「まさっ!!むねっ!!どのおおおおおおおおおお!!!!」

二槍を掲げ、真田幸村が叫ぶ。

政宗はというと縁側に座ってくつろいでいた。

「どういうことでしょうかあああああ!?某!!単騎進軍して参りましたが兵が全く相手してくださらなかったどころか今日はあまり騒がしくするなよと叱られてしまいましたぞおおおおお!!!???」
「よーお、真田幸村。あれ見ろよ。」
「む・・・」

すっと指で示された方向を見ると、と子供たちが遊んでいた。

「おお・・・あの子達は・・・?」
視線を向けながら政宗の近くに寄ると、小声で説明してくれる。

「戦で親失ったガキどもだ・・・。」
「な、なんと・・・」
「町で知り合ったらしくてな・・・今日の主役は奴らだからお前の相手は出来ねえ。」

がっかりして去っていくかと思ったが、幸村はふるふると震えだした。

「政宗殿!!!!!!某、感動いたしましたあああああああ!!!」
「うっるせえ!!!!」
耳を塞ぐが幸村の叫びは止まらない。

「主のため命を落とした者のご遺族への配慮・・・あのように笑顔で遊んで・・・亡きものは戻って来ることはございませぬが・・・傷ついた心が癒されておるのがわかります・・・」
「ま、まあな・・・俺だって君主として守れなかったことの謝罪と感謝言ったらよ・・・泣いて喜びやがったよ・・・しっかりしたガキだぜ・・・俺もこんなことすんのは初めてだが・・・」
「なんとおおおおおお!!!!!某も、国に帰りましたならば見習いまする!!お館様にもお伝えし・・・」
「ああもう分かった分かった!!!」
「旦那、子供がびっくりしてこっち見てるよ。」

一部始終を木の上から見ていた佐助が下り立ち、幸村の肩に手を添える。

「申し訳ござらぬ・・・」
「幸村さん、こんにちは。」

は構わず笑顔で幸村に接する。
それに安心し、槍を佐助に預けて駆け寄っていく。

「何で遊んでいらっしゃるので?」
「今はね、縄跳びしてるの。」
「縄跳び・・・」
「ひもがあれば、遊べるんだよ!!」

少年が嬉しそうに幸村に話しかけるので、幸村もそちらに視線を移す。。

「見てて!!」
少年は縄を回して、最初ぴょんぴょんと飛ぶだけだったが、二重跳びやあや跳びなども披露してくれた。

「すごいすごい!!」
「うむ、器用でござるな。」
「この子達皆縄跳び知らなかったんだけど、教えたら飲み込み早くてねー」
「どこでも出来る良い遊びでござる。某も子供の頃蔓を使ってやっていたこともございましたが、このように多くの技があるとは・・・」

あ!と少年が小さく叫ぶと、足に縄が引っかかってしまった。

「上手でしたぞ。」
「お兄ちゃんもやってみて!!」
「某より佐助の方が上手そうだな・・・佐助!!」
「はいはーい?といってもこれ・・・」

佐助が困惑したように槍と幸村を見比べるのを見た政宗が声をかける。

「盗むやつもいねえし、今は武器を敵陣にて放置するなど武人の恥・・・なんて思わねえよ。」
「ふーんそお?じゃ遠慮なく縁側に失礼しますっと。」

お言葉に甘えて槍を置くと、女の子が駆け寄ってきて佐助に縄を貸してくれた。

結び目をほどいけば長さを調節出来そうなので自分に合わせながら幸村たちのところへ向かう。

「じゃあいくよ・・・」

ぴょんぴょんと身軽に跳びながら、懐かしい〜と笑う。

「俺様も子供の頃やったよこれ・・・」
「なんと!佐助も・・・」
「すんごい技見せちゃうよ〜?」

子供達にウインクをすると、佐助は2重跳び、3重跳び、4重跳びとこなし、さらにあや跳び、はやぶさなど組み合わせる。

「お兄ちゃんすごい!!!」

子供たちは拍手をして尊敬の眼差しを佐助に向ける。

「ありがとーん。」

男の子が一人、余計な一言を言う。

「政宗様よりすごい!!!!」

ぴくりと政宗が反応し、幸村が驚いて政宗の方を向く。

「政宗殿もやっておられ・・・」
「ガキにゃ・・・忍だとか武士だとか適材適所は関係ねえからな・・・」

そして立ち上がり、準備運動を始める。

「良いとこ見せねえと・・・」
「ま、政宗さん・・・」
が駆け寄り、小声で話し出す。

「佐助に敵うわけないじゃないの・・・」
「うるせえ・・・俺にもprideがあってな・・・」
「伊達軍と武田軍の対決にしたら五分五分じゃない?」
「長縄か」
「そうそう・・・」
「な・・・何を話しておいでか・・・」

