大学に来たらすぐにスポーツが好きな友達に剣道場について聞いてみた。
地元じゃないから、こういったことはあまり詳しくない。

「大学のはだめなの?」
「う、うん。ちょっとね…」
「ってゆか、あんた知らないの?」
「へ?」
、高校のときに剣道で全国大会でいいところまでいってたんでしょ?あいつのが詳しいって!!」
「え!?本当!?」
「ちょ、あんた、知らなかったの!?仲いいくせに!!」
「だって、そんなこと一言も…」
「あんたから聞きにいけ!!だからあんた彼氏できないんだよ〜」
「お、大きなお世話だ!!教えてくれてありがと!!」

友達に手を振りながら走り出して

「いよっ!おはよ!!!!」
「おわ!!おはよ!!」
教室を出ようとしたら、がちょうどドアの前に居た。

「ねえ、さっき聞いたんだけど、剣道すごいんでしょ!?」
「俺の噂!?なんか恥ずかしいんだけど!?あ〜、まあ、少しは、な…」
…顔を赤くして照れるあたり可愛らしい。
「ええと、今も練習してるの?部活とかサークル入ってるとかは聞かないけど…」
「少しだけ…は、してるかな。剣道ってよりは体力づくりだけど…」
「そうなんだ…」
少し元気が無くなった?
…聞いちゃいけないことだったのかな…?

「俺のじいちゃんの家、道場やっててさ。趣味が高じてってやつだけど」
「!!」
「俺もたまに、小学生に教えに行ったりしてる。興味あるの?」
「ある!!それって、私たちくらいの人って、行っても良い所?」
「ああ、もちろん。でも、ちゃんとした教室じゃねえよ?かなりテキトーな所だけど…やるんなら土曜…明後日見に来ないか?雰囲気見てからのがいいだろ?結構ボロいしさ…」
「近くなの?実家通いだったね…そういや。」
「うん。の家からでも歩いて行けるぜ?でも明後日はんな心配不要。俺が迎えに行く。」
「あ、ありがと!!あの、他に二人…良い?」
「いいぜ!賑やかになって良い!!」

なんて、なんてこと…
服の時といい、剣道といい…
あんた最高だぜ!!

「じゃあ約束な!!」
「うん!!」

早く家に帰って二人に教えてあげたくて、その日は一日そわそわしてしまった。





「というわけで!明後日は車に乗れるし道場にもいけます!!」

帰ってきたら、二人は大人しくテレビを見ていた。
人が一人死んだらこんなに騒ぐのかと、ニュースを見ながら呟いていた。

夕食のときに二人にご報告。
今日は肉じゃがとかお魚とかサラダとかとってもテキトーです!!

「ふうん…その、?信用できるのか?」
政宗さんがマジで目を細めた。
「私騙しても何の得も無いしね…大丈夫、心配しなくて!!」

「俺たちはあの格好で行って良いのか?」
幸村さんが壁にかかった洋服を指差した。

「うん。とりあえず見学だけになるかもしれないけど、相当な事が無い限り、そこで我慢してくれないかな…」
「もちろんそのつもりだ」
「ありがと!!」

のじいちゃんなんだ。
きっと優しいぞ!!
毎日は行かないだろうし、頼み込んで、使用料金は一回一回支払うってことにしてもらって…

「…
「え?何?」
政宗さんが眉根を寄せた。
心配事があるのだろうか?

「そいつは…男か?」
「誰が?」
「…
「??うん。何さ、女のが良かった?」
「…ある意味な」
「な、え!だだだだめだめ!!紹介しないからね!!女遊びはだめ!!」
「おまっ…!!どんな目で俺を見てんだよ!!違う!!」

政宗さんが心外だとテーブルをばんばん叩いた。

「…あの、、仲がよろしいようだが…その男はその、どういった関係で…?」
幸村さんがおどおどした感じで問いかけてきた。
「え?友達って説明最初に言わなかった?」
「ほ、本当に?」
「うん」
「な、なら、良かった…」

ふう、と幸村さんが胸を撫で下ろした。
どうしたんだよと声をかけようと思ったら

「ん?」
視線を感じて窓を見ると

〜』
「おや、爺さん」
お札を剥がして中に招き入れる。

「氏政か?」
「うん」
「不思議でござるなあ…俺には見えぬのに…っだあ!!」
政宗さんが幸村さんの頭を叩いた。
思わず笑ってしまった。

「気にして無いよ。幸村さんは素直な事を言ってるだけだもの。」
「…べ、別に、俺は」
「え、あ、いや!!某はその…」
「だから大丈夫だって。」
口を尖らせる政宗さんに、慌てふためく幸村さんが可愛らしい。

、全然だめじゃあ…何も反応が無い…』
「そっか…」
『以前はワシの城へ行って、次は農村じゃったな?ううむ…規則性があるのかは判らんが…』
今日の昼間に大学に爺さんが来たので、とりあえず大まかな説明はしていた。

