「うあああああん!死ね!いや、死ぬな!倒れろ!」
「hahaha!倒れるどころか体勢崩れもしねぇな!」

今日も庭では朝チャンバラが行われていた。
日課になりそうだ。

今度は成実が縁側で茶をすする。
朝食を終えた小十郎がてくてくと近づいてくる。

「……どうした。朝から元気に殺気立ってるな。」
「殺気立ってるのはちゃんだけだけどね。」


朝起きたら隣に殿が居て
おはようの接吻されたんだって。


「……。」
すまん、、昨夜引きはがしとけば良かった……。

「といっても、おでこにしたらしいけど。」

おでこにあんな怒りを!?

「可愛いよね。ふふ、おでこであんなに修羅のような顔を……。」

修羅は可愛くないと思う。








「はぁはぁはぁはぁ……。」
「どうした?give upか?」
「疲れた……。」

give upのようだ。
腰を曲げて肩で息をしている。

「座ってろ。水持ってきてやる。」
「……ごめん、ありがとう。」
殿を使ってしまった……申し訳ない(けど優越感が)

「おら、飲め。」
「どうも。」

だから何でただの水で立派な陶器使うかな、と一度陶器に視線を這わせた後に、一口、こくりと喉を湿らせる。
政宗が縁側に腰を掛けたので、その隣に座って残りの水をごくごくと飲んだ。

「小太郎ちゃんいつ戻ってくるかなぁ。」
「明日あたり来るんじゃねぇか?何事も無ければ。」
「物騒な事言わないで……あ、ごめ……そうだよね……。」
「……。」

戦国時代であることへの自覚が足りないかな、と思い訂正した。
何があるかわからないから、素直に心配していいのかもしれない。
「何事もないといいな。」
先程まで成実と小十郎がいたが今はもう居なくなっている。
「政宗さん。」
「ん?」
「政宗さんは、天下取ってどんな世の中にしたいの?」

何故だか、聞くなら今しかない、と思った。
やや間を置いて、政宗が口を開く。
「お前は世が荒れることがどういうことか判っているか?」
「え、ええと、天下取りたい人が戦して、領地広めてって……。」

子供に説明しているようだ。
ため息をつかれた。

「一番辛いのは誰だ?」
「辛い……のは。」

働け私の頭!何でも良いから単語!
……そういえばこの時代、農民一揆とか起こってたよね……。 女性の地位だって低いし。

「あ……国民?」
「範囲広いな。」
「えと、農民とか商人、土地とられて年貢とられて……平等なんて与えられてなくて……。」
「そうだな。今日食った米だって農民が作ったものだ。それなのに上のモンは恩を仇で返す。ふざけてんだろ?」
「うん。」
「俺が変える。平和な世を作ってやる。」
「政宗さん……。」

正直ときめいたよ。
あぁ、だからこんなに格好いいんだよこの男。

「……惚れたか?」
「え?なにを掘るって?」

ばちこーん!

「裏山の地面でも掘ってろ!」
「こっ、ここ掘れわんわん!?大判小判がざっくざく!?」
ボケではなく素だった。








を殴った後自室に篭もる。
少し強く殴りすぎたか。
あとで謝ろう。

また地図を広げて、考え始める。

越後の警戒は緩めず。

北は報告待ち。

もうすぐ武田と今川との戦が始まるだろう。
今の武田軍なら今川を落とすことは容易だ。

武田の兵力を推し量るにはあてにならない。

「……様子見……いや……。そうだな、南か……。」
筆と紙を取り出して、文を書き始めた。









「怒らしてしまった。」

庭で小さく縮こまって沈む。
掘れた?っていきなり聞かれても……芋?

それとも私の言動に……。

怒るよな……。
本当に知らないんだもん……歴史……。

何でだっけ……?

そうだ、

霊ばかり見ていて、
傷が痛そうで
治してあげたいって子供の頃思って
その道目指して

「日本史なんて、試験関係ないって思って……。」

バカだ。
こんな人たちが居たのに。
日本の未来のために、民のために……
知ろうとしないで
関係ないだなんて

「バカだ……。」

申し訳なくて涙がでてきた。

いつからこんなに涙腺弱く

「……ひく……」

あ―……やっべぇ……








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主人公ちゃん落ち込む。