みんなでクレープ食べたり、政宗さんにサングラスをかけてみたり(かなり似合ってた上に怖かった)、ティッシュを無料で頂いて感動している幸村さんを止めたりしながら町を歩く。


「未来は、毎日が祭りのようだ・・・」
幸村さんが人の流れを見ながら呟いた。
「そんなに、いいもんじゃないよ…」
「そうなのか?」

は京で見た祭りを思い出す。
今目の前の風景よりも、もっとずっと綺麗で、楽しかった。

「…で?あのお殿様はどこ行ったのさ…?」
「…さあ・・・」
と幸村はマックで買ったジュースを飲みながら、いつの間にか消えた政宗を待っていた。

「迷子になったのでは…」
「大変だ…何してんだあいつはー!!おてて繋いで歩かないとダメですかー!?頑張って!!真田!!」
「う、うむ…うぬぬぬぬ…」

頑張って幸村さんに超広範囲に殺気を出してもらっている。
政宗さんならきっと敏感に反応してくれるはずだ!!

「あ、もしもし、そこの刺殺されてるお姉さん、眼帯したお兄さん見なかった?」
で幽霊に聞き込みをした。

どっちも人間業ではない。

「おいおいおい!!!!真田ああああ!!」
「「あ」」

政宗さんが走ってきた。
後ろにたくさん女の子を従えて。

「従えてねえ!!た、助けろ!!」
追いかけられて。

しかもよく見ると

の大学の友達。

「偶然だね」
「そう!!超偶然!!!!紹介して!!」
「嘘つけええええ!!俺らを途中からつけてただろ!!」

町で偶然見かけて、つけていたらしい。

その気配に反応した政宗が、騒ぎにならないように片そうと思って、と幸村からこっそり離れて、てめえら何か用かと話しかけたら

女たちの目の色が変わって

きゃあああと騒ぎ出して

これから私たちと遊びませんかとか

メアド教えてくださいとか

デートしてくださいとか

付き合ってくださいとか

抱いてくださいとか

とはキャラが全然違う女たちに政宗はたじろいで

ー!!小十郎ー!!」

逃げ出して、今に至る。

「…(小十郎さんはお父さんか)」

政宗がの肩をがっしりつかんだ。
に抱いてくださいって言われるなら判るんだよ!!」
「判んないよ」
「ここのおなごは大胆だな…」

!!ちょっとお!!紹介してよ!!ずるいわよ!!」
何が
「そっちの可愛い人も…」
「お、俺!?」
「あ、あの、今から私たちとカラオケに…」
女の子が幸村に触れた
「!!!!!!!!!!!」
「ん?」
「お」

幸村が赤面した。
「タイプかな?」
「免疫がまだだな」

「て、敵前逃亡は・・・卑怯・・・」
「敵とみなした!?」
には抱きつかれても平気なくせに・・・」

「しかし・・・女には手は出せぬ・・・」
「出しちゃだめだよ!!」
「むしろに抱きつかれると嬉しそうにするくせに・・・」

「ここは退く!!体制を立て直さねば!!お館様ああああ!!」
「現実から目を背けた!?」
は俺にはなかなか抱きつかねえなあ・・・なんで?」
「ああ!!」

幸村が走り出した。
政宗もをわきに抱えて追う。
女の子もついてくる、が

「早っっ!!」

追いつくわけがない。

「わー・・・すっごい注目されてるー・・・」

は顔を真っ赤にした。




駅に警戒しながら入った。

幸村さんは壁に寄りかかって、負けました・・・と泣きそうになっていた。

大丈夫だ、あれは戦でなく戯れなんだよと幸村さんを必死で慰めて現実に引き戻しましたよ。

落ち着いた後、切符を買って、改札を通って

政宗さんも幸村さんも、朝来るときはすっごい緊張してたけど、さすがに2回目は少し余裕があるみたいで

「なぁ、。もしこの紙切れを通さなかったらどうなんだ?」
「腿のあたりにばっこーんて衝撃がきてぎゃーってなって周囲からの目線が痛くなる」
「こ、怖ぇ…」
そう、とっても恥ずかしいのよ…




「うわぁ……これに乗るでござるか…?」
幸村さんが観覧車を見上げて驚いていた。
「うん。結構眺め良いからさ、未来はこんな感じっての、見れるかなと…」
「でけぇカラクリだな…周囲の建物もでかいが…」
「…」

…もっとすごいの見せてあげられなくてごめんね…


案内に従って乗ったは良いが、座席についてひともめし、大きくゴンドラが揺れた。
それに驚いて二人はおとなしくなった。
私は空きスペースが比較して広い幸村さんの隣に座った。
幸村さんはガラスに額を当てて下を見ている。

「…高い。もう下を歩く人の顔が見えぬ。」
「上から見るとすげぇな…本当に山がねぇ…」
「…甲斐もこのようになってるでござろうか…」
「行ったこと無いから判らないけど、ここよりは自然がいっぱいだよ!仙台も!!」
「そうか…」
政宗さんはずっと顔をしかめたままだ。

しばし沈黙し、外の風景を眺めた。

もうすぐてっぺんだ。

そのとき、政宗さんが口を開いた。

「…こんな世界で生きてたお前にとっては…戦国など不便極まりねえな」
「へ?政宗さん?」

つい名前を呼んでしまった。

「早く…戦国との往復なんて、終わったほうがいいんだよな…お前は」
「!!」

そんな風に感じて欲しかったわけじゃない。

戦国に行けなくなる事を望む?

みんなに会えなくなることを?

…そんなはずないじゃないか

そんなの嫌だ

「思ってない…そんなこと、思ってない…!!」
声が震えた。

、もしも…」
幸村さんの視線が私に向いて

「もしも移動手段が無くなることになったら、はどこで生きる…?」
「…え」

動けなくなった。

もしも、今の状況が変わったら?

ううん、変わらないよ、だって爺さん頼りないもん

爺さんが解決策見つけようとしてくれてるけど、あの爺さんだよ?

見つかるわけない

見つからないよ、そんなの

みつ…

見つけないで欲しい

「嫌だ…政宗さんと幸村さんと小十郎さんと成実さんと佐助と小太郎ちゃんと信玄様と慶次とかすがといつきと…会えなくなるのは嫌だ…!!」
「なら戦国で生きて戦国で死ぬか?、ここにあるものを全て捨てられるか?」

家族を、友達を、築いてきた過去を捨てて

「………っ!!」
「政宗殿、そう簡単には決められぬことだ。政宗殿だって戻れると知っているから余裕を持ってここに居られるのだろう」
「…まあな」
、深刻に考えてしまうのは判るが、すぐ答えを出さねばならぬ事でもない。頭の片隅において、暇なときに考えてみてくだされ」
「甘ェぜ、幸村…」
「政宗殿」
「…判ったよ」

「……」
、そんなに気にせず、今は戦国のどこにたどり着くかを心配したほうがいい。」
「う、うん」

少し考えただけで頭がパンクしそうだ。




降りた後はそのまま家に戻った。

何を話したかは覚えていない。







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課題は山積み。