「………。」

朝から政宗はそわそわしていた。

プレゼントを握ったままで。


…これ受け取ってくれ…』
『わぁ嬉しい…!!開けて良い?』
『ばか…!!恥ずかしいから後で開けろよ…!!』
『えー?やだ待てない…!!あ…お手紙…』
『あぁ…』
『…婚姻届…だったりして…』
『それがよかったのかよ?』
『えっ…冗談だよっ…!!』

「…妄想絶好調だね…」
ギャ―!!!!!勝手に頭ん中見てんじゃねー!!」

絶好調な政宗に話しかけたのはいつの間にか忍びこんでいた佐助だった。

「放っとけ!!」
「あんまり期待しないほうがいいよ〜?」

佐助は懐に手を入れると政宗に小さな小箱を2つ出して見せた。

に贈り物。」
「幸村の分もか?」
「旦那もねぇ、昨夜にどういう渡し方すればどういう反応するか妄想して楽しんでたんだけどねぇ…朝急に召集かかったんだよ。」
「…そうか。」
「あんまり期待しないほうが無難だよ。じゃね。」
「あっ!!」
佐助がスッと消えてしまった。
すぐにの元に向かってしまうだろう。

「…ハッ!!いいんだよ!!俺はトリだ…。最後に渡す。」

政宗は慌てずに机に向かった。
メッセージは今から書く。

「小十郎は野菜でも渡すだろ…成実は昨日食い物を町で選んでたからそれだろうし…敵じゃねぇよ…。」

サッと言葉を簡単に記すと、茶を飲みながら乾くのを待った。

「…………。」





「わぁ、ありがとう、小太郎ちゃん。」
「…………。」

小太郎はに朝摘んで来た花を渡していた。

「かわいい!!部屋に飾るね!!」
「……。」
小太郎は照れながらコクンと頷いた。
花よりの方が可愛いが、そんな事言ったら恥ずかしさで倒れそうだ。

「なーんだよ、小太郎やるねぇ。」
「……。」
「あ、佐助」

花瓶に花を生けていると佐助が室内を覗いていた。

「お仕事?」
「お仕事だよん。はい、に。」
「わ!!いいの?2つも?」
「旦那と俺から。」
佐助はの目の前に2つ箱を置くと、一つずつ開けてに見せた。

「俺様から、無難に、ね…ねっくれす?」
「綺麗!!」

佐助は細かい装飾が施されたネックレスを慎重に手に取り、の背後に回った。

「じっとしててね。」
「うん。」
首に掛けてもらえて、はときめいていた。
付け終わると、佐助は満足そうにを正面から見つめた。
「うん、似合う。」
「ありがと。」
「へへ〜。こーゆーの選ぶの楽しいね〜。貴重な体験こちらこそありがとだよ。」

佐助が頭をかいて照れるので、も照れてしまう。

「んで、これが旦那から。」
「幸村さん、元気?」
「うん、行けぬとはなんたること…!!って嘆いてた。」

パカリと開けると、小さな人形が入っていた。

「…可愛いね。」
「可愛いよね…。」
「幸村さんの思考がね…」
「お人形を選んじゃうところがね…」
「………。」こくり

気持ちが嬉しい、と、は小さな人形を抱き締めた。

「あ、この人形、ちょっと幸村さんに似てる…?」
「どこが?」
「髪の色とか顔の造り…あはは!!考えすぎか!!」
「……。」

昨晩、幸村の妄想で、これ幸村さんだと思って大切にする!!とか言うが出てきたのはこういうことか…と佐助は頭を抱えた。

ちゃん!!」

「成実さん、小十郎さん…」
「何だなんだ、たくさん貰ってる〜!!」

成実は楽しそうに部屋の中に踏み込んだ。

「これなに?」
「謙信様が、お酒を。」
「これは?」
「かすがから、“これで安心!自己防衛セット!〜今日から君も戦国最強〜”とかいう…弓とか鎖鎌とか…」
「怖っ!!何ちゃんに贈ってんだよあの忍!!」
、こっちは?」
「元親からのカジキマグロと元就さんプロデュースの日輪お掃除セット…」

どんな背景だあぁぁぁぁ!!!!!!?

政宗は影からこっそり覗きながら心の中で叫んでいた。

の部屋カオスじゃねぇか!!普通にくつろいでんじゃねえ!!」

「あ、小十郎さん、それいつきからの米俵。」
「今夜食べようか。」
「普通にするな!!突っ込めよ!!」

政宗は無駄にイライラしてしまった。

ちゃん、俺からはこれ…」
「ありがとうございます!!」
「何選んだらいいか判らなくてさ〜」

そう言う成実は嬉しそうだ。

「とりあえずちゃんが好きそうなの選んだ!!」
「あぁ!!ありがとうございます!!これ食べたかったの!!ずんだ餅と見せかけて実はホワイトチョコレートを抹茶クリームで包んだゲロ甘菓子!!」

食べたかったのかよってかそんな菓子俺は認めねぇ―!!!!!!

