「今回の件では家臣がすまないことをしたね」
「そうだなぁ…あんたが来るとは思わなかったが…まさか竹中半兵衛、自分がここに来れば許されるとか思ってないよな?」
「もちろん、お詫びの品は持ってきたよ?なんだか君はザビー教に興味があるみたいだね?」
「ほう、何か情報か?」
「はい壺」

ごとりと、

胡散臭い壺が出てきた。


「…お前、洒落が出来るんだなぁ」
「見直したかい?」



「……」

一見会話はフレンドリー。

しかし空気は重い。

重すぎて吐き気を覚えた家臣も居た。

二人がにこにこしているのが余計に怖い。







「お帰り片倉ど…の…」
「土産です」
「成実さぁん!」
ちゃん!!みんな!ちゃん戻ってきたー!!」

成実とが熱い抱擁をかましたが止めるものはいない。
嫉妬する者はいたが。

「前田の!お前が連れてきたのか!?」
「おうよ!」
「あぁそう」
「なんだそりゃー!感謝しろよー!…まぁ…いろいろあったけどよ…」

城の中から多数の足音が聞こえ、ばたばたと騒がしくなった。

さん!良かった無事で…」
「心配したのよ!?」
「ごめんねみんなぁ!詳しい話、するから!」
「そんなの後で良いわ!とにかく良かった…」

ああ、こんなに暖かく迎えてくれるなんて…
嬉しくて涙出てくるよ…

「政宗様は今客人のお相手してますから…会うのはまだ我慢ね?」
「篠さん…そんな子供諭すように言わなくても…判りましたよ…」

腹のさぐり合いが行われてるのだろうか。
おっかねぇなぁ…






「何やら騒がしくないかい?あぁ、お得意のパーティーか?」
「話逸らしてんじゃねぇよ…ウチは血の気の多い奴がたくさんだからなぁ…んなもん日常茶飯事だ」
「少しは自制させるよう指示した方が良いんじゃないかなぁ…おっと、そういう話は片倉君にした方が良いよね」
「てめぇ…」

睨み合い。

しかし心の中は至って平静。

次の言葉を待つ
次の言葉を考える
次の行動を読む
タイミングを伺う






「政宗さんの話はいつ終わりそう?」
「ん〜、俺途中まで居たんだけどね〜あまりに空気重いから逃げてきた」
「…成実さんらしい」

その会話を聞いて慶次が楽しそうに笑った。

!まだ終わらねぇなら城案内してよ!」
「私がぁ!?」
「ヤなのかよ!いいじゃん!別に敵じゃねえし!!」
「…野菜はどうした。分けてやるからさっさと帰れ」
「ひでー!ちょっとくらいいいじゃんかよ!」

いじられすぎな慶次が少し可哀想になってきた。

「私の下手なガイドでよければ行きましょう!はい慶次様ご案内〜」
「がいど…?おう!行く!」
「俺、さぽぉとする〜」
「…」
「監視する…城を壊されたらたまらん」

慶次は前田家の者であるとはいえ、信用はできる。

厠などはむしろ案内しておいた方がいい。

成実さんと小太郎と小十郎さんもついてくるし、教えてはいけない所は言ってくれるだろう。






「さてさて、・・・ええと、ここらへんはみんなの部屋だなあ・・・」
の部屋に案内してくれ」
「絶対ダメ!殺す!」

何故か成実が怒り出す。

「成実様・・・俺も参加する」
「ちょっ・・・冗談だから!!もう勘弁してよ!!」

慶次はどうもみんなにいじられるなあ・・・
とりあえず城の中をうろうろする。


、その先はだめだ。政宗様達がいる部屋が」
「え?じゃあ戻らなきゃ」
「めんどくせー、忍び足で通っちまおうよ」
「履き物そこにあるから庭通れば良くない?」

成実の提案に従って庭に下りた。



障子が閉められた部屋の前を通ると


「うぐ!重い!空気おもい!こっちまでくる!」

小太郎が慌てて近づいてきた。
周りの空気を手で払い出す。
…あ、あんた立派だよ…


「確かにこりゃ毒だ…塩撒かねぇか!?」

慶次がビクつく夢吉の頭を撫でて落ち着かせながらナイスな提案。

「調味料を粗末にするな」

小十郎さんに止められた。

「外に出たついでだ。畑に行こう。」

賛成!






「「……」」

沈黙。


豊臣は毛利の水軍を狙っているのだろう?

