平日は大学が終わったら毎日道場に向かう。

道場に着くと

「ha!どうした真田!!この程度か!?」
「伊達こそ!もっと本気を出せ!」

出すな。


今日も道場が壊れていなくて安心なんだけどね。

「伊達〜真田〜調子はいかが〜?」
「おお、、来たか」
「調子は良いぞ!!」
竹刀を合わせたまま、こちらを向く。

竹刀がミシミシいってますよ。
今にも壊れそうです。

「もう少しやってく?」
「伊達、どうする?」
「ん〜、俺はいい。汗かいたしな」

竹刀ミシミシいわせながらのほほんと会話するな。

「ならば俺も」

それでやっと腕をおろした。

が鞄からタオルを出して、二人に近づいた。
今日はお爺さんはいないようだ。
「伊達、眼帯、換え要るね…」
「あぁ…これじゃ蒸れる」
「道場にいるときはいつもの使った方が良いかな?」
「いいなら明日からそうしよう」

そう言って

政宗さんが左手で眼帯を浮かせてそこに右手で持ったタオルを潜り込ませて拭こうとしたので

手を止めて

「だめ!伊達!そんな雑にしないの!」
「だってなぁ…」
政宗さんが幸村さんを見る。
見られたくないようだ。

「俺は気にしないぞ?」
「そういう問題じゃない」
「はいはい、判ったよ。伊達、こっち向いてかがんで」
「ん」

幸村はスポーツドリンクを勢いよく飲みながら、その話を聞いていた。


政宗殿もの優しさにはかなわぬのだな…甘えてしまってまぁ微笑ましい限りだ


のんびりとそんなことを考えて

視線を戻すと

「わぁぁぁぁぁ!?」
政宗が壁に両手をついて背を曲げて

は政宗の体と腕と壁に囲まれて

まるで政宗がを口説いてるというかむしろ接吻してるようで

「そこまでして見せたくないか!?というか伊達!狙ってやってるだろ!?」

「ah?真田なんだって?」
「あ、まって…まだ…動かないで…伊達…」
「ああ、判ってる…」

「ひぃぃぃ!それ素!?素の会話!?」

心臓に悪いでござる!!


「真田、顔赤いんだけど大丈夫?休憩とかちゃんとはさんだでしょ?」
「…その赤さではない…」
「え?」


終わったら名前を書いてお金を払う。
おばあちゃんが居たので渡して

名前を書く2人をこっそりとのぞいてみると

“伊達小十郎”
“真田佐助”

は吹きそうになった。




「やはり名前はちゃんと考えれば良かった…」
「次郎と迷ったんだがな。藤次郎の次郎。語呂が悪い。」
「そう言う問題じゃない!」

幸村さんのシャワー中に政宗さんに小言を言ってみた。

「カリカリすんなよ…ヒステリー持ちか?さん?」
「うう…」

政宗さんはベッドに寝そべってポケッ●英和辞典を読んでいる。


「それより
「何…」
「ここでの生活、慣れてきたぜ」

視線を辞典からに移し、政宗は意地の悪い笑みを浮かべた。

「だから、もう気張ってねぇで力抜け。俺に甘えろよ」
「な…」
「しっかりしなきゃーって思ってたんだろ?もう大丈夫だ」
「まだ…ろくに世界見てないくせに…よく言う…」

は肩の力が抜けたのを感じた。

あぁ、私は頑張っちゃってたんだ…

「…」
「お」

政宗の隣にが寝そべった。

ベッドがギシリと音を立てた。

「Aから1ページずつ読んでちゃZまで読み切れないよ?パラパラめくって一通り読んだら?」
「…」

政宗に寄り添って

は辞典を覗きみた。

「所々色が違うのは何でだ?」
「大事だから線引いたの」
「ふぅん…なぁ、これくれ」
「ずっと使ってた私のお古ですよ?いいの?新しいの買って…」
「これがいい」
「うん、じゃあ、大事にしてよ?」
「ああ」

そんなやりとりをしながら、政宗は辞書を片手で持って、空いた手での髪を撫でたり指に絡めたりした。

は気持ち良さそうに目を閉じて

「…?」
「……」
「寝たか…」

すうすうと隣から規則正しい寝息。

「らしくねんだよ…無理すんな…」

辞書を閉じて、ベッドの隅に置いて

政宗は体ごとの方を向いて、の寝顔を見つめた。

「…俺は」

顔にかかる髪を退けて

「お前の事、もっともっと、たくさん知りたい…」

これは独占欲にも似た感情で

「俺たちと…生きて欲しい…」

これはただの我儘。

「…

細い細い首筋に、触れるだけのキスを

「所有印は…俺のもんになってからな…」

それを楽しみに

待っている

「…はは、毎度一緒にこっちに来るわけにはいかねえのが、残念だ…」

天下を取るまでは、まだ

「待ってるから・・・頑張ってくれ・・・・・・」
の手を、優しく握った。


「まさむねどのぉ!?」
「あ?静かにしろよ。は寝てんだよ」

幸村が風呂から上がってきた。

「な、ななな何故、そこに…」
から来たんだよ」
「ありえぬ!!」
「何でだよ!!」

叫んだと同時に二人が手で口を覆った。

「「……」」

を見ると

「……」
変わらずすうすうと寝ている。

ほっと胸を撫で下ろした。


幸村もベッドに近づき、の様子を見た。

「…疲れているのだろうか」
「こいつにゃ、世話になっちまったな…俺たちみてえに権力持ってるわけじゃねえのに」
「戻ったら、には何か礼をしよう。」

戻ったら

「お前がそうすんなら俺までしなきゃなんねえじゃねえか」
「当然であろう」
「ハッ…仕方ねえな」

次は大丈夫。
俺たちが居るから
守るから

「幸村…もし、が、俺たちと一緒に居たいって言ったらどうする」
「困るな」
「あ?」

嬉しいでござるよ!!とにっこり笑うかと思ったのに

「奥州に侵攻出来なくなる」
「だったら俺が攻め込むまで待ってろよ」
「そういうわけにもいかぬな。」
「俺が攻め込む前に」

政宗が起き上がった。

首だけ幸村の方を向けた。

「上杉と決着をつけろ」
「…政宗殿?」

政宗も上杉を狙っているのかと思ったが

「そうしたら次は徳川だ…俺もお前も」
「っ!!それは…」

同盟…?

「…政宗殿は…」
「織田は…祭の件で何か動きがあるかもな。戻ってから考えたほうがいいが…出来れば明智から潰す。先に豊臣をぶん殴りてえんだが…魔王んとこほったらかしですんなり通れるとは思えねえしな」
の髪をいじりながら、政宗は世間話のように普通に話す。
「政宗殿!!」
「ただの独り言だ」
「!!」

動揺する。

奥州と、同盟…

「……」
複雑な顔をして俯いてしまった。

お館様なら、今の伊達なら、受け入れてしまうだろうな…

政宗殿と、戦うことが出来なくなるのか…

「ち…俺も気が緩んでるぜ」

未来に居るからか

隣にが居るからかは判らないけれど

幸村に漏らしてしまった。

正直武田の軍は欲しい。

欲しいが、戦をして支配下に置いて、自分が兵をまとめなおす時間が惜しい。

武田信玄なら…信用できる。



「…おかしな話だ」

そして、早く

お前を安心して迎えられる世界を









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今回の話はいろいろと表現がすいません
言葉が見つからず変な表現がいっぱいですいません…!!
いい言葉が見つかれば訂正します…!!