「あとついでにこれ!!開けて?」
「え?」
もう一つの贈り物は紙袋。
は開けるとブッと噴き出した。

「何これ―!!」
「何って下着〜!!」
「下着?うわ何これ真っ赤!!やらしいあははは!!」
佐助はツボにきたらしく腹を抱えて笑っていた。

「俺との初めてには…着てほしいナ…」
成実は指を口に当てておねだりし始めた。

「ぎゃはは誕生日に!!ドン引き!!やるな成実サン!!」
「判りました…成実さん…これ着て踏んづけて差し上げましょう…」
「いよっ!!美脚お願いします!!」
「美脚にしてください!!」
「判った。この小十郎に不可能はねぇ…!!」
「小十郎さんマッサージ!!」
「片倉殿マッサージ!!」

何あのテンション!!!!!?

政宗は恐ろしくなってきた。
あの勢いでは自分はトリを飾るよりもオチを要求される。

「ところで片倉殿は?」
「俺は…普通だ…。ほら、。」
小十郎がに渡したのは紙の束だった。

「ありがとう小十郎さん…えと…」
「肩叩き券だ。」

肩叩き券てお前―!!!!!!!

「わぁ!!肩たたき券!!」
「一枚くらい乳揉み券とか混じってるかもよ!!」
「一枚くらい尻揉み券とか混じってるかもよ!!」
「こらこら、この小十郎、そんなにいやらしいことはしないぞ!!」
「あ!!でも一枚、小十郎特別ご奉仕券がある!!これは?」
の要求通り、俺は何でもするぞ…?」
「片倉殿やらしい―!!」
「片倉サンやらしい―!!!」

もうやめてぇそれ以上盛り上がらないでぇぇぇぇ!!!!!!!

政宗はいてもたっても居られず、自室に走って退却した。


「あはは!!ところでさぁ、殿は何くれるかな?」
「政宗様か…楽しみだな、。」
「う…うん…。」

浮かない顔のに、その場にいた全員が不思議そうな顔をした。

「どうした?」
「いえ…その…政宗さん忙しそうだし…覚えててくれるかも謎だし…」
「殿は覚えてるって!!絶対!!」

成実がの肩に手を置き、笑顔を向けた。

「あ、いえ、その…気を使わせるのが…申し訳ないというか…」
は謙虚だなぁ〜…誕生日だよ?いいんだって!!なんだかんだで祝う側も楽しいんだよ?」
「そ、そっか?」

今日は朝から贈り物がたくさん来て対応に忙しく、まだ政宗に会っていない。
いくら政宗でもそのくらいでいじけることはないが、無性に不安になった。






政宗は書いたメッセージを見直していた。

「…か、書き直すか?何か面白い文句をか?」

しかしなかなか踏み切れない。
全く何も思いつかない。

「歌書いたっては意味判らないだろ〜!?」
「政宗さん」
「ウワオ!!」

がひょっこり顔を出し、政宗が驚愕した。

…」
「えと…元気かなって…」
「元気だっての!AHー…」

政宗はに乱暴に小さな巾着を差し出した。

「え…」
「…Happy birthday…」
「いいの?」
「あとこれ」

手紙を直さずそのままに渡した。

「文句言うなよ…」
「……。」

直したくなかったのは、これが一番伝えたいことだから。



―HAPPY BIRTHDAY

来年も、この日を一緒に迎えたい


「…政宗さん…」
「…なんだよ」
「書き直して」
「お前な!!オチとかいいだろ別に…!!」

若干ショックを受けたが、政宗に向けられたの顔は、喜びにあふれていた。

「来年も、ってとこ…“ずっと”って」
「……」

政宗は一度目を丸くしたが、すぐに顔が緩む。

「…お前が、直せ」

そう言って筆を渡すと、こくりと頷いて、文字を記す。

「嬉しいなぁ…あ、こっちの巾着何かな?」
「面白いもんじゃねぇぞ?」
「なんでさっきから面白さを気にしてるの?あ…」

が直した手紙が視界に入るだけで笑ってしまう。

「これ何?入れ物高そう…クリーム?」
「畑仕事手伝ってたら手が荒れるだろが。」
「今日から付けるね!!」

期待通り、よりも、期待以上に喜んでくれるが可愛くて仕方ない。

「見たか猿飛…!!」
「え?」
「何でもない」

んな心配、俺とには関係ねぇ、と思える。

「…はは、いいよな、こういうイベントは!!」
「うん!!」
「早く次のの誕生日来ねぇかなぁ―!!」
「お前は私を何歳にしたいんだこのやろう」

それが嬉しい。
















■■■■■■■■■■■
REIさんお誕生日おめでとうございますー!!!
遅れて申し訳ないですが、よかったら受け取ってくださいっっ!!

今回はふつーにうちの主人公でお話書かせていただきました
たくさんの方に好かれるREIさんとすこしでもリンクして感情移入していただけたらいいなあ〜…などと…