「、入浴剤を手に入れた。今夜は風呂にこれを…」
そう言いながら戸を開け、の部屋に足を踏み入れたが、そこで止まってしまった。
がすうすうと寝息を立てて、昼寝をしていた。
「………。」
「…で…松永様…何をしていらっしゃるのですか?」
三人衆はの部屋に書類を持ち込むよう命を受け、やってきた。
松永は胡座をかいて、の頭を自分の太股に乗せていた。
「起きたら驚くだろう。」
「ええ…心停止せんばかりに驚くかと。」
「松永様…陣羽織もお持ちしましたがこれは…?」
「に掛けてあげなさい。」
「………。」
の心停止が確実になってきた。
「たまに寝言を発するのだよ。面白い。」
「むぅ…まつなが、さまぁ…」
「ほら。」
「「「………。」」」
実は起きてる、だったらぶん殴りたいが、起きてたらこの状況に耐えられずパニックになるだろう。
「…では…」
パサ、とに松永の羽織を掛けると、膝を曲げて横になっているため全身を覆ってしまった。
顔も半分以上隠れた。
の目元がふにゃりと下がる。
「「「………。」」」
松永の匂いに包まれて幸せそうだ。
「……このやろ…。」
「どうした?」
「…いえ。松永様の前でこのようなだらしない姿で腹が立ちました。」
「はは、かまわんよ。」
「…んん…」
が松永の太股に頬をすり寄せた。
「女は隙があるほうがモテるそうじゃないか。それに無意識でこのように甘えるとは可愛らしい。」
「はぁ…」
「おや。」
松永がピクリと反応した。
珍しくて、三人衆が驚いた。
「如何致しましたか?」
「に掴まれた。」
「え…」
羽織をめくると、の腕が松永の太股に絡み付いている。
「剥しますか?」
「やはり私も人だな。内腿は弱いようだ。」
「……。」
今知った、というような声色。
松永様は常に攻める側なのだろうな…と三人衆は思った。
「今はを観察したい。それにより見えてくる自分もあるようだ。しばしこのままで。」
「…承知しました…。」
松永はその体勢のまま書類に目を通し始めた。
「ん…信長公から来ていたのか…」
「召集ですか?」
「軍議ではないからそのうちで良かろう」
良いのかな…?と三人衆は首を傾げたが、口には出さなかった。
「…むにゅ…」
「は何か夢を見ているのか?」
「…さぁ」
「…よろこ…んで…フフ…」
「…松永様、こいつ気持ち悪くないですか?」
「そんなことはない。、」
「う…なによぅ…」
揺さぶられては起きた。
目を擦りながら頭を上げる。
「今…何時…」
「、どんな夢を見ていた?」
「へ…」
松永との目が合うと、はパチパチ瞬きをした。
「…まっ、まっ…えっ…私…」
「寝言が気になってね。何を了解した?」
「松永様…が…私に…」
の顔がみるみる赤くなる。
目の前にローアングルの松永に自分の背には陣羽織。
「私がに何を言ったのかね?」
そして興味津津に自分を見つめる優しい瞳。
「…っ!!い、言えません!!不埒な夢を…!!勝手に松永様を登場させて申し訳ありません!!」
は勢い良く起き上がり、松永に土下座をした。
ズルリと陣羽織が肩から滑り落ちそうになり、慌てて手で抑えた。
「、私に隠し事か?」
「松永様!!意地悪やめてください!!」
「意地悪?私がいつ卿に意地悪をした?」
「あ…う…それは…そのぅ…」
真っ赤になるが面白いらしく、どんどん質問を続ける。
も松永のこの性格を知っているため、自分が折れなければならないのは知っていた。
「う…うぅ…」
もじもじして松永を上目遣いで見つめても、もちろん松永は止めようとはしない。
は観念して話すことに。
「…松永様…に…膝枕をしろと…喜んで引き受けました…」
「む、先程の逆…というわけか…。はそれが嬉しいのか?」
「あ、その…そりゃ…」
「ならば、してみよう。」
「え…」
松永が突然、の太股に頭を乗せ、ゴロンと横になった。
「松永様っ…」
「ふむ、なかなか新鮮な感触だ。」
「し…新鮮…?松永様…は…このようなことは…」
「発想が無かった。」
その言葉を聞き、はこっそりと拳を握り締めた。
その輝いた目には、松永様の初めてもらっちゃったぜ!!という嬉しさが現れていた。
「、嬉しいかね?」
「超絶嬉しいです…!!」
「そうか…それは私も嬉しい…」
「松永様、こちらの信長様からの書簡のあとにもう一通来てました。日時指定がございますよ。宴のようです。」
「そうか」
「あぁ―!!!!」
三人衆の一人の言葉に反応して、松永はがばりと起き上がった。
は悔しそうに頭を抱えて反り返った。
「あの信長公がタダで宴は開かまい…何かあったのだな…ふふ…」
「美しい茶器、かもしれませんね…」
「そうだな」
「そうですね!!うわあああん呆気なく終わりすぎだよ胸キュンイベントが!!」
嘆くを放って、松永は近くにあった机に向かい、返事を書き出した。
「まつながさま…」
もっとしていたいです書き終わったらもう一回お願いしますと言いたいが、呆気なく断られそうで怖い。
けれど、背に掛けられた羽織に触れると心がほんわかする。
「…えへへー…」
顔を寄せて、匂いや暖かさを堪能して、幸せいっぱいになっていた。
「、お前も信長公のもとへ行くか?」
「よろしいのですか?では、ぜひ!!!」
「「「……」」」
の前向きっぷりに、三人衆は感心を通り越して呆れかえった。
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のんびりさせてみた…
松永様にせものですねでもオフで欲しいもの探し中でそんなにすることなかったらこんなのんびり松永が見られるとかそんなのいいなあと妄想したんだよ…
織田軍訪問お話もかいてみたいなあ…