今日も船内の掃除をしていると、ピーちゃんが飛んできて、の頭に乗っかった。

!!!」
「あれ?ピーちゃん俺の名前覚えてくれたの?」
「モトチカ!!」
「…うーん、どうした?」

小太郎と夢吉とはコミュニケーションできるが、喋るオウムとは出来ないとは…

「哺乳類と、鳥類の差かしら…」

夢吉を思い出し、同時に慶次の顔が頭に浮かぶ。


「……」


慶次の笑ってる顔しか思い出せない。
血を流す慶次が考えられない。


「…絶対、会いに行くから…」


雑巾をぎゅううっと握り締めた。



!!モトチカ!!」
「え?」

ピーちゃんが飛んでいってしまった。



何となく後をつけていくと、病室の前をばさばさ飛んでいた。
…病室なのかどうかはさておき。


コンコンとノックして、扉を開けた。


「失礼します。具合はどうですか?」
「単純な奴らだ。昨日の今日でもう楽になってきたといいやがる」

元親があぐらをかいて壁に寄りかかっていた。

「けど、本当に顔色がよくなってきてる」
「そっか…」
「…果実は、確かに食わせてなかった。」
「う、うん」

元親の周りに、空のコップがいくつか置いてあった。
今まで飲ませていたのだろう。

「よく判ったな、お前」
「あー、うん。ほ、ほら、船だとそういうの、長期保存は無理だろ…?」
「お、お前、実状を考えて推理したのか!?」
「えっと、いや、そんな大した事じゃないんだけど…ええと…うん(…そういうことにしておこう…)」

は誤魔化せる案が思いつかなかったので、そのまま流してしまった。

ピーちゃんが元親の肩に止まった。

「モトチカ!!!」
「おう…」
「ピーちゃんて頭良いんですね。もう俺の名前覚えてる」
「…!!」
!!アリガト!!」
「いえいえ…「ピーちゃん!!散歩の時間だなー!!ほうれ!!外いって来いー!!!!

元親がピーちゃんを掴んで部屋の外に出した。

「…??」
「女みたいな名前だから覚えちまったんだろ!!」
「は、はあ…」
「ん?」
元親がの持っていた雑巾を見ると

「もう掃除はいい」
「え?」
「掃除には困ってねえんだ」
「はい…」
「ちいと、来い」

元親がを回れ右させて、背を押す。

はそのまま元親に押されるまま歩いた。





着いた先は元親の部屋だった。

「あの…?」

中に入ると、元親がどっかり座ったので、も近くに座った。

元親が頭をがしがし掻いた。

「…」
「…え」

の着物の襟に元親が手をかけた。
これには驚いた。

「ちょっとまてっ…!」
「お、男同士で何恥ずかしがってんだ!!」

そりゃ、そういう設定だが…!!


「うわ…!!」

少しだけ脱がされる。
肩が外気に触れる。

「…まだ、痣になってんだな」
「いや、すぐ治る」

本当に、もう大したことはなかった。

しかし、元親は申し訳無さそうな顔をしていた。

「…悪かったな」
「あ、あの、俺だって…」

気まずい空気が部屋を包む。

「お前は、間違ってない」
「いや、でも…暴言吐いて…」
「政宗の小姓だろうが…そのぐれえはあってもおかしくねえ」
元親にとって政宗さんは一体どういうキャラなんだ…

元親が手を離したので、は着物を直した。

「長いのか?あいつの小姓になって」
「いや、まだ…なりたてだ。教育が全然だろう?」
「だな」
クク、と元親が笑った。

「じゃあ、まだ、だろ?」
「何が?」
「あいつへの情はまだ薄いだろ」
「え?」

元親が真剣な顔をして、をまっすぐ見つめた。


「俺の小姓にならねえか」




ついアホ面をしてしまった。


「…可愛い顔が台無しだぜ」
「お、おい!!何言ってんだ!?お前…俺みたいな…お、俺、政宗様に拾われたんだ!孤児で…親の顔もわかんねえし…」

設定を追加してみた。

「てめえはどこで教養を受けた?お前は役に立つ。奥州なんかでくすぶってんな。俺と世界を見たくねえか?」
「い、いや、それは、小十郎様が…」
「あの堅物が?あいつがお前に何を教えた?飲み物の作り方か?その程度だろう?お前は何者だ?いや、何者なのか、そんなのはどうでもいい。俺は、お前が欲しい」

真剣に欲しいなんていわれてしまい、は顔が真っ赤になった。

「お、俺は、羅針盤も火薬も活版印刷も、使い方がわからねえ!!星だって北極星や北斗七星とかオリオン座しか知らねえし…ダウジングだって無理だし宝石の価値だって知らねえしっ…!!」

元親がの手をがっしりと掴んだ。

「な…羅針盤を知ってんのか!?その星は何だ!?おい!ほらみろ!お前は俺の小姓になるために生まれたんだ!!その智で俺を支えろォ!!」
「なんじゃあそりゃあ!!」

Hell Dragon!!
「「ぎゃああああああ!!」」

政宗はレベルアップしていた。



「だから!!どいつもこいつも俺もんに手をだすなー!!!!」

政宗が片手に朝食の膳を持って部屋の入り口に立っていた。

「ど、どいつもこいつも…?あの熱血もか?」
「るせえ!!!こいつと二人きりになるな!!おら!!break fast!!置いておく!!」

政宗が乱暴に床に膳を置いて、を引っ張って元親の部屋を後にした。

「なんつーご執心…おいおい、政宗…そりゃあ俺には逆効果だぜ…」

は物ではないが、政宗から奪い取りたくなった。

大切な宝であればあるほど。





政宗はの手を引いて、どすどすと船内を早足で進んだ。

は小走りでついて行った。

「政宗様…」
「お前もお前だ!!もっと警戒しろ!」
「で、でも元親は…信用できると…」
「Shit!お気楽馬鹿!!」
「うう…」

寝室の扉を開け、二人で入る。
はお説教されるのを覚悟した。

「おい!あのなあ!!」
「はい!!」

政宗が掌で壁を叩いた。
どん!!と大きな音が出て、はびっくりして肩をすくめた。

「敵は作らないほうがいい、それは俺も判ってる!でもなあ、限度がある!!」
「は、はい…」
「そんなに…簡単に気に入られてんじゃねえよ…何も、親密になることねえじゃねえか…」
「はあ…?」
「お前の帰るところは奥州だ…!!忘れんな…!!」
「は…い…」

それだけ言って、政宗は行ってしまった。


政宗が出て行った後、はしばらく政宗がいた場所から視線を外せず、ぱちぱち瞬きをしていた。


「…嬉しくなる事言われた気がする」


頭の中で反芻する。



"お前の帰るところは奥州だ"



「…承知しております、政宗様」


もう少しで、四国に着くから

一緒に帰ろうね、政宗さん










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幸村出なかった…!!
とりあえず小姓勧誘から入りましょう

女だとばれないのは不思議だね!!(おまえ…
男装用名前を追加しない管理人の怠惰っぷりは笑って流してください…