政宗はの部屋に侵入した。

ー…って寝てるか…」

遅くまで政務を行い、寝ようとしたが人寂しくなってしまった。

もちろん、人恋しいなどと言えないので、へのいたずらと見せかけて布団に潜り込むつもりだった。

無防備に寝ているの隣に座り、半分布団を剥いで潜り込んだ。

「ん?」
部屋は真っ暗での顔は見えないが、違和感を感じた。

…?」

顔に触れると、ぬちゃあ…とした冷たい感覚がして、政宗は驚愕の言葉を発した。



「何事…」
はその声で覚醒し、のそのそと起き出した。
「こっちの台詞だぜ!!なんだこれ!!」
「政宗様!?如何されましたか!?が実は男の娘だったとかやめてくださいね!!」
「小十郎お前は流行りを熟知しすぎだどんな本読んでるんだ!!」

声を聞いた小十郎もの部屋に駆けつけた。

火を付けると、の顔の皮膚の部分に白いものが塗ってあり、さらに政宗は驚いた。

怖いよ!!なんだよそれ!!」
「パックだよー小十郎さんにもらったんだよ。」
「小十郎…!?」
「俺は前田の嫁さんから頂きました。よかったらにと。」

そうやって使うのかーと小十郎は興味津々でを凝視していた。

「お肌つるつるになるんだよ。長時間やれって書いてあったから夜にやったんだけど…気がついたら寝てたわー」

布団汚れてないかなーと確認をしはじめるだったが、それより何より早く顔を洗って欲しかったので、政宗は小十郎に井戸の水を汲んでこさせた。


「ふああさっぱりー」

顔を洗って、は嬉しそうに笑った。

…」

政宗はの部屋に居座り、眉根を寄せていた。

「なに?」
「それで肌が綺麗になるのか…?」
「どうです?」
は頬を指差した。
政宗は指先で触れてみる。

「まぁ…しっとりしてるか?」
「疑問系ですかっふふ、まぁいいか!!」

の様子を見ると、あまり大きな期待をしていたわけではなかったようだ。

「やらないよりいいよねーと思って。」
…その…」
「はい?」

政宗は言いづらそうにしていたが、一度下を向き、それから再びの顔を優しく見つめた。

「気分転換にならいいが…本気で美容の努力なんかはしなくていいからな。そんなことやる時間があるなら俺のとこで仕事を手伝ってくれ。」

遠回しに、今のままで十分だ、もっと一緒の時間が欲しいと言ってるのはわかったが、小十郎は遠回しすぎて心の中で政宗様ぁぁぁ!もっとしっかり!!と叫んでいた。

しかしは、穏やかに、はい、と返事をした。
も分かっているようだ。政宗の愛情表現に関する不器用さを。







、例のやつ使ってくれたんだって?実は俺が南蛮の奴らにもらったやつだったんだぜ?前田の嫁さんが来たついでに渡したんだが、まで使ってるとはなぁ!!」
「まつさんがおすそわけしてくれたんだよ!!肌触ってよーどう?」
「おう、すべすべだ!!」

遊びにきた元親がの頬に触れるのを、政宗はつまらなそうに見つめた。

「破廉恥…いや…某も…」
そしてたまたま決闘にきた幸村もの頬に触れたくてうずうずしていた。

「んじゃ俺様も〜」
「……。」

佐助も小太郎も、の頬を人差し指でぷにぷにし始める。


その光景を、政宗と小十郎は少し距離を置いて見ていた。
「……。」
「政宗様、気に入らないようでしたら止めに入ったら如何ですか。」
「俺は昨日、一番に触ったからな…」
「……では小十郎もの頬をぷにぷにしてきます。」

政宗はとっさに一歩踏み出す小十郎の襟首を掴んで止めた。

「嫉妬してますね、政宗様。」
「…少しな…」
その会話が聞こえた元親は、政宗の方を一瞬振り向き、にやあ…と笑った。

「っ!!なんだあ元親…」
今度は全身すべすべになろうぜ!!このまま温泉旅行だ!!!」
「わあああ!!!」
元親がひょいとを抱え上げて走り出した。

「ずるいですぞ元親殿〜」
「俺様も行くよ〜」
「………。」
幸村、佐助、小太郎は楽しそうに後を付いていく。

「てめえええ!!!は俺のもんだ!!小十郎!!温泉へ行く用意を!!」
「は!!」

咄嗟に勢いよく返事した小十郎だったが、政宗を二度見した。

「温泉行く気満々ですね政宗様!!」
「もちろんだ!!本当は…」

俺もパックとやらをしてみたかったりする!!と恥ずかしそうに叫ぶ。

「政宗様のお肌はそれはもう綺麗ですが大丈夫です俺はそういった男性に差別偏見致しません!!政宗様が男の娘になろうが隠れてやってくだされば…」
「そ、そこまで言ってねええええええええ!!!!新しいものに興味があるだけだ!!!!」


















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長時間のパックにチャレンジ、というリク頂きました!!ありがとうございます!!
伊達政宗は派手好き新しいもの好きってことでパックとかやってみたいとか思っちゃうんじゃないのとおもったらこんなひどい展開にすみませ…