甲板に四人が行くと、はまだ慶次にしがみついていた。

〜おいおい〜可愛いなぁ〜」

慶次の顔は緩みっ放しだ。

さすがに佐助も呆れ顔をしていた。

「佐助ぇぇ!!」
「あ、旦那!」
「火焔車ぁぁぁぁ!!!」
「何で!?」

勢いよく幸村が回りながら来たので、さすがにと慶次と小太郎もびっくりしていた。

「幸村さん―!?」
「慶次殿!無事で良かった!!」
「あ、ああ…」
「だからって調子に乗るでない!!」
「乗らせてよ少しくらい!!」

慶次は必死に逃げ回った。



「あいつは前田慶次。ただの遊び人だ」
「聞こえたぞ独眼竜!!その紹介はなくない!?」

慶次の叫び空しく、元親と元就は納得した。
「何だ…遊び人かよ…を守ってやらねぇといけねぇな…」
「ふざけた男だ…許せぬ…」

はそんなやりとりを気にせず、幸村に必死にやめてくれと懇願していた。

「慶次は怪我したばっかりだよ―!!やめて幸村さん!!」

―!!」

慶次がの後ろに隠れた。

「…む、そうだな…すまぬ…」

幸村も止まり、少ししょんぼりして反省した。







場所を室内に移動し、とりあえずこれまでの話を聞くことにした。


「祭の後はどうなったんだ?」
「ん、あぁ、まぁ…ちょっとあいつらに説教したよ」
「説教でござるか?」
慶次は政宗たちからに視線を移動させた。

、俺、あいつらにきつーく言っといたから!!」

は佐助に肩揉みをしながらきょとんとした。
ちなみに疲れるだろうからと小太郎がに肩揉みしてて、異様な光景だ。


「え?慶次、怪我してたのに?」

慶次があ、と小さく声を洩らした。

「かっこよかったよ〜風来ぼ「あ〜あ〜やめろよ!!」

にやにやする佐助を、慶次は顔を赤くしながら睨み付けた。

「慶次…ありがとう…でも、無理しちゃ嫌だ…」

「傷は浅かったんだよ!!気にするなよ!!…それより、あいつら2人、には手を出すなって言ったから!!」
「う、うん…ありがとう…慶次!!」



「…あいつは、間違って無いって」
「!」

佐助がと小太郎にだけ聞こえる音量で喋りだした。

口は全く動いて無いため、政宗たちは気付かなかった。

「佐助…(腹話術させたい…)」
「手当てが先だっていってんのに、ずーっと吠えててさ」
「……」こくり
「あいつに手を出したら、どこの誰だろうが関係ねえ、殺すってさ…おっかない顔しちゃって…」
「……」

佐助はにこにこ笑ったままだ。

慶次は上田城に遊びに行ったりするらしいから、佐助は慶次の事知ってるのかもしれない。

ねねさんの事、知ってるのかもしれない。

「そっか、判った」
「おやおや、は察しがいいね。こういうことに関しては」
「ええ?ちょっと、私普通だし。全部平均的だって」
「え〜?ちょっと、やめてよ謙遜なんて〜(…い、いやいやいや、鈍いよ?恋に関しては鈍すぎるよ?小太郎、って本当自覚無いの?これ計算?)」
「……(素だから厄介だ…)」



幸村がとたとたと、佐助のところにやって来た。

こそこそ話していたのがばれたかと思ったが、幸村はにこにこしていた。

「佐助!!お館様は?」
「はいはい、大将は旦那の帰りを待ってるからね。俺がしっかり連れてくからね〜。ところでホントに未来に行ったの?」
「うむ!!す、すごかったぞ!!何から話したらいいのか…ええと…そうだな…」
「大将が旦那の話楽しみにしてるからね〜。聞かせてね?いいよね、?」
「えへへ…そ、そんなに、たくさんは見せてあげられなくて…」
「そ、そんなことない!!そうだ!!一番凄かったのは、だ!!」

幸村はをキラキラした目をして見つめていた。

「わたし?」
?」
「??」

「そうだ!!は、1人で某と政宗殿の世話をしてくださった!!飯も、衣類も、掃除も!!そして仕事の無い日は、賑やかな町に連れて行ってくれたし、道場も見つけてきてくれて…!!」
「1人で?そりゃ、…悪い事したね〜…」
「大丈夫なんだよそれが…簡単に出来るカラクリがあってね…」
「佐助!!佐助!!某、にお礼をしたいのだ!!」

幸村はが佐助に説明する暇を与えず、どんどん話を続けた。

「幸村さん、そんなに気にしないでよー!!ここに居るときは、お世話になってるし…」
「いや!!お礼させてくだされ!!」
「幸村さん…」

幸村があまりに楽しそうに話すので、は言葉に甘えることにした。


「…じゃあ、楽しみにしてるね!!」
「うむ!!渡しに行くでござる!!」


そんな二人を佐助はにこにこしながら見つめていた。


「未来、ねえ…」

佐助がゆっくり口にした。


政宗と幸村を除く、話を聞いていた全員が未来とはどんなところか想像した。


「未来…具体的にはどの程度なのだ?」

元就がに向けて疑問を口にした。

「…約400年くらい」
「400年…」
「400年後か…想像つかねえな…」

元親は相変わらず政宗にどんなカラクリがあったんだよと聞いていた。

政宗は耳を露骨に塞いでいた。

「だって、が持ってるだけで体温を測るカラクリ…ん?元就?に返したか?」
「あ、そういえば返してもらってない」
「…気のせいだ」
「ええええええ!?」

ふいっとそっぽを向く元就に、と元親が攻め寄った。
「元就さん返してー」
「元就!!盗みなんてだめだ!!」
「元親貴様お前がそれを言うか!?」
「…部屋にある。あとで1人で我のところへ来るがよい」
「仕方ないなあ…」
!!これ地味に元就の策だ!!俺でも判るアホな策だ!!」
「…黙れ元親」
「黙らねぇぞ!!、俺が取り返してやるからな!!」


騒ぐ周囲を、慶次は笑いながら見ていた。


!!俺からも質問!!いいか!?」

慶次が勢いよく手を上げた。

「はいなんですか慶次君?」

は慶次をびしっと指差した。


「未来は、自由に恋はできるのか?」
「するのは自由だよ」
「へえ〜!!いいねぇ!!俺も未来を見てみたいねえ」

慶次はにこにこするばかりだった。


「不安だからだめ!!私ですらなにがどうなってるのか判らないのに…政宗さんと幸村さんが行けたから慶次もおいでなんて言えないし…ごめんね…」
「はは!そうだよな〜…ありゃ事故だったしな…いや!!俺もこんな事言ってごめんな!!」

判ってくれたらしい慶次は、幸村をからかい始めた。

は複雑な気持ちで慶次を見つめた。











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必殺繋ぎだけ。(ウワー)
次の話本当にどうしよう暗くなりそう!!
が、がんばります…