小十郎の部下に、子供が生まれ、その子を連れて城に挨拶に来た。

「元気な子でなによりだ。」
「有難う御座います、小十郎様。野菜まで届けて頂いて…」
「嫁さんと子に沢山食わせてやれよ。」
「はい。それであの…宜しければ是非小十郎様に名前を付けて頂きたいと…」

小十郎は部下が抱く赤子の小さな手に触れ、優しく笑った。
その様子を、政宗とは隣りの部屋から襖を少し開けてこっそり覗いていた。








「小十郎さんは良いお父さんになりそうね。」
食べ終わった団子の串を置きながら、は言った。

左隣りに座る小太郎は、無言で茶を啜る。

「片倉殿のそのような顔を見た事はないが、想像は容易に出来るでござるよ。」

の右隣りに座る幸村は、おかわりの団子を店員から受け取る。

「子供かぁ〜、まつ姉ちゃんと利の間に子供出来たら…俺も可愛いがっちゃって今みたいに自由奔放出来なくなっちゃったりかな?」
慶次は幸村の隣で、嬉しいような寂しいような複雑な表情で空を見上げた。

「…で、政宗はまだ?」
想像したら動揺してしまい、考えるのを止めて慶次はに向き直る。

「もう少しで来るよ。残りのお仕事、書類に目を通すぐらいだったし。」
「片倉殿は」
「そのお家に行ってお祝いしてから来るって。お酒は飲まないようにするからって言ってた。」
「昨日挨拶に来たのに、今日は片倉殿が向かうでござるか…!相当嬉しかったのだな…」
「そうみたい。朝、いつもは来てくれるのに、今日は起こしてくれなかったの。私のこと放ったらかしよ。やきもち〜」
「あはは!んじゃあもそうなりゃ構ってくれるって。」
「え」

突然頭上から佐助がの前に降り立ち、軽く構えた。

「えっ何…わ、わぁ!!」
一瞬煙に包まれ、気付いた時にはの体は小さくなっていた。

「こ…子供になっちゃった―!!!」
服はだぼだぼになってしまったが、小太郎が支え、うまく体を隠す。

「なにをしている佐助…!!が可愛い!!」
「うわああ本当だ、可愛いー!!!夢吉も嬉しそうにしてるよ!!」
「ちょ、佐助!!戻してよ!!」
「ええ?折角だから片倉サンにも見てもらおうよ。」
「………。」
「ん?どうされた、小太郎殿…」

小太郎が幸村を指で突き、の服を押さえてる手を揺らしてアピールする。
持て、ということらしい。

「失礼する、。」
「はい。」

小太郎は一瞬にして消え、すぐに戻ってきた。
子供用の着物を持って。

「小太郎ったら、子供のが気に入った?こんな術すぐに解けるのに〜」
佐助はからかうような口調で言った。

そんな佐助を、小太郎はじっと見つめた。

「え…」
「……………………。」
「あ、そっか、これ解くのに必要な薬草…」
「………………………………。」
「今の季節じゃ生えてないなあ…手持ちも無いしなあ…」
ちょ、ちょ、ちょっとおおおおお!!!

ぼそぼそ話してはいたが、近くにいた3人にはばっちり聞こえていた。

「きょ、きょ、今日、政宗さんがっ、私の頭にぴったりの枕注文してくれるって…これじゃ合わせられないよ!!!」

小太郎が瞬時にに着物を着せ、は駄々っ子になって腕をぶんぶん振った。

「まあまあ、可愛いでござるよ。」
「そー、可愛い!!!ほっぺたぷにぷにじゃんか〜!!」

幸村はにっこり笑って頭を撫で、慶次は頬をつんつん突く。
怒りたいのに、そう言われてしまうと嬉しくも恥ずかしくもなる。

「HEY!!待たせたな!!…お?」
「何かありましたね…」

政宗と小十郎がゆっくりとした歩調で現れる。
政宗は顔を顰めていたが、小十郎は苦笑いだ。

「…、いくら俺が赤子可愛いって言ったからって…」
「へ?」
「赤子になろうとすることはねえだろうが…産もうという考えは無かったのかよ?」
「ままま政宗さん何言ってるのよ!!!」
「それとも…俺にお父さんの気分を味わって欲しかったのか?ありがとう、。」
「こじゅうろうさん〜〜〜…わ!!」

