今日は元親が青葉城に遊びに来た。
途中まで木刀で政宗と打ち合いをしていたが、小十郎の持ってきた菓子で一休みした後はとどこかへいってしまった。

「………。」
政宗も暇ではない。
が相手してくれて正直助かってはいるが、何をしているのか気になる。

心配になってきたところで軽快な足音が部屋へ近づいてきた。

「政宗さん見てー!!!!」
「なんだ…ァ?」

元気よく現れたは非常にご機嫌だった。
そして釘付けになってしまったのはその服装。

元親と同じ色、似た形の服装で、胸から腹にかけてサラシを巻いていた。

「どーよどーよ。と俺、ぺあるっく?」
その後ろから、元親がにやにやと嬉しそうな顔を覗かせる。

「…何事だ。」
に似合うかなーと思ってよ。特注してきた。」
「ちょっと大きめサイズだけど、強そうに見えるね!?ね!?どう!?政宗さん!!」

拳を握ってがポーズをとる。

「思ったより細くてなあ…可愛いぜ…」
「ありがとう!!元親も可愛いよ!!!」
「どういうことだ!?」

肩に手を置いて揃いの恰好でいる二人はまるで兄妹のようだと感じる。

「…へえへえ、微笑ましいねえ。」
「なんか!!!馬鹿にされてる気がする!!!??嫉妬しろよ独眼竜!!!!!」
「嫉妬!!??政宗さんも元親の恰好がしたいのね!!??」

おろおろと勘違いしたに視線が集まる。

「俺は別に…」
「ならば俺は謙信公の衣装が気になるが、俺とは大きさが違いすぎるからなあ…前田慶次の第二ならばどうだろうか…」
「小十郎…?」

政宗はどうでもいいと言おうとしたが、小十郎はそのように持って行ってはくれなかった。

その一言で、元親が、俺もあの派手なんは一度袖を通してみてえなーと言い始める。

「お、俺は…」
政宗も躊躇いながら申し出る。

「元就サンの兜が気になるぜ…!!!」
やや恥ずかしそうに呟くと、はにこお、と笑った。

「ノリノリじゃないですかー!!!だがしかし!!そうそう上手くはいきませんよー!!衣装交換はくじ引きにしましょう!!」
「くじといやあ俺よ!!前田慶次まかり通る!!!!!」
小十郎と元親に興味を持ってもらえて喜びの表情をした慶次がの隣に現れた。
巨大なおみくじの形をした武器、天運転如を肩に担いでいる。

「さてさて、じゃあお手本に、っと!!俺がまず引きますかね…っと!!」
から少々遠ざかり、頭上で振り回したのちに振り下ろした。

「出た!!」
中から細い木の板が出て来て、が確認に向かう。

「…あ、小十郎さん!!」
「うお!!やった!!渋くなるぜ俺ー!!俺に惚れ直しちゃうかもよ?」
「仕方ねえな…ちょっと待て…今着てるから第二か普段着に着替えてくるから…」

はこれいちいち面倒だなと思ったが口にしなかった。

「…小太郎ちゃん」

小太郎がこくりと頷いて煙幕玉を地面に叩きつけた。
皆驚いたがすぐに晴れ、慶次は小十郎の衣装を身に纏っていた。

「時間短縮ね。」
こくこく

「う、おおおお!!どうどう!?かっこいい!?ありがとう!!」
慶次はクルリと回り、皆に笑顔を向ける。

「おうおう、いいじゃねえか。色男が。たまにゃそういうので女の気でも引けよ。」
「ほんとうー!?どう!!この俺に迫られたら!!」
「…stop…」

の肩に腕を回し、顔を近づけ始めたので政宗は眼光鋭く睨みつけた。

「これは手っ取り早い。では俺も参加させてもらおうか…よっと…」

小十郎が天運転如を振り回す。
その軌道がいちいち美しく、慶次は苦笑いした。

「ははあ…小十郎さんには負けない様邁進するよ…」
「小十郎さんはどんな武器でもこなせそう。」
「そんなことはないぞ…は!!」

そして下に向ける。
引いたものは近くにいた元親が確認した。

「………。」
「何だった?」
「佐助」
「え」
「…佐助だ…」

忍があまり好きではない小十郎のことだ、嫌がるだろうなとは眉根を寄せた。
小十郎に視線を向けると、キョトンとした顔で、どうしたらいいか分からないようだ。

「いや、俺もまあ、遊びで本気になるわけではねえが、猿飛はここにいねえし…」
「忍なめると痛い目みるよー♪」
とても楽しそうな声が頭上から降ってくる。
小十郎の周囲を何か黒いモヤが覆ったと思うと、小十郎が佐助の服を着ていた。

「佐助!」
「楽しそうなことしてるじゃなーい?」

木にぶら下がって、こちらに笑顔を向けていた。
佐助自身は全身黒の第二衣装を着ている。

「おお…」
小十郎が佐助の迷彩服を着て、自身の姿をきょろきょろと首を動かし見ようとしている。

「小十郎さん可愛いんじゃない!?顎がちらちら隠れるのなんか新鮮!!」
「そうか…?なんかひらひらして落ち着かねえぞ…?」
「忍べない忍さんの完成だ。」
「…んだと猿飛ィ…てめえ人のこと言えんのかよ…」
「まあまあ落ち着けよ…」

