小太郎ちゃんが珍しくぐっすり寝てるのでなんとなく私が小太郎ちゃんの護衛をしなきゃいけない気がして、そばにいようと思った。

元親の部屋で寝てしまったので、みんなで小太郎ちゃんの寝ている布団を協力して持って、私の部屋の隣に移動させてもらった。

政宗さん特製卵粥をおいしそうに食べたらぐっすり寝てしまって、今は貴重な小太郎ちゃんの寝顔をガン見しています。
私の特権だぜ!!




はおでこに当ててるタオルがぬるくなったら冷たい水に浸けて絞ってまたおでこに当てていた。


襖がすっと開いた。

…飽きねぇなぁおまえは」
「小太郎殿はいかがでござるか?」
「政宗さん、幸村さん…ん〜、食欲あるみたいだから大丈夫だと思うよ」

、つきっきりじゃなくてもいいんじゃねぇか?」
元親もひょいと顔を出した。

「貴様にうつるぞ」
姿は見えないがどこかに元就もいるらしい。


「そうかな…でも小太郎ちゃんが…」

「小太郎殿はが無事で安心したからこうしてぐっすり寝てるでござるよ」
幸村がにっこり笑った。

が幸せなら小太郎殿も幸せでござろう!かすてらを食べよう!」
「カステラ!たべたい!」
もぱああと笑顔になった。

「そうこなくっちゃなァ!!茶の用意はできてるぜ。」

元親がにぃっと笑って歩きだした。
幸村と政宗もそれに続くので、は小太郎の頭を撫でてからすぐ立ち上がった。






元親の部屋におじゃまして、カステラを頂く。

「わわわ、ざらめじゃりじゃり!おいしい!!」
「甘い…」
「政宗殿、甘いのは嫌いか!?では某が…」
、口開けろ」
「あ〜」
「ああああ!!くやしい!!」

そんな三人を見て何を思ったのか

「元就、ほれ」
「頭が腐ったか」

元親も元就に食べさせてみようとしたが失敗した。

「…お前らは仲がいいのか?」
政宗が微妙な顔をして二人を眺めた。

豊臣が攻めて来たらこいつらは協力するのだろうか?


「良くねぇ」
「良いわけがなかろう」

そうは見えませんが。

「ふん…こんな姫若子…仲良くしても役に立たぬ」
「ばっ…」
「姫若子?」
が反応した。

「姫若子って?」
「元親だ。ちょっと前まで女のように戦がやだとか」
「ぎゃああああ!!」

元親が元就の口を手で覆ったが

「へええ…だからそんなにピンクが好きなのね?」
「だからおもちゃ遊びが好きなのか」
「だから皆の世話をするのが好きなのでござるな」

三人は飲み込みが早かった。

「い、今はちげぇからいんだよ!!俺は「鬼ぃ!!」…そう、鬼!お…ん?」

聞いたことないだれかの叫び声が

「外からしたよ?」
まだ雨の止まぬ外をのぞき見ると

一人の男が走って城に向かってくる。

「俺と勝負、しろおぉぉぉぉ!!」


元親はバン!と窓を閉めて座った。

「いいの?」
「クソガキの相手してるほど暇じゃない」
「誰だあれ」
「宮本武蔵とかいう決闘好きだ」

はつい口を開けて驚いてしまった。

あれが宮本武蔵!?

