港に着くと、元親とは、珍しそうに甲板を走り回るいつきを見ていた。

「わかんねえもんがいっぱいだ!!この部屋はなんだべ?」

「あんまり調子にのんなよ!?あと下手にいじんな!!!」

「ケチだな!!」

「だ、誰がケチだ!!」

は、怒鳴りあう二人が可愛いなあと思っていた。

!!全くお前は傍観してんな!!あの雪ん子大人しくさせてくれよ…」
「いつきーそっちは武器庫だよ!!危ないよ!!」
「武器!?見たい見たい!!」
――――――!!!!!」

は笑っているので口を滑らせたわけではなく、わざと言ったようだ。

「教えんなよ!!!こら小姓になれ!!!」
「むーりーでーすーあははははは!!!!」
「ああ!!!」

の腕を掴もうと伸ばされた元親の手を避けて、は武器庫へと走り出したいつきの後を追った。

「あ、こら…」

元親も仕方なく追いかけた。






ー、あれだべか?」
「うん、入れないから行っちゃダメだよ?」

武器庫の前には兵が見張りをしていたので、いつきは近づけなかった。

「おっきい部屋にあるだな…どんな武器があるんだべ…」
「知りたい?」
「……いいべ。おらはもう戦しなくていいんだから!!敵情視察なんていらねえだ!!」

いつきを後ろからぎゅうと抱きしめて、はそうだねーと笑った。

「でも元親は敵になりそうにねえだなあ…」
「元親ね…政宗さんのことどう想ってるかなあ…」
「仲よさそうだから喧嘩する程度のことしかしなさそうだべ」
「あーそれでお家を困らせそうね」
「無駄に金かけてこっちまで来て無駄に戦して帰ってくだべ」
「宝を貰いに来た!!ってんで小十郎さんの野菜を分けてもらって帰るのね」
「普通に来ればいいのに…無駄だべー」
「無駄ねー」
無駄無駄言うなあああああああああああ!!!!!!
「おおおおおおおおお」

追いついた元親はの肩に手を置き、をぐわんぐわん揺すった。

「なあに元親、私にだけこの仕打ち」
に構って欲しいだか?」
「るせえ!!!」

といつきはあはははと色々と慌ててる元親を見て笑った。

草食動物の危機察知能力は素晴らしい。
は俺と二人きりになろうとしねぇしよ…!!!

自分が、これが最後の機会だをなんとしてでも船に…!!!!との意気込んでることに気付いているように、は逃げてる。

「……」

まあ逃げられてる時点で
振られてるってことで
諦めた方がいいんだろうけどよ…!!!

どうも素直に受け入れられない元親だった。


「……」
「…ん?」

いつきがじいいいいと元親を見つめた。

「…仕方ねぇだな…」
「なんだよ…」

いつきは突然あ!!と声を出し、港を指差した。

「にいちゃん!!それは何て食いもんだ!?」
「あ、いつき!?」

いつきは船から慶次の食料調達から戻ってきた姿を発見し、走っていってしまった。

「……」
元親はいつきに感謝し

「うっ!!」
…」

がしい!!との腕を今度はしっかり掴んだ。

「えーと?」
「もう逃げんな?」
「えーと?」
「俺についてこねえか」
「?マークがついてないよ元親。脱字報告しなきゃ」
「やー、間違ってねえんだそれは」

元親はやっと捕まえた喜びに口元を上げた。

…俺の船の居心地悪くなかったな」
「う、うん…」
「ならよ」
「あの、あのね、元親」
「なんだ!?」

が元親の手に、掴まれていないほうの手をそっと乗せた。

「私…あの、やっぱさ、ここに、居たいんだ…」
…」
「感謝とか恩とか抜きにしても、奥州、好き。だから…」
「…」
「元親の船には…」
「その先は、待て。」

元親がの発言を制し、にっと笑った。

「じゃあ、考えといてくれ」
「え?」
「保留にしといてくれ」
「元親…」
「ずーっと返事しなくたっていいからよ。嫌か?はっきりさせたいか?」

元親の性格のほうが白黒はっきりさせたがるようなものだとばかり思っていたが、そうではないのだろうか?

「元親は、それでもいいの?」
「ああ。…なあ、
「何?」
「俺もな、感謝とか恩とか抜きにしても、お前の事好きだ。もう俺の仲間だと思ってる。」
「元親…」
「だから、この先もし俺を頼りたいことがあったら遠慮なく言え。…はっきりさせたら、お前絶対遠慮すんだろ?」
「…う…」

正直、元親にははっきり言って、もし瀬戸内のほうに行ってしまったら元就の元へ行こうかと思っていた。
でも、言いづらくて逃げてしまっていた。

「こーゆーのもたまにはいいって!!、それでもいいか?俺の頼みだ」
「…元親に、甘えてるみたいじゃない?」
「違う。俺の我がままに付き合ってもらってんだ。」
「………」

は一度俯いて考えた。

「元親…」
「おう?」
「私も、元親のこと、仲間だと思っていい?」
「当然だ」

勢いよく顔を上げ、は目を輝かせた。

「私も元親好きだよ!!嫌いだから断ろうとしたわけじゃないからね!!!」
「何言ってんだ!!んなの最初から判ってるぜ!!」
「さすが…さすが元親アニキだー!!!!!!!!!!」

この世で一番海が似合う男は?
アニキー!!!!!!!!!!
と、元親との大声が聞こえ始め

「…おいおい、ありゃあ何か新しい宗教じゃねえよな?」
を信じるしかないですなあ、政宗様」

遅れてきた政宗は呆れていた。





















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元親は優しいからね!!