小十郎はに近づくと、ひょいと抱き上げた。

「五つくらいか?」
「で、ですかね…」
そのまま抱えられたので、は抵抗せずに小十郎の首に腕を回す。

顔を見れば、愛する女性を見つめるでもない、丹精込めて作った野菜を見つめる目でもない、落ち着いた優しい瞳で見つめてくるので、は照れてしまい、小十郎の肩に顎を乗せ、がっしりしがみ付くしかなかった。

「ああー!!俺達それは我慢してたのにー!!なあ幸村!!」
「う、うむ、しかし、片倉殿…慣れてるでござるな…」
「なんだ真田、部下に子供が出来たら抱くだろう?」
「え、いや、某は…そのような事は…」
「しねえのか?なら今後は気をつけろ。心から祝ってやってだな…」

小十郎が幸村に指導してる間、佐助はふと、あれ?竜の旦那は部下にの抱っこ先越されて怒んないのかな?と思い、政宗の様子を見ると

「…………あら?」
「………………。」

腕を組んで、見てるだけで

「…あららー」

俺も昔はああやって抱っこしてもらったなあ…と思い出していた。

佐助の視線に気付いた政宗は、ギッと一度睨み、ぷい、とそっぽを向いて、小十郎との元へ寄って行った。

は政宗に手を伸ばした。

「佐助にちっちゃくされたの!!元に戻れる薬は材料なくて出来ないんだって!!!」
「いつになったら戻るんだよ?」

伸ばされた小さな手を、政宗はそっと掴んで、ふにふにと軽く押す。
「うーん、個人差有るけど、明日までには戻るんじゃないかな?」
「そっかあ、じゃあ俺は今日は宿に泊まろっかなあ…あ、独眼竜、お城に泊まらせてくれてもいいけど?」

後頭部で手を組み、慶次が嬉しそうに言った。

「Why…何でだよ。」
「子供も可愛くていいけどさあ、やっぱいつものが俺は良いというか…今の姿じゃ口説けないし…」
「ふざけんな、さっさと帰れ。」
「ええーそれないよー!!!」

政宗がから手を離し、軽く慶次に蹴りを入れると、慶次は大袈裟に後ずさった。

「ああ、やれやれ…政宗様…」

を降ろし、二人を止めに入る。
その時咄嗟に幸村は、に近寄りしゃがみこんで手を握った。

「どうしたの?」
「あ、あ、いや、何だか…ひとりちょこんと立ってる今の殿…余計か弱く見えてしまい…つい放って置けなく…」
「やだなあ、幸村さん、大丈夫だよ。」
「し、しかし、もし攫われたりしたら…い、いえ!!某がいる限り決してそのような事許さぬが…こ、転んだりしないかとか…」
「じゃあ幸村さん、抱っこー」
「いいいいいいいやいやいやちょ、待ってくだされあのー!!!!」
「………旦那、何がしたいのか判んなくなってるよ…」

は皆の顔をきょろきょろ見回し、へらっと笑った。

「ねえ、皆折角集まったんだし、早く遊ぼうよ!!」

昨日は幸村、佐助と慶次が同時に摺上原に攻め込んできた。
政宗と小十郎は、3人同時に相手してもいいとやる気満々だったが、幸村は政宗と一騎打ちがしたい、慶次は政宗と小十郎を倒して野菜が欲しい、佐助は帰りたいと意見が合わなかった。
そこにおにぎりと水の差し入れを持ってきたが、みんなで遊びたいなあ…と呟き、それに慶次と小十郎が賛成してしまった。