「慶次はね、今度来るときは行きたいところを想い描いて来いって言ってた。それじゃだめかなあ?」
『ううむ…まあ、試す価値はあるかの…』

「…どこに行きたいと想えばいい?」
聞いていた二人は私の話だけで大体の会話を把握したようだ。
政宗さんが難しそうな顔をした。

「別な場所は考えないほうがいいだろう?」
「一緒が良いでござるな…」
「…慶次のところ、じゃだめ?」
一番に慶次に会いに行きたい。

「…前田、は、なあ…」
「あの後、明智殿が手当てをしているかもしれぬなあ…」
「き、危険だ…」
二人が一層難しい顔をした。

「佐助のところ、ではだめか?」
「小太郎ちゃんは一緒かな?」
「それはねえな。あいつも忍だ。猿は信玄に、小太郎は小十郎に報告にいく」
「そっか…」

うーん、と腕を組んで考える。
「でもまだ時間あるし…そのうち何か浮かぶかもね!!ゆっくり考えよう!!」
「それもそうだな」
「うむ!!」

とりあえず夕食を済ませて、私が食器を洗う。

その間の二人の会話は全く聞こえなかった。

「幸村、出陣だ」
「…俺も同じ事を考えていた」

聞こえたとしても意味は判らなかっただろう。




いつも通り朝を迎えて、玄関先でいってきますと声をかける。

返事は少々慌しい声が返ってきた。

「?」

何かやりだした?

帰ってきたら家が壊れていない事を祈って外に出る。

「あ〜…そろそろレポートとかでそうだなあ…」

憂鬱になりながら大学に向かう。

後方には特に気を配っていなかった。




「政宗殿…あ、いや、ま、まさむ…ね」
「言いにくいなら伊達で良い」
「う、うむ、伊達、ここに、、入っていったな…」
「ああ…」
「で、ででででかいで、ござる…」

二人は門の前で大学を仰ぎ見た。
ちゃっかり後方から着いて来ていた。

「見失ったら厄介だ。驚いてねえでさっさと行く…」
「あ、ああ…って、あれ?」

を早速見失った。
人が多すぎる。

「まいったな…帰り道は覚えているから大丈夫だが…」
「あの建物に入っていったのは確か…行く、でござるか?」
「慌てんな、ござるを取れ」
「す、すまぬ…行く、か?」
「行くぜ…」
政宗が一歩踏み出す。
幸村もそれに続く。

自動ドアの手前まで来ると

「伊達!!」
幸村が政宗にしがみついて止めた。

「なんだよ!?こんなの買い物の時通ったじゃねえか!!近づきゃあ開く…」
「ここは、あのような公の場であるか!?な、何か手形が必要で、それを持っていなかったら入れないとか…」
「…」
「持ってなければ、攻撃される、とか…」
「……」

二人は動けなくなった。


しばしそのままでいると
「…あぁ?お二人さん、そんなとこに立ってたら邪魔だよ?」
「!!」
無礼極まりない口調だが仕方が無い。

「す、すまない…」
こちらに非があるから、端に寄って大人しく道を譲った。

「…あれ?」
通り過ぎようとした長身の男は二人をジロジロと見る。

「…んだよ…」
なにかおかしいところがあったのだろうか。
不安になりながら、政宗は目の前の男を睨みつけた。

「怖えなあ、そんな熱いまなざし向けないでくれる?惚れるぞ?」
「…」
なんとも軽々しい男だ…
しかし笑顔は人懐こいように思える。
…折角だから、いろいろと聞いてみるか…?

そう考え、口を開こうとすると

「あんたら、の従兄弟さん?」

思いがけない言葉。
「…?」
の、姓だな。」
いつも名前で呼んでいるから、一瞬判らなかった。
「…従兄弟ってことにしてんのか…」
ぼそぼそと二人で呟く。

「おい?俺は怪しくないよ〜?」
何かひそひそ話を始めてしまった二人に男は苦笑いした。

「…なぜ、判った?」
幸村が警戒をしながら尋ねた。

「服。それ、俺と一緒に買いに行ったから」

その一言に、二人の口元がぴくりと引きつった。

そもそも政宗と幸村のことを嘘でも少しでも話すような相手

にとって、この男はどういう存在なんだ

「で、に会いに来ちゃったの?」
「ああ…どこにいるか、判るか?」
「ん〜、次の講義選択だからなあ…」

荷物から”けーたい”を取りだした。

弄った後に顔の横に当てた。

「おう、おはよう、

「「!!」」

と、話しているのか?

時々が弄っていたり、急に音が鳴り出す所は見たが、このような使い方ははじめて見た。

「今どこに居る?…は?購買?お前、朝っぱらから…はは!何がチョコ中毒だ!!」

楽しそうに会話する男に嫉妬する。
は、こちらに居る時は、この男が傍に居るんだ

「安心しろよ!!お前がどんなにぶよぶよになっても友達で居てやるからな〜!!…嫌とか言うなこら!!」

…友達
本当に?

ピッ

男がけーたいを顔から放して、ボタンを押して

にこりとこちらを向いて

「ごめん、用は何だったっけ?」

初対面だがそんなことは気にすることなく二人は目の前の男をど突いた。







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登場させる現代人は
兄やら弟でもよかったですが
管理人には兄も弟もおらず、どんなもんかよく判りませんので
友達で…