「………え?」
「今日はよろしくお願いしまーす」
「おう、頼む」
「世話になる!!」

朝。
がマンションの前で待っててくださって
私たちが一緒にエレベーターで降りてきて驚いてますね。
そりゃあ驚くか…?でも従兄弟で通ってるんだし…

「昨日、会ったんだって?伊達と真田」
「あ、ああ…の家に、泊まってたんだ?」
「うん!」
「そうなのか…ま、まあ、従兄弟だしな!」
「うん、従兄弟!」
「従兄弟な!はは、従兄弟だし、間違いはねえよな!!」
「間違い…?ま、間違ってないよ!!ちゃんと従兄弟だよ!!」
「はははははははは」
「はははははははは…」
現代人二人は乾いた笑いをした。

政宗と幸村は早く車に乗ってみたくてうずうずしている。
「どういう構造かは判らぬが…すごい…どうやって入るのでござろうか…?」
「落ち着け真田…の3ヶ条を忘れるな…」

その1.車に乗っても平然とする。

その2.道場に行っても暴れない。

その3.名前は偽る。


というわけで名前を考えようと昨晩提案したのですが、政宗さんが

『そんなのはその場の思いつきで何とかなる』

そう言って、私が買ってきたCDに夢中になってしまった。
ロックを大音量で聴こうとしていたから思い切り脇をくすぐってやった。

苦情きたらどうしてくれるんだ。



「じゃあさっさと行きますか」
「お願いします」

ガチャリとドアを開ける。
真似してくれと二人に目で訴える。
こくりと頷いて二人も開ける。

ガチャリ

ボスンと座る。

自然にできて安心する。
が助手席に座り、政宗と幸村は後部座席に座った。

「さて、出発!っても近いけどね。道、後でちゃんと教えるからな」
「ありがとう!」

ブウゥゥン

「「!!」」

エンジン音に驚いて二人がうろたえた!!

「ん?」
ちょうどミラーで後ろをチェックしてたが気づいた!!

「あ、あの」
「どした?エロ本はちゃんと片づけたはずだけど…まさか取り忘れ…!?」
が後ろを振り向いた。
「えろほん…?」
「こ、こらこら!なんつーもんを乗せてんのよ!もう、早く行こう!」
急かして、あまり突っ込ませないようにする。

「??お〜、いくぞ〜」
今度こそ出発。


ミラーで見る政宗さんも幸村さんも目線は窓の外。
流れる景色をみつめている。
表情はリラックスしているので安心した。

車の中は流行りのJ-POPが流れる。

「今日はお爺さんいらっしゃるの?」
「あぁ、居るから判らないことは聞いてくれ」
「うん…うん?あれ?」

裏路地に入って前方に見えてきたのは

きちんと看板が立っていて
きちんと門がある

…お屋敷

「え?」
どこがボロい?

「ほう、立派だ」
「へぇ、こりゃ楽しみだ」
「あ、と…」

…予想外だ。

駐車場に車を止めて、中に入る。

「おじゃまします…」
靴を脱いで上がると、…普通の民家…?
「爺ちゃん家の離れを道場として改装してあんだ。ここの廊下をまっすぐ行くと道場に行ける。」
「へぇ…」
「テキトーだろ?」
「そんなことない…」
立派な日本家屋で驚く。
お線香の香りがする。

「へえ、普通だな」
「あ、ちょっ…」
政宗さんが廊下をどたどたと歩いていってしまう。

「待ってよ!」
幸村さんと追いかける。


道場は広かった。
改装どころか改造しているだろう。
子供から大人まで参加して、剣道の練習をしている。

竹刀の音と声が響く。

「うっわ…こんなところに伊達と真田を参加させていいのかしら…」

流石に殺し合いはしないだろうが…

「ha!なかなか綺麗なところだな!気に入ったぜ!」
「し、しかし、人が多い…」
「土日は多いよ。けど平日は寂しいもんさ。昼間なんか特にな」
「じゃあ、都合いいかも…ねぇ、私はともかく、この二人にやらせてあげたいんだけど…あの…お金は、一回一回来る度にって…無理?」
「どんだけの家に滞在すんの?その間、やりたいってことだろ?」
「2週間ほど」
「あ、なんだ、そのくらいなら大丈夫じゃね?って…2週間…?従兄弟さんは学校とか仕事は…」
「長期の休みなんだ!!お爺さんはどこ!?」
即行で話題を変えた。
壁際で剣道着を着たお爺さんを発見した。

