は政宗の部屋を覗きながら悩んでいた。
政宗はすやすや寝ている。

「…どうしよ…」
結局、何を贈ればいいか思い付かないし、手元には何もない。

「…うーん…」

幸村と佐助は帰ってしまい、小太郎もどこかへ行ってしまった。
頼れる人はいない。

「いつきみたいに雪だるま…」
奥州は雪はまだ降っていない。

「…食い物…」
女中はもう全員寝ている。
一人で料理など出来ない。

「…編み物…」
道具も時間もセンスもない。

「………」
は俯いた。

何か欲しいとか言ってなかったかな〜と、記憶を辿る。

しかしなかなか思いつかない。


「…あ…」
唸っていると、政宗がもぞもぞ動いた。

「…んー…?」
政宗が眠そうに目を擦りながら、こっちを見ていた。

「…どした?」
「あ、ええと…」
「覗きかよ…変態。」
「…政宗さんに言われたくないというかなんというか…」

は仕方なく、政宗の側に寄り、正座をして見下ろした。

「…あのう…」
「…なんだ」

政宗は寝たまま、を見上げた。

「何か、欲しいもの、あります?」
「欲しいもの…?」

政宗はぼーっとをただ見つめた。

本当に眠そうだ。

「……ある」
「なんですか?」

は、どうか簡単に用意できるものを言ってくれ、と願った。

「…湯たんぽ…」
「はい?」

「さむい…湯たんぽ…」
政宗はの膝に手を這わせた。

「んー…」
「あ、ちょ、ちょっと…」

上半身だけわずかに起き上がり、の膝に頭を置いた。


「…まさむねさーん…」
「……まだ寒い…」

はまた眠りに落ちてしまった政宗の背に、布団を手繰り寄せてかけてあげた。

「…あれー…どうしよう…」

じ、自分が湯たんぽに…!?







翌日、政宗はご機嫌だった。

小十郎はもちろん、自分の部下に、のやつ、寒いからって俺の布団の中にもぐりこんでよ〜…全く、世話が焼けるぜ…!!と、嬉しそうに話していた。

「まー、本当のことを言うと、政宗さんはそんなことねえと否定し、一気にご機嫌急降下でしょうから、控えます。」
「そうだったのか、…。すまない、俺はうっかり政宗様に騙されていた。」
「まあ、騙してる気も無いんでしょうから仕方ない…」

は、小十郎にだけ本当のことをいってみた。

庭に少々積もった雪を眺めながら。

「夜中に降り出したし、政宗様も寒かったのだろう…」
「覚えてないのが厄介…」

起こさないよう、慎重に政宗の頭をどかし、寝相の悪い政宗にずっと引っ付いていたのだ。
の目の下にはくまができていた。

「一番の重労働だった気がする…。ごめんなさい、小十郎さんには何も出来なくて…」
「はは、それは気にするな。それより、庭に、可愛らしい雪だるまがあったんだが…おまえか?」
「あ、はい…」
「丁度日光が当たるところにあって…融けてたぞ」
「うそ!?」

は急いで雪だるまの元に駆け寄った。
小十郎もの後ろをついていった。


「…あ…もう半分以上融けてるし…!!帽子も取れて…ん?」
藁で作られた帽子の中に、丸まった紙が編みこまれていた。

帽子を解いて開いてみると、いつきからの手紙が。

『これを薬指にはめて貰えばらぶらぶだべ!! いつき』

「これって…」

融けた雪だるまの中に光る2つのリングが…

「……いつきこれをどこから…」
親衛隊に貰ったものをこっちに回したんじゃなかろうかと不安になった。

「これを指にか?」
「あ…小十郎さん…」

後ろから、いつきからの手紙を読んでしまったらしい。
小十郎は屈んで、指環を取り出した。

「はは、じゃあこれをおれは貰おうかな。くりすますぷれぜんと?」
「え」
小十郎は大きいほうの指輪を左手の薬指にはめこんだ。

「おっと、こりゃ滅多に付けられねぇな。仕事のときははずさねえと…」
「えーと…」

小十郎は、もうひとつも取り、

「こうか?」

みごとにの左手を取り、ゆっくり、優しく、薬指に環を通した。
繊細に動く小十郎の太い指をはじっと見つめて固まった。

「…えーと…」

小十郎さんは、そういうもののことは知らないだろうから、仕方ないのですが…

「小十郎さん…」
「なんだ?」
「処女なのに妊娠させられた気分です」
「どんな気分!?」
「おーう、何騒いでるんだー?」

ご機嫌な政宗が雪をゆっくり踏みしめながら近づいてきた。

「政宗様、いえ、雪だるまが融けてしまって…」
小十郎はさりげなーく左手を背後に隠した。
外すタイミングも無く、政宗に見つかったら誤解されるだろうし、ここは隠して乗り切ろうと咄嗟に考えたようだ。

「夕方になったらまた降るらしいな」
「じゃあ、今日も寒いんですね…」


政宗がの肩に手を回してにやりと笑った。

「一緒に寝てやってもいーけどな?」
「…政宗さんが、私にくっついてくれるなら…」
「?なんだよ、今日は素直だな…。ああ、もちろんいいぜ?」

政宗は、今夜が楽しみだ!!と、をぎゅううと抱きしめた。
は目を細め、腕をだらんと下げ、あはははー…と、政宗のされるがままになっていた。

「……」

小十郎は、の袖からちらちらと見え隠れする自分と揃いの指環を見て、なんだかいけない事をしている気分になっていた。
政宗がを抱きしめたまま離さないから余計だ。


「うーん…」

政宗さんにはクリスマスプレゼントだよ!!という感じには出来なかったが、まあいいか、と思う。

「政宗さんには…サンタさん、とか、関係ないや…」
「ん?なんだ?」
「なんでもない」

クリスマスだけじゃなくて、毎日笑ってて欲しいと思うもんな。

















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政宗と小十郎と主人公の三角関係ができあがったらウチの夢は本当に悪夢になるね!!とかきながら思ったどこがクリスマス夢だー!!!!!?
すいませーん!!!
以上!ここまで読んでくださりありがとうございました!!