「ごめん!!ごめんね!!凄いごめん!!」
「…いーって…そんなに頭下げるなよ…」
の家にが来てくれて、は着物を着て出発の準備は既にできていた。
はずっとごめんねと謝っていた。
「…気にすんなよ」
「でも…」
「…まるでフラれた気分だからやめてくれ」
のごめんね、は彼の気持ちには応えられません、のごめんねではなく、結局返事を返せずに戦国に行くことになったよごめんね、の謝りだった。
「遅くてごめん!!」
「だから、いつになってもいいっつったろ?」
「でも…」
「だーいじょーぶ。俺以外に好きな奴いねーし。遅すぎてはい時間切れですよ俺あっちのキープしてた子と付き合う〜とかはないから。」
「うわ…そんな男だったら嫌だ…」
「だろ?」
でも申し訳ない気持ちは拭えない。
…もし、何事もなく大学生やってたら…私でよければ付き合って下さい!!って喜んで返事をしていただろう。
なのに、今は何も言えないなんて…
『』
「爺さん」
「おじーちゃん。ここらへん?」
の視線を追って、が指を差した。
氏政は、なんじゃこの若輩者が!!指など差しおって!!と怒った。
はこんばんはおじーちゃん、とのほほんと話しかけて、全く会話になっていなくて笑えた。
氏政はへらへら笑うにため息を吐き、に振り向いた。
『、…悔いのないようにな』
「爺さん…」
寂しいけど、
出会いがあれば別れもあるってことだ。
…そういうことだと、ずっと自分に言い聞かせていた。
「…小太郎ちゃんに、ありがとう、ね?」
『頼む』
お別れをして
…戻ってきて…
爺さんと、と、友達と、ここで生きなきゃ…
今度の連休は、家族に会いに行こう。
「…あのさ」
「ん?」
「一緒にいてくれてありがと」
「は?何でそんなこと言うわけ?」
「ん〜…」
一緒にいてくれて、いっぱい笑わせてくれた。
ちゃんとここに私の居場所があるんだって思えた。
「なんとなく!!いってきまーす!!」
にこっと笑って、は飲み込まれて行った。
「…うお…近くで見るとなんだかエグイ消え方だな…。アニメーションみてぇ…ズルズルズル〜って」
は見えない氏政に話しかけた。
そうじゃろう…とかなんとか反応してくれてると勝手に考え、のベッドに横になった。
「…あ、クソ…洗剤の香り…俺が来るからって洗ったな…の匂い好きなのにな…」
勝手に使って寝ていいと言われたので、ひとまず睡眠をとることにした。
「…まあ、いいか…こんなとこで一人欲情しても寂しいし…逆に助かった…。早く起きて待ってなきゃな〜。おやすみなさい、おじーちゃん」
電気を消して、眠りに落ちた。
氏政はただ一点を見つめて固まっていた。
『ご先祖…様?』
何かが違った。
『誰じゃ…』
手が徐々に震え出す。
『を連れて行ったのは誰じゃ…!!!』
戦国の爺さんに、会ってお礼を言わなきゃ。
小太郎ちゃんに、ありがとう、と私の分も言わなきゃ。
幸村さんに、慶次に、元親に、一緒に居ると心が暖かくなった、ありがとうと伝えたい。
佐助に、かすがに、心配かけたり、心配してくれたり、申し訳なかったけど嬉しかった、友達になってくれて楽しかったって伝えたい。
元就さん…はもう少し人に優しくすると自分に返って来るよ、と言いたいが、我には関係ないと言われるだろうな…
小十郎さん…
政宗さん…は…
「……」
会ったら泣くかもしれない。
悲しくて、これが最後だって言えないかもしれない。
けど、二人は察するだろう。
そのときは…それで良いと思う。
「やばいな…」
今から泣きそうだ。
「…あれ?」
なんだろう…この感覚…?
「!!」
ドサッと倒れこんだのは、廊下だった。
「…え…」
家の中…!?
まずい、と思った。
自分はまた男装をしているが、城やどこかの屋敷のお手伝いさんに見えなければ終わりだ。
勝手に入って、盗人と思われても仕方ない。
とにかく外に出よう、と、は歩きだしたが、天井から気配がした。
「……!!」
忍がいる。
小太郎ちゃんじゃない。
見られた。
「…!」
背後に音も無く忍が現れ、の口を布で覆った。
「う……」
目の前がぼやけて、は気を失った。
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また気を失うパターンですいませんです〜…
何回気を失ってるんだこの主人公…