「たく、上洛でもないのに京に行くことになるとは思わなかったぜ」

「「「「…」」」」

政宗が外に行ってしまって
が追いかけていってしまって

小太郎が二人きりにしてやれ的な態度をとったので、全員大人しく待ってたら

政宗はすげぇご機嫌で帰ってきた。

何してたんだと気になるが

相手に政宗が大したことをするとは(というか出来るとは)思わなかったので

みんなで軽く流すことにした。


「…それについては、某と佐助もお館様に言ったのだが…」
「おう、何て言ってた?」
「大将はたまには遊んでくるが良い!!ってさ」

佐助が信玄の声をまねして言い、肩をすくめた。

政宗は眉根を寄せる。

「…何考えてんだよ…虎のおっさんは…。お前ら越後と徳川のお相手は大丈夫なのかよ…」
を見送ったらすぐに帰る」
の前でその言葉吐いたら殺す」
「はいはい」

は何でそんなに私のために!?って慌ててしまうだろう。

祭りどころではなくなる。

は今入浴中で不在だ。

「裏道通って地味に移動すっから、襲われたりはしないだろ。盗賊以外にはな」

道の案内は全て慶次頼りにするしかない。
信用しろ!と慶次がにっこり笑った。

「出てきても問題ねぇ。突っ走る。」

確かにこのメンバーなら負けるわけがない。

「ああ…それより問題なのは…」

慶次が眉をひそめ

政宗は腕を組み

幸村は口を堅く結び

佐助は変わらず涼しい顔をして

小太郎は目を細め

「「「「(殿)の寝床」」」」
こくこく



はのほほんとみんなと一緒の部屋で寝る〜と言った。
布団は向かい合って3つずつ敷いてある。

隣に寝たら何かよいことが起こりそうな気がするんです。

慶次が腕まくりをした。

「男らしく腕相撲といくか?独眼竜を除いて」
「な…!やはりここは信用に足る人物が隣にいるべきであろう!?政宗殿を除いた人で」
「んじゃあの湯上がりの姿見てもふつうにしてられる奴にするか?竜の旦那を除いて」
「何で除くんだ!!」
「……」

小太郎は自分が除かれなくてほっとした。


「というか佐助と小太郎殿は布団で寝るのか?」
幸村が不思議そうな顔をした。

「旦那…それは天井裏で寝ろって言ってる?」
「いや、珍しいと思っただけだ」

幸村と会話する佐助の服をくいくいと小太郎が引っ張る。

「どうした?小太郎」
「……」
「うーわー小太郎〜それはちょっと―…」
「小太郎殿は何と?」

佐助が困った顔をして

「小太郎が、を守るのは俺の仕事だって」

それはその通りだが
「待てよ小太郎〜!!俺達信用しろよ!」
慶次は不満そうに頬を膨らませて、ぶーぶー言った。

「……」
小太郎も頬を膨らませた。

「お前は小太郎に嫌われてんなぁ」
「何で!?」
「ウチで小太郎で遊んだだろうが」
「あれは友好を深めるために…っ!ぶぁ!!」

小太郎が慶次に枕を投げた。

「何すんだよ小太郎〜!!俺なりの愛情表現だったのに!」

慶次が枕を投げ返した。

小太郎は避けて、また別の枕を投げた。
夢吉はキィキィ鳴きながら部屋中を走り回る。

「第2回戦か?」

政宗も近くにあった枕を取って

「さらに被害が出たらどうする!?」

部屋の壁は壊れたままだ。

佐助がうーんと唸って
「じゃあ枕は絶対下に落とさない。自分のところにきたやつは必ず受け止める。落とさずに残った2名がの両隣に寝れる。これでいこう。」

佐助はそう言うとすぐに枕を掴んで政宗に投げた。

「甘いぜ!」

枕を持っていない方の手でキャッチし、2つの枕を時間差を付けて幸村に投げた。
「落とさぬ!」
「覚悟!」
「!!」

さらに慶次が3つめを投げ

「旦那!」
「佐助!すまぬ!」
それは佐助が助けにはいった。

「ずりぃ!」
慶次が二人を指差して文句を言った。

「小太郎!手ぇ組むか!?」
こくり
政宗と小太郎もタッグを組み

「は!?俺一人!?」
慶次が危機感を露わにすると

「キッ」
「あ」

夢吉が枕を佐助の足元にボスッと当てて

枕が落ちた。

「うそ―!?」
「夢吉よくやった!」
「キ!」
慶次が夢吉に親指を立てた。
夢吉も飛び跳ねて嬉しそうだ。

「旦那、ごめん!」
「仇はとる!」
「仇!?」
幸村も勝負モードになった。

「そんな殺気だったって怖じ気づくわけねぇだろ!幸村ぁ!っうお!?」
「キィ―」
夢吉が政宗の着物の裾を引っ張り、政宗のバランスが崩れた。
タッグを組んだはずの小太郎は夢吉を気に入り、とめることなく夢吉の頭を撫でていた。