その探りを入れてた最中。

空気が少し軽くなったため、家臣はどうしたのだろうかと不思議がった。


二人は気配をとらえた。

政宗は

半兵衛は昼間会った女の子の

しかし今外に出るわけにはいかない。

「何を言ってるのか意味が判らないなしかし仮に僕たちが毛利を狙ったとしても君には関係ない」
「そうかしかし俺はてめえと毛利の知略合戦が起こったら面白いだろうなといっただけだがなんでそんなにマジなのかね水軍獲ったらどこに攻め込む気なんだ稲葉山城を龍興に返してそのまま黙ってられる奴かてめえは?」

早口になった。

早く終わらせたいようだ。

今度は緊張の空気がピリピリ流れる。






「うお、すげぇ、色キレーだなー」

引っこ抜いた人参の土を払いながら慶次が言った。
小十郎さんは誇らしげ。

「俺としてもそんなに多くはやれないし、お前だって荷が重くなるだろう?いくつか選べ。何の料理に使うんだ?」
「鍋!」
「鍋か…白菜、長ネギ…何が良いか…いやこういう事は政宗様の方が詳しい…」


女の私でなく政宗さんのが先に思いつくんですね小十郎さん、いや政宗さんと張り合ったって勝てる気がしないから黙ってますが。

……

小太郎、哀れみの目で見るな。


「今日の夕食にこれら使う?」

畑をうろうろしていた慶次が何か思いついたようだ。

「あぁ」
「じゃあ食べてみて決めて良いかい!?」

慶次が目を輝かせて小十郎さんに詰め寄っていった。

「前田の、食べてから帰っちゃ夜になるよ?」
「え!?泊まっていきなって言わないのかい!?」

成実さんは慶次があまり好きではないようだ。

「…仕方ないな、政宗様に聞いてやろう」
「ありがとな!」

というわけで城へ戻る。






門の前で政宗さんが非常に怒った顔をして立っていた。





そんなこと構いやしねぇ


「政宗さああああん!!」

猛突進した。


そして抱き合って感動の再会に


「させるか!!」
「ひどいぃぃぃ!」

蹴られた。

そして胸倉を掴まれた

「てめぇ!今日は納得いくまで説明してもらうからな!覚悟しろ!」
「はっ、はい!覚悟してます…」

想像以上に怒ってるぜ…

「政宗様、竹中半兵衛は…?」
「今は帰る準備してんよ。いらねえモン土産持ってきやがってよ・・・他に謝罪文と、兵の教育指導についての書類と・・・まあ、あとで見せる。」
「かしこまりました」

政宗さんが慶次に目を移す。

「何なんだ、今日は」
「あんたが独眼竜かぁ!俺はを連れてきた!」

慶次は誰に対してもこんな調子か。

「ふうん、奴に会いに来た訳じゃねぇんだな」
「そうだけどよ…やっぱ…一発殴ろうかな」

「殴る!?」

殴ったら美しくスローモーションで倒れそう…

「ここではやめろ。やるなら帰路途中襲撃しろ。」

物騒なオススメするなよ。







庭で色づいてきた紅葉を見ながら謙信がゆっくりと歩を進める。

後方には良く知った者の気配。


「謙信様、ただいま戻りました。…あの、は…」
「おかえりなさいわたくしのつるぎ。けいじがここにきまして、をおくってくださいましたよ」
「あっ…あっ…あいつが!?」

かすがが動揺する。

それを見て謙信がクスリと笑う。

「ふあんですか?だいじょうぶ、けいじならばぶじにおくりとどけるでしょう…しんぱいならばのしのびにきけばよい…」
「…はい」


慶次はさかんに自分に謙信様に気持ちを伝えろと迫るような奴だ。

大丈夫か


謙信様の背を見つめる。

「…」

そういえばなぜ私はを信用したのか

最初は小太郎の女なのかと思って…

不思議な娘だと思って

気がつくと


「もうすこしここにいてもよかったですね…ともにこのにわをあるいてみたかった…」

「…」


待っていろ


とりあえず殴らせろ







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腹の探りあいってどんな会話するんでしょうか
うちの政宗氏はストレート過ぎだ・・・

そしてやっと会えたが
感動も何もなかった。
うちの伊達氏が素直に再会を喜ぶわけがない(え
こ、これから・・・

伊達氏は詳しい事情は知らないがとりあえず前田慶次が豊臣嫌いなのは知っている模様。
っていう設定でいいかな・・・