寄り添って話す政宗との様子にいてもたってもいられなくなった幸村が近寄る。

「よし・・・真田幸村・・・!!勝負だ!!」
「な、なんと・・・!!如何にして・・・!?」
「長縄で、てめえと猿飛、俺と小太郎で勝負だ!!」
「なんという伝説の忍の無駄遣い!!!!」

が小太郎を呼び、そして通りがかった小十郎も引き止める。

縄を長く結んで、と小十郎が端を持ち、打ち合わせを始める。

対決と聞いて子供たちは喜んで応援を始めた。
政宗の応援をする者もいれば先ほどの技術を見て尊敬の眼差しで佐助を応援する者もいる。

「・・・じゃあ、そんな感じで・・・」
「分かった。の体格に合わせて回すから安心してくれ。」
「ありがとうございます。」

小十郎とが位置につき、掛け声を合わせて回し始める。

「・・・あ?もう回すのか?」
「入っておいで!!」
政宗はあまり長縄の経験がないのか、不思議そうな顔をするが、順応が早いので見本を見ればすぐに出来るだろう。

「じゃー佐助!!」
「はーいよ、と!!」

名を呼ばれてすぐに、大股3歩でリズムよく中に入り、飛び始める。

「こーたろうちゃん!!!!」
「・・・・・・・・・。」

小太郎は一瞬消えたかと思うと佐助の後方に瞬間移動した。

「幸村さん!!」
「某、普通にしか入れぬ!!」
「そのパフォーマンスは期待してないよー!!」
「すまぬ!!」

幸村は普通のステップで小太郎の後ろに位置した。

「まーさむーねさん!!」
「OK!要領は分かった!!」

小十郎は内心はらはらしたが、政宗も軽やかに一歩踏み出し、無事縄の中に入る。

「皆余裕そうだねー?」
「忍だしね!!」
「・・・・・・。」

佐助はにウインクし、小太郎も何回でもいけると言いたげにこくこく頷く。

「某、鎧を脱ぐのを忘れ申した!!少々重い!!が、言い訳などしませぬ!!」
「俺は袴草履だったぜ!!!!だが俺も言い訳なんてしねえ!!!!!」
「武将のお二人どんまい!!」
「政宗様は転ぶときも優雅だから大丈夫だ、。」
「こ、小十郎なんのハードルを上げているんだ!!??」

が小十郎と目を合わせる。
サインだ。
は笑顔だったが、小十郎には、あ、武将2名を脱落させにかかっている魔の笑顔だ、と思った。

「スピードアップ!!」

しかしここは勝負だ仕方ないと、小十郎もに合図を返して縄の回転のスピードを速める。
だがその程度では誰もひっかかりなどしない。

、俺様たちなめてもらっちゃ困るよ〜?」

佐助が笑顔で、目の前で縄を回すに声かけるが、も笑顔を崩さない。

「かーらーのー、空中分離!!!!!!!」
「何!?」

縄がてっぺんに上がった際、綺麗に縄が2本に別れる。
そして小十郎とも片手1本ずつ持ちになり、片方が右側、もう片方は左側からおりてくる。

「どーすりゃいんだこれ!!!」
叫んだのは政宗だった。

一瞬縄が止まり、タイミングを調整し、縄を内側に向かって交互に回しだしてダブルダッチの始まりだ。

忍2人は面白そうに口元が笑っていたが。

「なにこれ面白そう!!」
「・・・・・・。」

佐助は片足飛び、小太郎は両足飛びを決めたようで、対応するが、政宗と幸村はたじろいでいた。

「と、とにかく飛ぶ!!」
「お、おう!!」
幸村の言葉に政宗も頷き、縄のタイミングを見極めて反応するが、政宗にとって右方向が死角になる。

「うお!」
「ぬうう!!」

政宗の右足が引っかかり、まさかの最初の離脱者になったが、と小十郎は幸村の脚にも当たったのを見逃していなかった。

「蒼紅さーん!!はい引っかかった!」
「幸村もか・・・」
「ううう・・・!!うまく脚が動かなんだ!!邁進いたしまするー!!」

それは邁進しなくても良いと思う多勢だったが、幸村は悔しくてしょうがないのか肩を落とす。
しかし縄から出ると、子供たちは2人を囲った。

「政宗さま、こんな格好であんなにいっぱい早く飛んだの?すごい!!」
「幸村、さま?これが鎧ー?見せて見せてー!!」

子供はなんでも興味津々だ。

たちはふふ、と笑ったあと、表情を一気に固くし、不穏な空気を漂わせる。

ここからは、縄回しと忍の対決でもある。

「へへーが俺様にひっかかって?て可愛くお願いしたらやってあげなくもないかなあ・・・」
「しないわよ佐助・・・私と小十郎さんのコンビネーション・・・見せてあげる・・・!!小太郎ちゃんも!!」
「・・・!!」
「いくぞ・・・」

