人ごみをかきわけて裏道へ入り、全力疾走する。
!まだ帰るんじゃねえぞ…!!」

明日になれば、はどこかに現れる。
明日だ
明日なのに

それが、すごく遠く感じる

「キ、キイ!!キ!」
夢吉が慶次の肩からずり落ちそうになった。
「ふんばれ夢吉ぃ!!と会いたいな!?」
「キッ!!」
「よし!!」
夢吉がしっかり慶次の着物にしがみついた。

塀を飛び越えて、目的地へ


「け、慶次ー!!」
!よかった!間に合った!!」
草の上に着地して、の元に駆け寄る。

嬉しい事に、が荷を持っていない方の腕を広げて、こちらに駆け寄って来るではないか。

…そんなに俺に…ー!!」
慶次も両手を開いて走り寄る。

後二、三歩で抱き合うというところで

夢吉が飛び出した。
「キ!!」
「夢吉ー!!」
「ええ!?」
は夢吉を両手でしっかり抱きしめて頬擦りをした。

「冗談きっついぜー!!俺だよな!?夢吉は予想外の…」
「馬鹿だな、前田慶次。それがだ。」
「独眼竜ぅぅぅぅぅ!!うあああ!やけに説得力あるのがむかつくぜえええ!!!」
慶次が頭を抱えてうずくまった。

「慶次、慶次」
が慶次の着物の裾を引っ張った。
「何!?」
今度は何を言われるのか、少し慶次がビクついた。
天然爆弾は精神を破壊するので怖い。

「ここ、この場所教えてくれてありがとう。とっても素敵なところ。気に入りました」
にこっとが笑って
…」
「それに明智の相手もな。なかなか気が利くねえ」
佐助も慶次のそばに来て、にっと笑った。
「あいつの事は仕方なくだ!礼言う事じゃねえよ。厄介事は勘弁だ」
「全くでござるな」
「……(こくり)」
全員集まって、座り込む。

「あっちから、上がるはずだ」
慶次が空を指差す。
全員がその方向へ視線を向ける。


ひゅるるるる…

「上がった!」
「おお」


ドーン

「キレーだなー」

緑の大輪の華が空に咲く

ズ…

「!」

「一瞬にして消えてしまうというのは、寂しい気もするが」
音に気付いたのは、だけだった。

が荷物を抱えて、立ち上がって、後退する。
ブラックホールのように楕円形に現れた闇の横に少し距離を置いて立った。

?」

ひゅるるる…

「あ!?また上がった!?一発じゃねえの!?」

「お迎え来ちゃった」

「え」
「!!」
「今…!?」
会話がごちゃ混ぜだ
もっと落ち着いてお別れしたかったが

でも、花火見るまで待ってってくれてありがとう…かな?

…ズズ

ドーン

青い花火が全員の顔を照らした。
こっち向いてくれてる
慶次も幸村さんも、佐助も小太郎ちゃんも複雑な顔してるけど
政宗さんは、笑ってた。

笑ってお別れ、うん、果たしてくれてありがとう

「またな」
「うん」

ひゅるるる…

また花火
「三発もいくとは、景気がいいね。、絶対、また会おう!」
慶次が立ち上がって手を振ろうとしたが

顔が一瞬にしてこわばって


「どこへ、行くのですか?」


背後から、冷たい声が聞こえた。

!!」
「てめ…」
「やめろ!!」
「!!!」



ドーン






「・・・え?」





何が起こったかよく判らない

視界に一瞬、一筋の光が見えた

慶次に思い切り引かれて、体が宙に浮いて、投げられて

政宗さんと、幸村さんが私を受け止めてくれて

慶次が

慶次が…?

赤いのは

花火だけではなかった


「慶次…?」

視界が黒に飲み込まれる


「おい光秀!!!何してんだやりすぎだろ!?」


最後に聞こえたのは、そう言う、甲高い声。

手が震えて止まらない。


「慶次っ!!慶次ぃ!!!」

慶次に気をとられて、背後にある体温に気がつかなかった。

頭が混乱する

視覚には、赤が

赤がこびりついて離れなかった。









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そんな明智ですいません