「っつっても遊ぶって…何すんだよ…」
「ここは俺に任せてよ〜!!から、独眼竜はお友達が少ないので遊びを知らないから教えてくれって頼まれてるから!!」
「慶次!!言わないでって言ったでしょ!!」
ー!!大きなお世話だ!!!」
…俺は嬉しいぞ…!!実は俺も前々からそれは気にかけてた…」
「小十郎まで!!!」

慶次は政宗の肩に手を回し、引きずるように歩き出した。

「やっぱりこういうときは事前にその子の好きなものを調査して、さりげなーく連れてって、嬉しい、私これ好きなのー、そうなのか?俺はお前にはこういうのが似合うと思って連れてきただけなんだが…とか言っちゃって…」
「そりゃ女相手だろ!!!男同士の遊びを教えろ!!!」

抵抗して達のもとに戻ろうとするが、慶次はそれを許さず、どんどん進んでいく。

「俺様達はどうしようか?」
「共に遊ぶ、という事なのだし、追おう。」
「そうだねえ、じゃ、小太郎はを連れて…」
「…………。」こくり

そしてがいるはずだった場所に目を向けると

「…あれ?」

視線を下げてどこを探しても、が居なかった。











「あ、あわわわわわわわ…」

は小さな石を拾った。
僅かにキラキラ輝いていて、今の身長でなければ気付かなかっただろう。

「松永様、見つけました。」

そして片手に石を握り締めた瞬間、三好三人衆の一人に片手で抱き上げられ、誘拐された。

「ご苦労。それで、どこに?」

目の前には松永久秀が座っていた。

(ちょ、松永さん、奥州に来てたの!?政宗さんに報告しないと…!!)

「この娘が握ってます。」
「ほう。随分と小さい娘だ。」
「!!」

来い来い、と手招きされる。
自分を抱く男はそのまま松永に近寄り、自分を松永の足元に置いて下がった。

「手の中のものを渡したまえ。」

ドラク○やF○の世界じゃないんだから、この石を渡したら世界滅亡なんて事は無いだろうと思い、そのまま渡す。
背伸びして、松永の手の上に乗せれば、自分の手ごと握られる。

「!!!???」
「これは、私が取り寄せた石だ。防具に付けていたのだよ。」
「は、はい…」
「気に入ったから常に身に着けようと…しかし高価な石だ、防具が壊れたときにはすぐ付け替える事ができるようにと、強固に固定しなかったのが間違いだった。私の不注意で落としてしまったのだよ。」
「そうだったんですか…」
「……。」

松永が黙った瞬間、脇に手を入れ、を抱き上げた。

「小さいのに、礼儀がなっているようだな。」
「え、え、え!!!?」
「子の抱き方というのは、このようでいいのか?」
「は…は…はいいいいい…」

松永の太腿に横座りし、背を腕で支えられる。

(ちょ、やばいやばいやばい!!!この人色気ありすぎでしょー!!!!!!何なのこの胸板!!腕!!!くびれ!!香り!!…と、顔!!!!!!口元!!!!!鼻筋!!!!目!!!!)

は松永の顔から視線が外せなくなった。
穏やかな笑みの裏にどす黒い闇がありそうだが、それも魅力に変わっていく。

「お、お役に立ててうれしい、です…」
「世には君のような娘もいるのだな…いやいや、感心するよ…」

優しい優しい声に、この場所が居心地良くなっていく。
これはだめだ、しっかりせねばと自分に言い聞かせる。

「…そうだな…私にも、このような時期があった…」
「!!!!」
とても興味のある言葉には背を伸ばす。

「松永様…」
「松永様…」
「松永様…」

「!!!!」

松永を呼ぶ似たような声が聞こえ、びっくりしては振り向いた。
いつの間にやら三好三人衆が揃っていた。

「君は将来が楽しみだな…そしてその未来を今私がやる気になれば一気に壊せるというのも良い…」
「!!!???」
「小さな手だ…守られる事しか知らないような…」
「…おっきくなったら、手も…おおきく…なる、です」