「いいのか?攻め込んでくるんじゃないのか?」
「あいつは馬鹿だから罠に引っかかる」

「ぎゃあああああ!!!」

「な?」

と元就が外を見ると

武蔵が網の中に入ってもがいていた。

「幼稚な罠よ…」
「あはは!平和的で私は好きだな!」

「しかし嵐が来てるというのに乗り込むとは…よっぽどのことがあるんじゃないのか?」

幸村が心配するが

「よっぽどケンカしたかったんだろうな」
元親はそういうだけだ。
あまり関わりたくないのだろう。


はじっと武蔵の様子を見た。
元就の視線はに移り、阿呆め、とだけ言った。





お酒を少々拝借して、外に出る。

ザアアアアと雨音は激しく、風が強くて傘が意味ないなと思い、そのまま出ようとすると

「貴様まで風邪ひく気か」

背後からの声にびくっとした。

「元就さん…」
「貴様の考えることなどすぐ判るわ」

片手には傘をもっている。
の隣に立つと、傘を広げて相合い傘をした。

「宮本武蔵のところへ行くのだろう?あんな野蛮な奴が大人しくおまえなんぞの話を聞くとは思えないな」

「元就さん、一緒に来てくれるの?」

「暇だしな。我の巧みな話術を見せてやろう」

元就がにやりと笑った。



武蔵はなかなか網から抜け出せなくて暴れていた。
「だぁぁ!卑怯な鬼め!!」

暴れるせいで余計からまっていた。

「ふん…無様だな」
元就が武蔵がうつぶせになっているすぐ傍に立ち、武蔵を見下ろした。

「お前…毛利元就だな!?なんでここに!?」
「ほう…我を知っているか…ただの阿呆ではないようだな」

は元就の後ろで傘を持ち、元就に向けて傾けて共有しながらそのやりとりを見ていた。

「この網はずせ」
「それが人にものを頼む態度か」

「…」

元就さんは武蔵君の根性たたきなおすって言ってたが

力押しで直せるだろうか…このやんちゃ武蔵を…

そう考えていたら

「え」

元就さんの足が

「っつ…てめっ…」
「貴様に屈辱を味わわせてやる」

武蔵君の顔を踏みにじって

「やめてくださいよ元就さんっ…」
は元就の服の袖を引っ張った。
「口出し無用。邪魔するな」
「元就さん!!踏まれたら痛いでしょ!!」
「そうだ!その女の言うとおりだぞ!踏まれたら痛いぞ!!いだだだだ!!」
「…痛くしてるのだが?」
「可哀想でしょ!!」
「そうだ!おれがかわいそうだ!!」

が元就を突き飛ばして足をどかした。
傘を落としてしまったが構わずに武蔵に駆け寄った。

すぐに元就とも武蔵同様、ずぶ濡れになった。

「お前…!!お前は後ろでただ見ていろと言ったろうが!!」
「異議ありでした!!武蔵君、今網からだしてあげるからね!!」

武蔵は上目遣いでをじっと見た。

「姉ちゃんは良い奴だな!!」
「そうでもないわ。網から出したとたん暴れ出したら思いっきりひっぱたくわ」
「ん〜、そうか。判った。でも、おれ、鬼と戦いにきたんだけどなぁ」
武蔵が悩んでる間には網を外し終わってしまった。

「おぉ、ありがとな!!」
武蔵は、腕をぐるぐる回したりぴょんぴょん飛び跳ねたりして自由になった体を確かめた。

「とりあえず、そっちに」

なまえは軒下を指差した。

とりあえず三人で雨宿りをすることに。

「姉ちゃんびしょびしょ。だいじょうぶか?」
「大丈夫。武蔵君こそ」
「おれはさいきょうだもん。このくらいで負けないぞ!!」

腕を組んで不機嫌そうにしている元就を気にせず、二人はほのぼのと会話を進めた。

「武蔵君、元気ね。体冷えてるだろうからお酒持ってきたんだけど…」
「いいのか!?」

が懐から小さなひょうたんを取り出すのを目をきらきらさせながら見たが

「なんだよ!!これだけかよ!!」
「暖めるだけって言ったでしょ!お酒はね、飲むとあったかくなるけどそれは体の表面が暖まるだけで、内臓の温度は下がっちゃうの!!寒いところで酔いつぶれたら死んじゃうかもしれないの!!」
「「…へぇ」」
元就もうっかり感心した。

「元親に許可もらえるならお風呂入った方が良いけど…ほら、手がこんなに冷たい…」
「わああ!?」
が武蔵の両手を自分の手で包むと、武蔵が真っ赤になった。

意外と純情だ。

「ね、姉ちゃん、やさしいな…も…もう、おれ、大丈夫だぜ!!姉ちゃんのほうが冷えちまうだろ!?戻ったらどうだ!?」

武蔵がしどろもどろになって、元就は吹いた。

「…なんの知恵も計算も使わずこの小僧をこのように…」

女ってずるい…

……

………いや…

これが愛!?


元就が感動してふるふる震えだしたがは無視した。

「(元就さんて判んない…)武蔵君はこれからどうするの?」
「鬼に決闘を申し込むんだ!」

武蔵は『鬼へ』と雑に宛名が書かれた文をの目の前につきだした。

「ちゃんと書いてきたんだ。偉いね」
は先生モードだ。
「ば…馬鹿にするなよ!!そのくらい、わきまえてるんだからな!!」
武蔵は顔を真っ赤にしながら怒ったが、覇気はそれほどなかった。

「じゃあ私が元親に届けてきてあげる。その間、城で大人しく待てる?」
「当然だ!子供じゃないんだ!!」

はにやりと笑った。
これで元親に決闘を回避するための洒落のきいた返事を書いてもらって

「待てぃ!!」
「…」
元就がと武蔵の間に立った。

…貴様の愛、しかと見届けた…」
「…はぁ」
「我も享受したい。」
「……はぁ」
「しかし、女1人…信者もおらぬお前に、多くを語らせるのは負担だろう…」
「………はぁ?」
「我ならば貴様の愛、一度教えてもらえれば深く理解し、万人に広める事ができる」
「…………はぁ」

「宮本武蔵ぃ!!の愛の伝道師の名ををかけて我と戦え!!」

元就がびしっと武蔵を指差し宣戦布告。
普通に見れば格好よいのだが

「「…なんで?」」

訳が分からなかった。










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マイナーな部類だと思う武蔵参戦。
武蔵はなかなか可愛いと思う方挙手。はい私です。
武蔵もちょこちょこ出ますー
小太郎再登場したばっかりでワアー
元就がますますアホにワアー