調理する二人に、政宗と元親がイライラしたりしながら調理が進められ
終了間際になると
まつ先生がやってきて
「こちらとあちらの班は、対決をしていると聞きましたのですが」
「まつ先生」
なんだか楽しそうな顔…
「え、えぇ、あの、終わったら、食べてみてくださいませんか?」
「もちろんでござりまする!!ちょうど犬千代様もお腹を減らしてると思いまするので、ぜひ…」
「…利家先生も…?」
ガラ
「まつ―!!腹減った―!!」
「幸村ぁ!!しっかりやっとるか!?」
「おおおお館様!?」
「是非もなし!!」
「織田のおっさん―!?」
なんだかゾロゾロと現れた。
「まつ先生…?」
「皆、楽しそうだとおっしゃって…皆様に判定して頂きましょう!!」
……お口に合わなかったら、殴られるとかないよね…?
「上等ぉ…!!面白そうじゃねぇか!!」
「政宗…」
「見ろ!!俺と元親の料理を!!」
ドン!!と先生方が座ったテーブルに置かれたのは
「え?これ何?」
「鯛のカルパッチョにアサリとブロッコリーのパスタ、イワシのトマト煮込みにフルーツコンポート」
何してんのあんたら。
「ほう…」
「これは美味しそうでござりまする!!」
敵だが、も覗きこんで目を輝かせていた。
「本当!!政宗と元親すごい!!」
「あのアサリとイワシはうちのだぜ―」
元親も自慢げだ。
「うま―い!!さすがまつの生徒!!」
「いやですわ、犬千代様ったら〜」
「関係ねぇよ!!実力だ!!」
空気を読まずラブラブする前田夫妻に、政宗が文句を言った。
先生はみな美味しそうに食べていて
政宗は佐助に、ニヤリと笑ってみせた。
「ふーん…」
「さ、佐助、大丈夫でござろうか…?」
「大丈夫だよ、旦那!!」
「お館様の前で、負け戦など出来ぬ…!!」
「負けさせないよ、旦那も、も」
佐助も、自分達の料理を運びだした。
「先生方、はいどーぞ」
「それは…」
佐助の手には、重箱が。
蓋を開けると
「こりゃ…」
「おせち料理〜」
「ほう…」
甘味も酢の物も煮物も美味しそうで、色合いも綺麗だ。
政宗が少し、嫌な汗をかいた。
「…先生全員和食好きそうな顔してるぜ…!!」
「花嫁修行にもなるって佐助に言われちゃって…」
「くっそぉ…が照れながらそんなこと言うと可愛いぜ…!!」
先生方が一通り料理を口にすると、まつ先生が立ち上がった。
「では、判定いたしましょう!!伊達君と元親君のほうが良かったならフォークを、佐助君達の方ならお箸を翳してくださいまし!!」
皆が一気に静まり返る。
政宗も元親も佐助も幸村もも、ドキドキしながら待った。
スッと全員が一緒に挙げた。
「え…」
織田先生、まつ先生が政宗の班を
武田先生、利家先生が佐助の班を
「あれ―、同点だ」
はとりあえず安心した。
「政宗、同点だよ。仕方ないから勝負はこれで…」
「ジーザス…つまんねぇなこれは…」
に話しかけられて、内心喜んでる政宗は、無理矢理くやしそうな顔をした。
「…そ、そうだ、おい、あれ、食いたくないか?今度ウチに来ないか?作ってやるよ…」
「ちょっと、うちの班の子に話しかけないでくれる―?」
佐助がの肩に手を回した。
「佐助…」
「もう調理実習は終わったんだよ!!何仲間ぶってんだよ!!」
「…いいえ、まだおわってませんよ、どくがんりゅう…」
この声は…!!!?