すこし口調を幼くして、会話をしてみる。

「はは、何年後かね。私より大きくなることはあるまい。」
「う、うん…」
「身の程を知り、賢く生きたまえ。」
「素敵な、女性に…なりたいです…」
「それは理想だ。持ち続けるといい。そうすれば…また会えるかもしれぬな…。」
「松永様と?」
「そうだ。どこでかは私にも判らないが…」

宝石をの手から取り、そのまま、口元に

「!!!!」

唇をの甲にそっと当てる。
は心臓が一気に爆発したような感覚になり、動悸が激しくなった。

「いい女になったら、…お相手を頼もうか。」
「え」

にっと松永が笑う。
そして手をぱっと手を離されると、の体は宙に浮いた。

「…忍がお迎えとは…どういう身分なのか興味があるね。」







はがっしり腕にしがみついていた。

「佐助ェ佐助ェ!!!!!」
「ご、ごめんね!!!!!ちょっと目を離したばっかりに!!!まさかあいつがこんなとこにいるとは…!!!」
「見つけてくれてありがとう!!!」
「何言ってんだ!!見つけられなかったら俺様切腹もんだっての!!!!」

松永がどういう状況でここにいるのか、軍を率いているのか、小規模な移動なのか判らないため、佐助はひたすら木から木へ飛び移り、場所を離れる。

そして、適当な場所に降り立ち、を下ろして、佐助は一息ついた。

「うーわー疲れたー一気に疲労したー…ごめん…ちょっと水分補給…」
「うん、汲んでくる!!」
「大丈夫、すぐそこに沢あるから…だからここに降りたのね。」
「そっか!!さすが!!」
「いや褒められることでもないでっす…」

再びを抱えて歩き出す。
沢の近くで止まり、大きな石の上に座る。

「大丈夫だった?…何かされた?」
「大丈夫でした…ちょっと松永様の大人の色気に惑わされそうにあったぐらいデス…」
「気をつけなよー…」

は佐助の太腿に乗っかっていたが、ぴょんと降りて、川の流れを覗き見る。

「綺麗な水。魚いる?」
「いるかもよ?」

取り出した竹筒に水を汲み、ぐびっっと大きく喉を鳴らして佐助は水を飲み始めた。
も両手で水をすくい、くぴくぴ飲んでみる。

「可愛い」
「ん?」

振り返ると、佐助がにっこり微笑んでいた。

「可愛いね。」
「佐助、子供好きなの?」
「え?」

佐助は、が可愛い、という意味で言ったのだが、そう返されて困惑してしまった。

「子供ねえ…」
民の子供達の笑顔は心和むものだと思う。
でも今のの質問は…

「佐助も、子供欲しいって思ったことある?」
との子供なら欲しいかな。」
「また誤魔化して!!ちゃんと知りたいのに私は!!」

スッと答えたのに何ですぐ『誤魔化して!!』になるのかなあと思う。
まあ本当に誤魔化したんだけど。
これが女の直感なら少し羨ましいよ。
俺様すんごい完璧な笑顔作って言ったのになあ、今。

「うーん…あんまり考えた事ないけど…」
「えっ!?考えた事ないの!?」
「ええ?なんでそんなに驚くの?俺様の心配は、うちの旦那はきちんと子孫が残せんのかな〜ってのが第一なわけよ。」

がてくてくと佐助の側に寄り、太腿に腕と顎を乗せてぽすんともたれかかった。

「ふむふむ。」
「そもそも戦忍。しかも優秀?忙しい忙しい。任務の事で頭いっぱい。」
「今も?」
「今はのことで頭いっぱい。かーわいいー。」
頭をなでなでするが、は照れた様子無くにこにこしている。
「私みたいな子供欲しい?」
「…あのねー…はいはい判った、欲しくない。」
「子供欲しくないんだ。」