「お前はマイペースっつんだぞそれは!!馬鹿野郎!」

枕は幸村の方には飛ばず、襖の方へ

「暖まった〜!ねぇねぇ、女将さんが」
「あ」

襖が開いてが入ってきて

「ぷぎゃ!!」
枕が顔面に

「うわ―!湯上がりのにドキリって展開は!?」

佐助が思い切り叫んだ。
思い切り期待していたらしい。

「ゆ、湯上がりの私にドキリ!?なんて憧れシチュエーション!台無し!」

は顔を押さえてぺたりと座り込んだ。

「独眼竜!お前なぁ!」
「猿が悪いんだろ!」
「…キィ…」

夢吉が落ち込んでしまった。

「政宗さん!何夢吉をいじめてるのよ―!!」
!怒るのはそこか!?」

が政宗に枕を投げた。

も参戦だ。

殿!危ないでござる!」

「女をなめんなあぁぁぁぁ!」

枕投げ再開。

もう寝る場などどうでもよくなり

夜はうるさく過ぎていった。







スッと襖が開く。
「失礼します」

ぐうぐう

「申し訳ありませんが、そろそろお時間で・・・」

「お、時間・・・」
のそっと、が起き上がる。
目が合ったのは、宿のお姉さん。
「す、すいません、すぐ準備しますので・・・」
目を擦った後周囲を見渡すと

「・・・ぎゃあああ!!!!」

屍の山
・・・じゃなくて、

「みんななんでそんな突っ伏して寝ているの!?起きて起きて!!もう日が昇ってる!!」

全員うつ伏せで寝ている。

「小太郎ちゃんと佐助まで!!おいおいおい!無防備!襲うぞ!?」
とにかくみんなを揺すった。

くすりと笑われた

「朝餉の用意ができていますから。布団はそのままで。お待ちしていますから、ごゆっくり」
「ありがとうございます・・・」

・・・みんな起きない
昨日ははしゃぎ過ぎた…
ちょうどいいや、今のうちに着替えよう

昨日渡された着物を広げる。
着物着るのもだんだん上手くなってきたし、そんなに時間はかからないだろう。
みんなが起きない事を祈りながら



帯を締めて・・・
「よし!」
「ごちそーさん」
「おおわ!?」
振り返ると佐助があぐらをかいていた
いいいいいいつから見てたんだよー!?

「あ、顔真っ赤。ごめんごめん、さっき起きたばっかだから安心して」
「い、いや、堂々と着替えた私も悪い・・・」
「話しかけなかった俺も悪いしね」
「着替えてる最中声だして、みんな起きたらもっと厄介」
「判ってくれるねえ」
くすくすと佐助が笑った。

「朝ごはん準備してくれてるって」
「じゃあ、起こすかー・・・」
佐助が両手を懐に手を入れて

ばっと

クナイが宙に舞い

全員の顔の横めがけて突き刺さると同時に
全員がばっと起き上がる。

「布団破れた・・・」

「佐助!普通に起こすでござる!!」
「ごめんね旦那〜、いちいち起こすのめんどくさい」
「猿・・・まさかにも・・・って、起きてたのかよ、
「おはようございます!!」

政宗は眼帯の位置を確認した後、おはよう、とあいさつを返した。

のちゅうで起きたかったな・・・」
慶次は欠伸をしながら頭をかいた。
小太郎は少しほけっとしている。

「昨夜はやりすぎてしまった・・・宿屋の者に詫びをせねば・・・」
「お〜、しっかりな」
政宗が手をひらひら振って、だるそうに言った。
「某一人で行けと!?」
「幸村さん!私もいくよ!!」
殿ー!」

佐助がぱんぱんと手を叩いた
「はいはい、とにかく顔洗って飯!!」

佐助にフライパンとおたまをプレゼントしたいなあとが呟いた。




朝食を頂いて、みんなで(一部強制的に)宿の方々に昨夜は申し訳ありませんでした、と頭を下げ、壊した部屋の修理について幸村さんが話した後(政宗さんと慶次がびくびくしながら話を聞いていた)、出発する。
結局、幸村さんが全額支払ってくれる事になりました。
ありがとうございます、幸村さん・・・



幸村が馬に先に乗り、に手を差し出した。

殿、前へ」
「え?大丈夫?幸村さん・・・」
「大丈夫でござる、さあ、早く」
は幸村の手をとって、佐助に手伝ってもらって乗った。
「平気?」
「うむ!!」
幸村は、にっこり笑った。


「ちっきしょ・・・何だよあいつら・・・前より仲良くなって・・・」
そういえば小十郎もそうだった。
いきなりと仲良くなって・・・

「ちっ・・・気にいらねえ!」
を拾ったのは俺なのによお!!

その政宗の独り言を慶次は静かに聞いていた。

も人だってことだ!まさか、独眼竜、はこの時代、守られなきゃ生きていけないとでも思ってるか?」
「あぁ!?当然だろうが!あいつ、細ぇし弱ぇし、警戒心ねえし、この時代の常識はねえし」
「はは!独眼竜は過保護だな!」
「なんだと・・・?俺は」
は、お前が知ってる以上に強いよ!!」
「・・・」

のことは

俺が一番知っているはずだ

一番近くにいたのだから・・・

「気に・・いらねえ・・・」
「だったら、満足いくまでを見つめてな!そんなもんじゃ何も判れねえと思うけどな!」

・・・俺は

の何を知っている?


「さあ、早く向かおう!」
「お前が言うな、真田幸村!!」
馬が走り出す。

昨日とは比べ物にならない速さで

「久々にきたなこのスピードー!!!!!」

速いよ――!!!とがを大声を上げた。

怖がるを幸村が腕を回してしっかりと支えていた。








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主人公、あんまり出番なくてすいません。
そして移動時間無理あるとか
そういう突っ込みは無しの方向でお願いします。
(言うの遅い)