ー!!!!ー!!!!」
「いつき!!」

町に入ろうとしたところで小柄な娘が立っていた。

いつもの衣装ではなく、着物を着ていたので一瞬見違えてしまった。

を見つけると駆け寄ってきて、ひたすら名前を呼ぶ姿が可愛らしい。

…!!会いたかっただ…!!無事でよかったー…」

政宗に降ろしてもらい、いつきをぎゅっと抱きしめた。

「いつき、ごめんね、心配かけてごめんね…」
「大丈夫だ…お野菜の人に無事だって、元気だって教えてもらったんだけど、どうしても自分の目で確かめたかっただ…」

お野菜の人=小十郎さん、と一発で判るのがなんと感じていいものか…


「Hey、お二人さん、そういう話は城でやったらどうだい?」
「政宗さん…」
「青いお侍さん、今日はお客さんいっぱいだな…」

いつきは後方を背伸びして眺め、心配そうな顔をした。

「…今日は、お泊りしちゃ、だめ…?」

政宗はふーっと息を吐いて

と一緒の部屋になるぞ?それでもいいのか?」

そう言ってくれた。

「!!うん!!それがいいべ!!」
「わー!!いつきと一緒ー!!」

二人で手を繋いでぶんぶんと振った。

「…、案内してやるといい」
「え」
「城までの道は判るだろ?」
「あ、うん…」

政宗と小十郎は馬上からに微笑みかけた。

…一緒に、行っちゃダメなのかな…

政宗を不在にさせてしまったことは、本当に申し訳なく思っている。

それで家中でごたごたがあるなら、自分も巻き込まれよう、罰も受けようと思っていたのだが…

「だったら俺達も一緒に町見てから行ってもいいか?」
そう言って、馬から下りたのは慶次だった。

「あ、お、俺も…」
元親は、いい口実ができたとばかりに勢いよく馬から下りた。

「…奥州に来る事などめったにない。」
元就も降りて、珍しそうに店頭に並ぶものをじっと見つめた。

「成実兄ちゃんは?」
そう聞いたのは武蔵だった。
「俺は城直行組み」
「んじゃあおれさまはこっち!!城!!」
「血気盛んだねぇ…ま、望むところよ」

二人は決闘したくてうずうずしていた。

「…」
小太郎はもちろんに付いていこうと…

「小太郎はこっち来てくれねえか?」
「…?」
「頼む」
「……」

小太郎は政宗についていくことにした。

政宗たちが城へ行くのを見送ってから、みなで城下を散策する事に。


はいつもどんな店にいくんだ?」
「えと…茶屋とか、呉服屋さんとか…装飾品の…あ、ここ来たことある!!」
「…た、高そうなお店だべ…」
「見るのはタダよ、いつき!!ちょっと行ってくるねー!!」

といつきは女の子でにぎわう店に入って行ってしまった。

男は入りづらいので、各々近辺を見て回ることに。

「政宗、どう思う?」
そう酒屋を覗く元就に聞いたのは元親。

「…動く気らしいな。我は様子見だ。なに、すぐに中国に影響の出ることを起こすほどの力はあるまい?」
「でも、あいつはお前が南に兵を動かすこと知ってるなあ?ザビーの弾圧…その情報、豊臣が聞いたらどうするかね?」
「…ふ」
元就は軽く笑った。

「ありえねえって言いたいのか?あいつは竹中半兵衛と会った事あるだろうが…そんときに何か…」
「…あの男が、そのような手を使うとは思えぬな。攻めるならば己の手で。そう思わぬか?」
「…めっずらしー…元就が人間性を読むとはなあ…また嵐くんのかね?」