情報収集だったりただの息抜きだったりで町の女の子と話していて、こういう話題になった時にそういうと、大体がっかりした顔で、どうして?どうして?と聞かれる。
それが面倒で2人くらいかな、と軽く言うことが最近は多い。

今は面倒と言うより、のがっかりした顔が見たくなくて誤魔化したんだけどな…。

「佐助らしい。」
「え?」

の言葉に驚いて、目を丸くしてしまった。

「俺らしい?」
「うん、なんか…」

を見れば、俯いて、優しい顔をしている。
体は小さいけど、そうしていると大人びて見える。

「忍だから、って思ってる感じ?」
「俺様の子なら忍。きっと才能あるよ〜?そんで」
「そんで?」
「殺したり騙したり騙されたり負傷したり逃げたり追ったり、寝姿も誰にも見せられずに」
「きっと、そこまで考えてあげるのが大人の責任ね。いいと思う。でも良いことも考えてあげて欲しいなあ。」
「どういうこと?」

自分の発した暗い単語の数々を、は確かに良い、と言った。
どうしてこう、俺様の常識外れなことばっかり言うんだこの子は。

「佐助の子供が生まれました。」

が赤子を抱く真似をする。

「信玄様が、幸村さんが、喜んでくれる。私も小太郎ちゃんと会いに行くよ、お祝いの品持って。」
「どうも…」
「みんなが、佐助の赤ちゃん抱っこしてくれる、あやしてくれる、それに囲まれて、赤ちゃんも笑顔で…」

の周りは、きっと生まれた命を大切にする人間ばかりいるのだろう。
今彼女は想像しているのではなく、思い出している。
誕生を祝福する暖かい人達を。

「どこが誰に似てるとか、このおもちゃに興味示したとか、些細な発見で盛り上がって、ちょっと声出しただけでも大騒ぎして、立ち上がったときなんて、思い出に残そうとみんな必死になっちゃって…」
「穏やかだねえ…」
「赤ちゃんの小さな柔らかい手、ぎゅってすると守ってあげなきゃって思って、そしたら自分もっとしっかりしなきゃ!!って…従兄弟の子供だったけどね。」

途中まで夢中で話、最後でふと我に返り、はははと笑う。

「えーと、つまりね、」
「伝わったよ。」
「へ?」

の小さな手を握る。
俺の血が入ってなくたって、守りたいと思う。
これは、この子がだからだ。

「やっぱさ幸せより、辛い事の方が想像は容易い。」
「それは、あるけどさ〜…」
「でももしかしたら、との子なら…」
「私?」

きっとに似て、ふにゃっと笑い、目に綺麗な光を宿しているのだろう。
そう思ったら、急に抱っこしたくなって、脇に手を入れ持ち上げた。

「そうだね…一緒にいたい…守りたい…」
「え、ちょ…」

ぴとりと、頬同士を一度くっ付けられたかと思ったらすぐに離される。
すんごいぷにぷにしてるねえーと間近で囁かれたかと思えばすぐに佐助のほうが照れ笑い。

「うーん、やばいね」
「やばい?」

佐助がえへへーとおどけた口調でにやける。
それを目の前で見たはきょとんとして大きく瞬きを数回した。

「愛しくて仕方ないよ。俺様良いお父様になれるかも。」
「な…なら…良かった…」
「隣りに大きくなったお腹で幸せそうにが笑ったら…愛しくて仕方ない。」
「…………。」

