はい、人生というか貞操の危機ですね。

口元を上げて、悪戯っぽく笑う政宗に腕を掴まれる。
一瞬にして余裕をなくしたは、抵抗することができなかった。
真正面で、至近距離で見つめられて、頭が真っ白になる。

「……。」

囁くなよ!!
ちょっと政宗さん迫ってこないで……!!

そう考えても口には出ず。
膝立ちだった姿勢が支えきれなくなり、お尻をぺたんと床についてしまった。

「わっ…!?」

肩を押され体制が不安定になり、とっさに政宗の腕を掴み返した。

、大人しくしろ。悪い様にはしねえし……。」

ゆっくり顔が近づいてきて……

「だっ、だぁぁぁ!!」
「うお!?」

頭突きをしてしまいましたとも……。

それでも手が解放されないから夢中になって抵抗した。
今まで安静にしてたから痛みがなくて忘れてたけど、怪我した腕が少し痛む。
突然政宗さんが離れて背を向けてしゃがんだので、そこでやっと抗議の言葉を叫ぼうとした。

「政宗さん!!いたずらが過ぎる……」
「見るんじゃねぇ!!」

怒鳴り返されたが、怒っているわけではないような声。
何かに怯えたような声。

政宗さんが手で頭を押さえて……いや、右目を押さえてる?


「それを渡せ!」

そう言って、わずかに振り返って指を指したのは私の横に落ちている眼帯だった。
手にとって確認すると、引きちぎった訳ではないようで少し安心する。
取れてしまっただけのようだ。


「政宗さ……。」
「投げろ!来るな!……見るなって言ってんだろうが!!」
「……え……?」


……そんなこと言われたら


目を逸らすわけにはいかないじゃないですか……。


「……政宗さん。」
「寄るなっ……!」
「政宗さん。」
……。」

そろりそろりとゆっくり近づいた。


まるで嫌がる猫に首輪をつけるみたい。


目の前まで行くと政宗さんが大人しくなり、ただ自分を見上げている。


右目を隠す政宗さんの右手にそっと触れる。
少し表情が強ばったが、構わずゆっくりと退かした。


政宗さんの右目。

少し爛れた皮膚にわずかに開いた瞼の奥は真っ黒で。

前髪を上げてじっと見つめた。

何故かたまらなくなって、右目すぐ横のこめかみにキスをした。

自分でもなぜそんな事をしたのかは判らなかった。

すぐ唇を離して眼帯をつける。


「……な……。」
「……怖がること無いじゃんか。」


政宗さんが私をじっと見つめてる。
今度は目を逸らしてしまった。


「……。」
「なんですか……。」

あぁ、恥ずかしいななんか!

「……背中洗ってや「いらない!」

軽く耳を引っ張って、いつもの調子を取り戻した政宗さんに反撃した。








政宗さんが湯船に浸かって背を向けてくれているうちに体を洗う。

まさかこんなに警戒しながら急いで体を洗わねばならなくなるとは、入る前は全く予想していなかった。

一通り洗い終わって、再び布を巻いて、政宗に近づいた。
「入って良い?」
「Come on!さっさと入れよ。」
「はい、失礼します。」

ちゃぷんと足を入れるとぬるめのお湯だった。

胸の上まで浸かって、ふう、と一息ついた。

「何してんだ。こっち来いよ。」
「やだよ。」

えぇ、ちょっと距離おいてますが何か?

「何もしねぇよ。」
「……う。」
「来いよ。」

それでもじりじりと警戒しながら近づいていくが、何かをするような気配はない。
真正面は恥ずかしいので、湯の中であぐらをかく政宗さんの隣に座った。

「寂しくなるな。」
「え、何?」
「おまえが居なくなると。」

小十郎さんや成実さんがいるじゃんとか仲間がいるじゃんとか返答すればよいのだろうか?

……いや、無理。

「私も寂しくなるなぁ……。」
「……ずっとここに居てもいいけどな?お前一人くらい余裕で食わせてやれるぜ。」
「そーゆー訳にも行かないよ。」

甘えたくないと思う。

政宗さんの堂々とした姿は素直にかっこいいと思える。

ふざけたところもあるみたいだけど、一国の主として働く姿を見た時、自分も頑張りたいなと思ったんだよ。

目指す夢追いかけて、しっかりと社会や人のために働きたい。



「何か置いてきたのか?いいじゃねぇか……。そのくらいの根性ねぇとな。」
「おうよ!私頑張るからさ、天下とれよ伊達政宗ぇ!!」
「誰に言ってやがんだお前は!!」

政宗さんのチョップが頭頂部にクリーンヒットした。





















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政宗なかなか英語喋らんな・・・(管理人のせいだろが!
ちょい弱い政宗氏
そして復活も早い政宗氏
強気キャラ主人公ちゃんにしたかったのにどうもMっ気が・・・