「あ、あの方!?挨拶しよう!!」
政宗さんと幸村さんの背を押して、近づいた。

「爺ちゃん、こいつらが昨日言ってたやつ」
「ぬ?」
「初めまして!」
「おお、これはこれは、ようこそいらっしゃいました」
予想通り、笑顔の素敵なお爺さんだった。

お金の事も了承してもらい、道着も貸してくれて、さっそくやって良いと言ってくれた。

私も借りて着替えてみた。
防具は付けずに今日は雰囲気だけ体験。
更衣室から戻ると、隅の方で三人が早速竹刀を持ち出していた。
「どの位経験あるんだ?」
どの位!?な、なんて答えるんだ!?
「相当なもんだぜ?」
「俺はずっと槍を使っていたので、剣術は幼少の頃にかじったぐらいで」
「…槍?」
「わっ、私初めて!!」
幸村さん正直すぎる!!

「ようし、、俺が相手だ」
「初めてって言ってるだろうが!!伊達馬鹿!!」
政宗さんに引っ張られたので、頑張って拒絶した。

まあ、幸村ぁ!!っていかないのを見ると、ちゃんと状況判ってるみたいね…
そこは拍手。

だって、面、胴、小手、突き位判るよな?」
「うん」
「まあ、突きは危ないからやめて…みんなが防具着けてる所を打ちゃあいいや」
「…テキトーだな…」
しかし、やって損は無いだろう。

「まさっ…だ、伊達!!手合わせ願う!!」
「!!」
幸村さんがうずうずしながら叫んだ。
動きたくてしょうがないようだ。

「ああ、こちらからもお願いすんぜ…、いいか?」

政宗さんが私たちを見る。

「じゃあ俺はにまず基礎知識教えっから、ここのスペース使っていいぜ」

が壁際に寄る。
私は懸命に口を動かして、手え抜いてね!!お遊び程度ね!!とメッセージを送りながらついて行った。

、姿勢をちゃんとしてだな…」
のまねをしながら、意識は二人に。
、あの、あの二人、チャンバラ始めるけど許して…」
「…剣道じゃないの?」

ばちいいいいん!!!

いい音!!





「ah〜、久々にこんなに動いた気がするぜ!!」
「うむ、楽しませていただいた!」

道場は壊れはしなかったけど、二人はすごい勢いで竹刀を振っていた。
やっていると周囲の目線が集まり、もうはごまかす術が思いつかなかったのでそのまま頭を抱えていた。

終わると周囲から拍手が起こって、子供達が二人の周りに集まってきて、騒ぎになった。

凄い凄いとたくさん言われていた。

まであいつら何者だ!?と狼狽えていた。

正しい反応だ…




おかげで帰って来たのは夕方だ。

まだ暴れたりないと言った二人に3ヶ条!!と怒鳴りつけて連れてきた。
道場を使用する際は、入り口にある紙に名前と使用開始時間と終わりの時間を書けばいいと言われた。
お金は後払いで良いらしい…楽だ…ありがとうお爺さん…



冷蔵庫の中を眺めながら

「今日は運動したし…」

お肉出してもいいだろうか?

というか

そろそろ私が肉を食いたい。


夕食は豆腐ハンバーグを出してみた。

美味いと言われた。

…こいつら順応性いいなぁ…













■■■■■■■■
剣道なめてすいません…
てきとうな都合良い施設つくってすいません…

このお話で逆トリップ前半終了。
次からもう少し自由な話が書けるかと…!!