は小太郎の背中で今度はどこへ行こうかと一方的に喋っていた。

「…」
「小太郎ちゃん?」

小太郎の反応が薄い。
「お?」

小太郎が止まり、地に降り立った。

「………」
「小太郎ちゃんー!?飲み過ぎた!?気持ち悪くなった!?」
「…………」
「ちょっと休もうか…」
は小太郎の背に回って背中を撫でた。

「今川とかそのあたりはザビーが行ってるだろうし、北は幸村さんたちが行ってるし…大丈夫、ゆっくり休ん…」

の目の前の景色が歪んだ。

「…で…」

後頭部に衝撃を受け、は気絶した。










ゆっくりとした優しい言葉が聞こえ、は気がついた。


「どうした?早くこの娘をとりかえしたいのだろう?早く立つんだ。」


木造の建築物に自分がいて、目の前には白と黒を基調とした服を身に纏った人間の背が見えた。

「……」

その近くには、小太郎が倒れていた。

「小太郎ちゃん!!」
「お目覚めかな」

その人間はゆっくりと振り返って、に向けて笑った。

「いや、これはこれは、随分と似合う。」
手をゆっくりと叩いて嬉しそうにしていた。

は柱に縛り付けられていた。

「松永さんやめてください!!小太郎ちゃん気分が悪いの!!」

「ああ、だから難無くここへ君達を連れてきたんだよ。」

全て承知の上でやっているのだと、松永は小太郎の腹を蹴った。

「あああ小太郎ちゃん!!松永さんお願いします…!!それ以上何もしないで!!」

は何とかならないのかとじたばた暴れた。

松永はただに視線を送るだけだった。

「おおおおお…私の関節よ弛緩しろ…!!ちくしょうー…!!」
「今日は聖なる夜…だそうで、どこかに良い茶器はないものかと探していたら君達を見つけてね…」
「じゃあ私と小太郎ちゃんが見つけてきます!!だから…」
「織田信長の所持品でも?」
「う…!!」

失敗することは絶対許されない場だ。

「…小太郎ちゃんを傷つけないなら!!」
は松永をキッと睨んだ。
「ほう…」
松永は感心したように息を漏らして、に近付いた。

「まぁしかし…別な過ごし方も思い付いてね…私が与える側でも良いかと」
「え…」

松永が刀を抜き、に向かって振った。
小太郎はがばっと起き上がったが、よろけてしまい、松永を止めることは出来なかった。

「…卿には、恐怖が相応しいと考えたが…」
「…あ…」

は咄嗟に目をつぶってしまったが、恐る恐る目を開けると、縛っていた縄だけが綺麗に切れていた。

「狂気のほうが、良さそうだ」

松永はに無理矢理、刀を握らせた。

「さぁ、風魔を殺せ」
「…!!」
「そうすれば卿は無事だ。何、簡単なことだ。」

は小太郎を見た。

「……」
小太郎はが自分を殺せないことを知っていた。

「さぁ」
「いっ…!!」
松永がの髪を一束掴み、引っ張り上げた。
赤い帽子が地に落ちた。
「卿に、狂気を」
「…私は…サンタクロースです…!!」
「…ん?」
は松永の刀を落として、松永の横腹に蹴りを入れた。

「…」
全く効いていないようだったが、松永は手を離した。

「サンタクロースは人の笑顔しか望みません!!」
は急いで帽子を拾うと、松永に振り返った。

「屈んでください!!」
「こうかね?」

松永が屈むと、は帽子を松永の頭に被せた。

後ろで縛った髪のせいで、深くはいれられなかったが。

「メリークリスマス!!」
「……」

松永がきょとんとした隙に、小太郎がに飛び付いて消えていった。

「……」


くるりと振り返って、松永は外へ歩き出した。

庭に出ると、三好三人衆が火を囲んで酒を酌み交わしていた。

「…松永様」
「その帽子は…」
「…何事でしょうか…」
「大人しくしてたら贈り物をもらったのだよ」

三人は首を傾げた。


「…全く、馬鹿げた人間だ」


松永は帽子を取り、火の中に投げ入れた。


燃え尽きるまで見つめた後、空を見上げた。


「…今宵は雪か…早く帰して正解だったな…」




















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松永さん!!
松永さん夢増えろとの願いを込めて…!!
でも、誰!?な感じになった!!すいませんでも愛はある!!