「我があの男について知ったのは1つだけよ」
「……?」

店員が、殿の推す酒だよ!!どうだい?と試飲品を持ってきた。

元就が一杯手に取り、口をつけた。

「あの男はお前に似ている。それだけよ。…好きな酒の味まで似ておるわ…気持ちわるっっ
「気持ち悪い言うな!!!!!」

そんな二人を、仲良いな〜、と慶次は眺めていた。

「……」

今日、一泊したら

秀吉に、半兵衛に、会いに行くと決めているが

「…あーあ…」

慶次は、楽しそうにはしゃぐといつきに近づいた。

「これが欲しいの?」
「あ!!」

慶次は、いつきが持っていた髪留めをひょいと取った。

「兄ちゃんから見ても可愛いべ?にも似合いそうだ…」
「…ふーん…じゃあ、3つください」
「「え」」

慶次が女性店員に三本指を突き出して

「け、慶次?高いよ?」
「兄ちゃん、そんな裕福そうには見えねえだ…!!服装派手だけんども…」
「余計な心配!!」

そういって慶次は財布を取り出し

「三点で、合計で…」
「お姉さん」
「はい?」

ばちーんと

店員さんに向かって悩殺ウインクをしました。

「……三両ですゥ」

店員さん、めろめろになりました。


といつきは後ろで

「金持ってないんじゃん…」
「見栄っ張りだな…」

呆れていた。




「元親、元就さん、お待たせー」
「おう、満足したか…」

くるりと元親が振り向くと

「…うわあ…」
「ちょっと、うわあて」

といつきと慶次が頭にお揃いの髪留めを付けてるから元親でなくてもうわあと言いたくなる。

しかしその反応が見たかっただけだったようで、すぐに三人は外した。

「何か欲しい物とかあった?」
「見て回るだけでよい。そろそろ城に向かうか?」
元就が青葉城をじっと見つめた。

「…伊達政宗の居城…こんな機会、めったにないわ…」
「元就さん、明らかに悪い人の顔してますよ」








先に城に着いた政宗はとりあえず着替え、そのあと重役を集めた。

「…城を空けて、悪かった」
「…政宗様、詳しいことは我々は聞いておりませぬ。しかし、やはりあの娘の行動との関係が…?」
「……」
家老から、やはりの名前は出てきた。

「あいつに、珍しいものを見せてもらった。予定としてはもう少し早く戻れたんだが、俺の失態で遅れちまった」
少し、皆が言葉を発し始めた。
いろいろと聞きたいことがあるはずだ。
だが

「…政宗様は、今回の出来事は全て失態とお思いで?」

小十郎の言葉に、ざわめきが止まった。

政宗はにやりと笑った。

「そうだなあ…失態は、一度だけ…」

祭りの日に

光秀の気配に気づけなかった、あの瞬間だけ

を危険な目にあわせたあの時だけ

「小十郎には、政宗様に反省する気があるとは思えませぬ」
「…小十郎、俺が留守の間、城を守ってくれてありがとうな…。他の奴らもだ。」
「政宗様…?」

政宗に素直な笑いを見せられ、文句を言いたがっていた家臣も呆気にとられて目を丸くしてしまった。

「俺のいない間、何も起こらなかった。それは結果論。今後こんな事が無いよう気をつけるさ。…おめえらを集めたのは俺の反省会じゃねえ。これから先のことだ。」

政宗の態度は、開き直ってるものではなかった。

「時間とか出会いとかな、そういうの、刺激になっちまったんだよ。俺は早く、夢を叶えたい」

小十郎と、以外の前で、政宗が初めてこんな場で夢という言葉を発した。

政宗の気が、高ぶっていた。

「…まずは聞いてくれ」






「………」

小太郎は、天井裏でため息をついた。

政宗は、が安心してこっちにこれるように早く平和な世に〜とか言って自分を使う気だ。

「……」
確かに、黒脛巾組の中にも自分より足の速い忍は居ないと思うが…

「……」
…そうか

武田と越後の間で…

佐助とかすがの相手をするなら、俺が手っ取り早いか…

「………」

面倒な事になりそうだと、小太郎は頭を掻いた。
















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髪留めっていくらくらいなんだか判んないけどそこらへんは適当に流してくだされば…!!!!