全員が声のした場所、武田先生の隣を振り返った。
「上杉先生…!!」
いつの間にか、かすがに支えられながら謙信がぱくりと料理を食べていた。
「謙信様…!!」
「ま、まさか…」
「ふふ…これは、きまり、ですよ…」
謙信は
箸をゆっくりと上げた。
「ありゃ、勝った」
「おぉぉ!!やったぞ佐助ぇ!!!!」
政宗は口をあんぐり開けて、謙信を見つめた。
「お前…!!」
「ふふ…わたしにしたこと…こうかいさせてあげますよ…」
「謙信様!!無理しないでください!!」
はあはあと謙信が息を荒げた。
「謙信、大丈夫か?」
「しんぱいはいりませんよ…かいのとら…」
「独眼竜!!貴様なにを盛った!!」
「…ええと…賞味期限切れた牛乳…」
「何てことを!!謙信様!!謙信様ぁ!!」
…絶好調だね、かすが…
「…えっと…じゃあ、俺たちの勝ちだね」
「私達、政宗と元親に命令できるの?」
「そうだね、ね、竜の旦那」
「…ちっ」
「何が良いだろうか!?」
「しょうがねぇよな、政宗!!なあ、お手柔らかに頼むぜぇ?」
謙信達を気にせず、今度は罰ゲームのお話し合い。
「…、は、俺達に何して欲しいんだよ」
政宗がまだチャンスはあると言わんばかりの期待を込めて、に聞いた。
…旦那、そんなに期待しても、は旦那が望む様な事言わないと思うよ…
「そうだな〜…」
「某、英語教えて頂きたい!!」
「あ、じゃあ私も!!」
「お、じゃあ、今度うちに…「を家に連れ込むの禁止ね」
………
佐助が政宗に向けてにっこり笑いながらの命令。
「学校で教えてくだされ〜」
「うん!!」
「…あぁそうかよ…!!」
政宗ちょっと口元がひきつってます。
「元親殿、某、元親殿の所有している船にのりたい」
「あ!!私も―」
「なんだ、お安いご用だぜ!!」
「んじゃ俺も」
「猿飛!!元親には無いのかよ!?を船上で口説くの禁止とか!!」
「元親サンはあんたとは違うし〜?」
佐助は睨みつける政宗を気にせず、調理用具の片付けを始めた。
「あぁあちくしょう!!」
「む!?何事!?」
政宗は気に入らなくて、幸村に八つ当たりをし始めた。
「佐助、手伝うよ」
「ありがと、」
まぁ、可愛いクラスメイトが俺たちのせいで変な事にならずに済んでよかったよ…
が器具を洗う姿を眺めながらそんな事を思った。
「…佐助」
「ん?」
「…あのさ…」
がぼそぼそと、佐助にようやく聞こえるくらいの声量で話し出した。
「どうした?」
「……調理実習終わっちゃったけど、あの、また料理、教えて欲しい」
「え、あぁうん、いいけど…でも俺、得意なの和食だよ?洋食だったら竜の旦那のほうが詳しいかも」
「は、花嫁、修行…」
ん?
「あ、そんな深く考えないでよ〜。、料理、十分上手いよ」
「佐助が好きな…」
「?」
「佐助好みの…料理、作れる様に、なりたい…」
「………え」
「っ…変な事言ってごめん!!」
おいおい、何それ…
「……」
意識しちゃうでしょーが…
「…」
「は、はい…」
「さ、お昼よく弁当持って来てたよね?…あれ、手作り?」
「い、一応…」
「弁当、交換っことかしようよ」
「え…」
「…俺も、の好み知りたい」
「っ…!!うん!!」
…、すっげぇニヤけ出したよ…
…もう少し感情抑えてくれないかな…
……俺様まで、ニヤけちゃうでしょ―…
■■■■■■■■
佐助夢のはずが政宗出張りすぎ。
そして幸村は出番が無さすぎ。
一番の問題は主人公があまり出てきていない。(えー
学園でしかも佐助お題!!ありがとうございましたー!!
なんでこんなに学園はぐだぐだになるんだろう…(力不足だ!!