元親が声を掛けて、次は俺の番だ!!と意気込む。

「よっと!!!」
「誰のがでるかなー!?はい!!慶次!!」
「おお、俺は風来坊か!!よし頼むぜ忍!!」

元親は小太郎に視線を向けると、小太郎は静かに手を組み術を発した。

すると慶次の派手な衣装を着た元親が現れ、ニッと笑った。

「なんか変な感じ!!俺の衣装を元親が着てる…!!」
「おかしいか?」
「眼帯の色をもう少し合うようしたらいいかも!!」
「おうそうかそうか、まあ今回はこれで勘弁してくれよ?」

会話を終えるとがくると振り返る。
視線に政宗を捉え、にやっと笑う。

「次はー政宗さんー!!期待してるよー?いいくじ引いてよー?」
「…ふん、誰に言ってやがる…。期待しとけ、当ててやるよ。」

そして廊下で見物していた政宗は庭に下りると、元親から天運転如を受け取った。

「任せろ!!引き当ててやるぜ…!!!」
「頑張れ政宗さーん!!皆の期待!!!!」
「元就さんのあの兜を装着してやるぜえええええええええ!!!!」
「違うよ!!!???幸村さんとの蒼紅衣装チェンジだよ!!!!????」

何かを勘違いした政宗が引いたくじは、見事に元就だった。

「よっしゃあああああ!!!!」
「そんなに!?そんなに喜ぶほどなの!!??」

そして小太郎が消え、次に現れたときには政務中だったであろう元就が正座のまま小太郎の横に現れた。

「…何事だ。」
「も、元就さん、えーと…」
「我は軍議中であった。」
「丁度装備して軍議中だったとは良かったな。怒ってるか?」
「そうだな。」

答えを聞いた元親が、政宗が持つ天運転如を元就に渡した。

「よしこれで発散だ!」
「貴様死ね!!!!!!!!」

渡すと同時に元就が襲い掛かり、元親が逃げ出した。
振り回す衝撃でくじが飛び出る。
落ちたところにが駆け寄り、確認した。

「あー!!よかった!!幸村さんやっと出た!!」
「俺様が連れてくるよー」
佐助が消え、元親は庭を一周回り戻ってくる。
元就は冷静な表情だがまだいらついているようだ。

「我の邪魔をする者は生かしておかぬ…!!」
「俺じゃなくて小太郎だけどなー?」
「ここに居る者全て同罪よ!!!!」

元就が技をかまそうとした際に佐助が幸村を背負って現れ、小太郎に合図する。

「旦那は竜の旦那のくじ引いたってことでいいね?」

そして今まで一番広範囲の煙幕が起爆し、一瞬視界が失われる。

目を開けた際には、元就の恰好をした政宗、政宗の恰好をした幸村、幸村の恰好をした元就がいた。

「うお…うおおおお思ったより重いじゃねえか…どうだ小十郎…!!」
「は、はあ…」

オクラと巷で評される兜だが、政宗は本気で喜んでいるようだ。

「…お似合いで…」

いつもの衣装の方が小十郎は好きだったが、そう答えるしかなかった。

「何事でござるかああああ!!??某、青くなったぞ佐助えええええ!?」
「そーゆう催しなの。ほら見てごらん?」
「な…片倉殿の衣装を慶次殿…慶次殿の衣装を元親殿…佐助の衣装を片倉殿…!?」

佐助に下してもらった幸村はすぐに政宗に駆け寄る。

「政宗殿ォ!!!!!」
「おうなんだ幸村!!どーだい俺の衣装は。COOLだろう?」
「く、くーるという感覚がわかりませぬが、あの、六爪を抜いてみてもよろしいか!?」
「Ah?挑戦したかったらやれよ。俺は構わねえぜ。」

政宗が会話中、手でジェスチャーをすると腕周りの装備が揺れる。
はそれめっちゃ可愛いと感じて凝視してしまった。

しかしすぐにはっとする。

元就の怒りは静まっただろうか。

視線を向けると、不思議そうに自身の体を見回す元就と、驚愕している元親がいた。

「…これは…真田の衣装…」
「も…元就…」

驚愕するのはも同時だった。

「細っ!!!!!!!!!!!!!!!」

幸村の衣装であるため、胸から腹部にかけてが露出する。
細い細いと思ってはいたが、実際に目にすると叫ばずにはいられなかった。

「いや待って…細いだけじゃない…白い!!!滑らか!!綺麗!!!!」
「そ、その辺の女より綺麗かもしれねえ…うおおお…知りたくなかったかもしれねえ…」
「…貴様ら、それは我への侮辱か?筋肉馬鹿と一緒にするな。」

元就が眉根を寄せて不快感を露わにしたため、は口を閉じた。
しかし元親は空気を読まずに指を指す。


「元就お前の乳首もしかしてすんげえ綺麗な桃色なんじゃね?」


元就の動きが止まり、は目を丸くし、その場が凍りつく。

「それで黒かったら変だもんな。なあどうなんだ?」
空気を読まない元親の追い立てに、後方で聞いていた佐助が青ざめる。

「いやー楽しかったねえ!!!!!!!じゃあそろそろお開きにしようかー!!衣装も戻して…」
「どうやら我のBASARAゲージは満タンのようだぞ…?」
「え?」

きょとんとする元親を置いて、は一目散に逃げた。

皆もとの衣装に戻り、防御の姿勢を取る。


元親の叫ぶ声が、その場に響き渡った。














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主要キャラで衣装チェンジのリク頂きました!!
第二衣装含めようかとか青年家康と三成も登場させようかいや長編でまだだしといろいろ悩んでいたらすごく完成に時間がかかりましたすみませぬ…!!
リクありがとうございましたー!!