今日もは笑顔で教室に向かっていた。
園児たちが日程を見て、凄く楽しみにしていた企画の第一歩が行われる日だ。
先生としても気合が入る。

ガラリと戸を開けると、先生おはようございます!と一斉に声がかかった。

「はい、おはようございます。皆、今日は何する日か覚えてるかなー?」
「はーい!!」
「はい、慶次君!!」
元気よく身を乗り出して挙手をアピールする慶次を指差すと、嬉しそうに笑った後、大きな声で答えた。

「職場見学するのに、なにしたいか、あんけーと、とる日です!!」
「はいそうです!!」

あまり大きな声では言えないが、当幼稚園の理事長は権力が大きく、不動産やレストラン経営、レジャー施設などの展開もしている。
政治家に知り合いも多いので、ある程度の職業なら交渉して見学などお手の物らしい。

金の匂いすごいねえとにやにや笑う佐助先生のことは気にせず、は純粋に子供たちが貴重な経験を出来るということを喜ぶことにした。

「皆、将来何になりたいかとか、どんなお仕事見てみたいとか、決めてきたかなー?」
先生!私は、その、謙信様のお仕事が見たい!!」
「はいはいかすがちゃん、じゃあ武田先生にその旨お伝えするね。大人の力で調べられるかも。」
「ほ、ほんとうか!!」
「はいじゃあほかの人ー」

自分がやりたいことより、ついていきたいと思える上司を支えたいというのも立派な就業理由だとは思って、かすがのことはさらりと流した。

「俺は国を背負って、守りてえな。夢は大きくねえと。」
そう目に強い光を持つのは、伊達政宗だ。

「というと、政治家とか自衛隊かな。うんうん、仕事は大変だけどお給料はいいね。退職後も安泰だよ。」

は紙にメモをとる。
手を動かしながら、はい次、じゃあ政宗くんのお隣〜…幸村くん!と名を呼ぶ。

「某、佐助やお館様と相談して、お館様の仕事をひきつぎたいともおもったが、やはり、大切な人がこまったときに力になれる仕事がしたい!」
幸村は家庭の事情でお館様こと幼稚園園長、武田信玄のもとに預けられている。
佐助先生は一応ひとり暮らしのようだが、幸村の世話をしたり、幼稚園だけでなく他の仕事の補佐もしている。

「ふむふむ、じゃあ弁護士とかお医者さん、警察の人とかかなあ…うん、資格は強いよ。国家公務員もまだ安定してるし。じゃあ次は元親くん!」
「俺は船乗り!!」
「漁師さん?」
「おうよ!でも船に乗れたらなんでもいいなあ…」
「マグロ一発当てたらすごそうねえ…貿易関係でもいいのかな…通関士持ってるといいかも。はい次は元就くん!」
「我は中国地方をまとめる。」
「知事さんかな?すごい!みんな目標が大きくて先生嬉しいよ!慶次くんは?」
「おれは、人の恋路を応援できたらうれしいな!」
「今流行ってるからねー。お見合いパーティー企画運営してるとことかとか、ちょっと方向は違うけど慶次くんがウエディングプランナーになったらひっぱりだこで儲かっちゃうよ!!」
「「「「「猿飛先生片倉先生!!!!なんかおかしいなとおもってたんですけど先生最初から最後までつまり稼ぎの事にしか触れてません!!!!」」」」」

園児たちの叫びが教室に響くが、片倉先生は落ち着いて窓から顔を出す。

「おめえら、いいか、女が現実見てくれるから、男は夢を追えるんだぜ。」
「「「「「か、片倉先生かっこいい…!!!!」」」」」


は笑顔でメモを取り終わった。

「はい、じゃあ今日の意見はまとめて検討させていただきます!!報告楽しみにしててね!じゃあこれからおやつの時間です!!」

先に用意して足元に置いておいた箱を取り出し、子供達にお菓子とジュースを配る。
そして皆賑やかに食べ始めると、猿飛先生も現れたので、は入れ替わりで教室を出て園長に報告に向かおうと廊下に出た。

そこで片倉先生に会釈をして通り過ぎようとすると、足早に近づかれて、ぐいと肩を掴まれた。

先生。」
「はい。」
「俺の野菜は一級品だ。今度俺の家に招待する。取引先には困ってねえどころか断る事の方が多い。」
「はい。」
「俺とともに野菜を愛してくれて、しかと現実も見れる嫁を探している。」
「……はい。」
「俺は先生が相応しいのではないかと感じている。検討を頼む。」


言い終わると、から手を離して颯爽と外へ行ってしまった。
はその背をただ見送ることしか出来ない。


「ま、まさかの片倉先生から告白されるのパターン…!!!!」

そして相変わらずの農業一本だが、誠実さが表れていて胸がときめいてしまった。

教室からひょいと顔を出し、そういえばちゃん〜合コンしたいからメンツ集めて〜と叫ぶ軽い猿飛先生に向かってペンを投げつけた。
















■■■■■■■■
テンションのままに書いたら短くなったけどたまにはこういうのもご多忙のみなさんにはいいかなってごめんなさい土下座!!
幼稚園は幸村夢の設定引き継いじゃいました!!
そっち読んでなくても分かる簡単設定ですが!!

キャラが幼稚園児になって、主人公が先生、というお題でしたー
リクありがとうございました!!!