城へ戻ると、門の前で成実が軽装で待っていた。
こちらに気がつくと、笑顔を見せてくれたが、すぐに目を丸くしたきょとんとした顔になる。

「お帰り〜。あれ、お客様?俺、聞いてませんよ。」
「俺も今日知った。」

そんな言葉を聞いても成実はにこやかにしている。
良い体格をしてるが優しい微笑みをする彼を見ていると、戦するところなど想像出来ないなと思ってしまった。

「うむ!お世話になるでござる!」
「はい、いらっしゃい。部屋用意しなきゃね。」
「かたじけない!」

礼儀正しく挨拶をする幸村に成実は友好的だった。
普段政宗がお世話になっているからというのもあるが、今のには分からない。


「俺は天井裏でいいから〜。」
「佐助さんは天井裏で寝てるの!?」
「ん?いや、いつもじゃないけどね?」

まあ、いろいろとね、とにっこり笑う。
詮索されたくないような雰囲気を察したため、はそれ以上は聞かなかった。

「ha…どこの天井裏で寝る気だ?」
「え?そんなこと聞くの?じゃあちゃんの部屋の上って言っとこうかな?」
「go to hell…」

政宗が六爪を構えようとしたため、急いで幸村が政宗と佐助の間に入った。

「おおお!?申し訳ない政宗殿!佐助のことは拙者が責任をもって…」
「真田幸村ぁ!てめぇマジでこいつから目ぇ離すんじゃねぇよ!」
「りょ…了解したでござる!佐助ぇ!!なぜそのようなことを申すか!!」
「いやはや、雰囲気でね…。」
「どういう雰囲気だ!!」

は苦笑いしてこの光景を見てることしかできなかった。






布団と寝巻きを用意する程度だったが、幸村と佐助に泊まってもらう部屋の準備をした。
その間は広間で政宗と小十郎と会議をしているようだったので、外で待ってて終わったら案内しようと思ったのに、 部屋から聞こえてくるのは政宗のずんだ餅談議と幸村の美味い美味いという声だったので遠慮なく笑顔で広間の戸を開ける。
こっちは結構どきどきしているのに、呑気なものだなあと思いながら。

夕食を食べた後で二人を部屋に招き入れ、小十郎にしたように、自分の荷物を見せて未来から来ましたと告げた。


「へぇ、すげぇ」
「おかしな音が鳴るでござる!」

幸村さんは携帯を気に入ったようで、ずっと弄っている。
データはバックアップしてるから、まぁ何しても大丈夫だろう。

「未来なんてびっくりするけど、ちゃんの言うことなら信じるよ、俺。しかも北条のじいさんがやらかしたとか?嘘なら面白すぎでしょ。独眼竜が北条と接触するための嘘。もっとうまい嘘つくだろね。」
「某ももちろんでござる!こんな珍妙なものが今の世にあることの方が信じがたい!」
「理解ある人たちで助かるよ」

軽蔑の眼差しを向けられることもなかった。
小十郎で成功したから、多少の自信はあったが、やはりこう言われるとほっとする。

「俺聞いてないよ、そんな話」

背後から聞こえた不機嫌そうな声には、びく!と背筋を伸ばしてしまった。

「成実さん……。」
振り向けば後頭部で手を組んで佇む成実の姿があった。
唇をやや尖らせて、いじけている様な表情で。
しかしオロオロしながら成実に何と言うべきか思案していると、にこっといつもの笑顔を向けられた。

「安心して。ちゃんを咎める気はないよ。ちょっと仲間はずれみたいで悲しかっただけー。」
「あっ、ありがとうございます、成実さん……。すみません……!」
「最初に言ってくれれば良かったのに。」
「だって……あの……こんなとんでもない話……。」
「だからこそだよ!なんなの未来って!真田幸村!俺にも見せろよ!」
「あ、嫌でござる!今は某が……!」


成実が幸村に襲いかかった。
小さな携帯を握って操作しようとする幸村と、それを覗き込もうとする成実。
の目には、犬がじゃれあっているようにしか見えず、微笑ましい。



笑いながら見ていると、今度は廊下から優しく凛とした声が聞こえてくる。

様。」
篠が名を呼びながら部屋を覗く。

「は、はい?さ、様なんてつけなくていいですって」
「いえ、あの、湯浴みの準備が出来たので…如何ですか?」
「……いいんですか?」
「じゃあ俺と入る〜?」
「佐助ぇぇ!何て事を!!殿!某が佐助を逃さぬ!今のうちに」
「あ、俺も押さえとくからね!ちゃん、入ってらっしゃい」
「冗談なんですけど!?」
「す、すまんね……」

私の裸など見ても面白くないぞと言おうとしたが、自分が悲しくなるだけなのでやめた。
賑やかな空気が楽しくて、お願いしますよ!?と叫んで、篠が案内してくれた浴場へと向かうことにした。











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ラヴもギャグも特に無い話・・・
繋ぎだけです
すいません、次こそは・・・