顔が赤くなってどうしようもなくなり、は、そっちかーい!!という突っ込みをしようとしたが手も口も全く動かなかった。

「…佐助の阿呆め…」
「聞こえない聞こえない」

さぁ帰ろう、と佐助に抱えられる。
自然と佐助に掴まる手に力が入ってしまうのは、恥ずかしいからだけだと、は自分に言い聞かせた。








佐助が皆の所に連れて行ってくれた頃には、の姿は元に戻っていた。

「ただいまっ!!」
「おう、どこ行ってたんだよ?」
!!心配した…!!某がついて居ながらなんたる失態…!!お許し下され!!」
〜!!攫われたと思った!!可愛かったから!!いや今も可愛いんだけど!!!!!」
「おお、やるじゃねえか猿飛。小太郎より早く見つけたか。」
「小太郎は…あいつにもいろいろ事情があるんだよ…あの場合…。」

実は小太郎も一緒に居たのだが、が松永の膝の上に居るのを見つけた瞬間、ぎょっとした表情をしたのを見逃さなかった。
それで即助けに向かった佐助よりも出遅れてしまった。

はぐぐっと背伸びをして、安心した表情で笑った。

「やっぱりこの身長でないと…皆を見上げるのは疲れて…」
「大して変わってねえだろう。」
「政宗さんそれないでしょ…」
「ははは、政宗様は、どちらのも可愛らしいといっているんだぞ。」
「小十郎!!!!勝手なこと言うな!!」
「ちょっとちょっと、騒ぎ始めないでよ。俺様たち帰らなきゃなんないんですが、見送りしてくんない?」

その言葉にが振り向くと、佐助は幸村の肩に手を置いていた。

「もうそんな時刻か…」

残念そうな表情で幸村は俯いたが、すぐ顔を上げ、に向かって笑った。

「まあ、無事が確認できて良かった。佐助が余計な事をして済まなかった。」
「大丈夫です。貴重な経験出来ましたので。」
は心が広いでござるな!!」

またねと手を振り、二人は上田城へ帰っていった。

「ねえねえ、俺さあ、ここから帰るのしんどいー」
「っつーか帰る気ねえだろうが。家康か北条に行ったらどうだ。」
「ちょ、いまからそっち!?政宗のとこ泊めてよー!!!!」
「タダ飯は良くないな。」
「片倉さんまで…」
「手料理を一品でも作ってくれねえか。前田の嫁さんの手料理は絶品と聞く。お前も少しは作れるだろう。」
「ぅえ!?俺食うの専門で…」
「謙遜するな。でしたら宜しいですか、政宗様。」
「…仕方ねえな…」
「よし。」
「ほ、本当に、俺食うのばっかで…!!!」

焦る慶次を、小十郎は笑顔で連れて行ってしまった。

「あれ、慶次、謙遜じゃないと思います。」
「出来て焦げた魚かもしれねえな。」

と政宗も、ゆっくり城に向かって歩き出す。

「そういや、枕…」
「今度来た時にお願いしてもいいですか?私結構たのしみにしてて…」
「いや、今日頼んだから、5日くらいで届くんじゃねえか?」
「え?」

今日は自分は店に行けなかったのに、どういうことだろうと首を傾げる。
そんなに政宗はため息をつく。

「鈍い。」
「どういう…」
「どれだけ頭触ってると思ってる。」

くしゃりと、髪を撫でられる。

「大きさも形も覚えちまうってんだ。」
「…そ、そうですか」
「照れたか?」

こくりと頷くと、政宗はフッと小さく笑った。

「ついでにスリーサイズをいえと言われれば…」
「政宗さんてそういう調子に乗るとこが無ければ良い男だと思うんだが…」
「な、何その客観的な冷静な意見!?」
















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奥州組と甲斐組&慶次、小太郎で幼児化した連載ヒロインとのほのぼの話(鍵山 雛子様)
ヒロインが子供
幼児化したヒロインとそれを見て昔を思い出す松永さんと三好衆
子どもに戻った主人公に癒される佐助

と、複数頂きました幼児化モノを一気に詰め込んでく、くるしくなってしまた…
なぜか政宗オチ政宗オチ?政宗オチ!!!!

リクいっぱい有難うございました!!!