そして今度は最初からダブルダッチ。
高速で回していくが、忍の足も恐ろしい程のスピードで上下する。

「・・・これ、持久戦か?」
「そうかもしれぬ・・・」

子供と交流しながら、政宗と幸村はやや呆れていた。














そして子供たちは親に心配をかけるからと帰っていき、今は長縄を縁側で完全に呆れた視線で眺める。

「飽きねえなあ・・・」
「佐助の持久力を自慢しようと思っておりましたが、遊びを通り越して真剣勝負に・・」

と小十郎が緩急をつけて対抗するが忍びはそれに合わせてくるしで、体力勝負の状態になっていた。

、よくついていけてますな。」
「手首だけで回してるし大して筋力使ってないだろ。」
「なるほど。」

政宗と幸村は暇を持て余していた。

「・・・の体に縄が巻きついて亀甲縛りとかねえのかよ・・・」
「無いでござるよ破廉恥!!!!!!!!!!!!!」

政宗のつぶやきに、幸村が一瞬にして顔を赤くして否定する。

「・・・いつ終わるんだ・・・。」
「佐助に転けるよう指示いたしますか。」
「いや・・・ちと小十郎がマジになってるからんなことしたら怒るぞ。やめとけ。」
「はあ・・・では決着がつくまでこのままということでしょうか・・・?」

それはあまりに暇すぎる。

「・・・小十郎と、対、佐助と小太郎だったか。」
「本来ならば小太郎殿と佐助の戦いであったが。」

政宗が幸村に耳打ちし、一度その場を後にする。
戻ってきて本を1冊幸村に渡すと、息を大きく吸った。
そして怒鳴る。

「奇襲戦!!!!!start!!!!!!!!!!!!!!」

その声に驚き、縄跳びを続けながらも皆が政宗を見る。

「小十郎!!収穫前のネギ、今夜無理やり引っこ抜かれたくなかったら負けを認めな!!!!」
「なっ・・・政宗様・・・!!」

幸村も立ち上がって怒鳴る。
「小太郎殿!!負けを認めねばこの貴殿の書いたぽえむとやらを大声で読みまする!!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!」
そしてぱっとページをめくると恥ずかしいぐらいの乙女色した詩が目に飛び込む。
のことを思って書いた詩だろうか。
とても読みたくない。

「小太郎殿!!!!お頼み申す!!降参してくだされ!!どうか!!!」
「〜〜〜〜〜〜!!!!」

佐助とはキョトンとして、奇襲された小太郎と小十郎に目を向ける。
それに気付いた政宗と幸村も再び大声を出す。

「佐助!!負けを認めねば減給!!!!」
「ええ!!!???」
!!!!負けを認めねえと襲う!!!!!」
「破廉恥いいいいいいい!!!!!!許さぬ!!!!!!」
「うお!?てめえ真田ああああああ!!!!!」

叫びと共に勢いよく政宗の顔を殴り、喧嘩が始まる。

「わあああ喧嘩だめええええ!!!」
「政宗様!!お顔は平気ですか!?」
「真田の旦那!!もーこんなときにいきなり殴るのはだめ・・・!!!!」
「・・・・・・(書・・・)。」

縄を放り投げ、皆が一斉に二人の元に駆け寄った。
頑なに続けていたのに、二人が心配になるとすぐにやめられるとは。

「も、申し訳ござらぬ・・・!」
幸村も正直に謝る。

政宗はそれが嬉しく、はは、と笑った。
「奇襲成功・・・ってことで、皆evenってことでOK?」
「政宗さん引っかかった癖にー!!」
「・・・襲うぞ」
「うわあが非力だからって酷いな竜の旦那・・・。は甲斐で保護するか・・・」
「それは名案だ佐助!!!!!」
「冗談が通じねえのか!?」

を引き寄せようとする佐助の手を政宗が払いのける。
旦那こそ冗談通じないなあと、今度は佐助が困り顔をする。

皆で和気あいあいとする方が楽しいんだった、と思い、遊びくらい、今度は勝ち負けなくできるものにしようかなとは考えた。

ちなみにが小太郎ちゃんのポエム読みたいと言おうとしたとき、小太郎は既に逃げていた。


























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「ハイ☆ジャンプ」長縄跳びで競い合い、のお題頂きました!!
ほのぼのとした感じに仕上げたくなる可愛いお題!!
しかしこんな結果!!!!!小太郎ポエム書いてそう。え?そうでもない?
リクありがとうございましたー!!!!