「あ、元就さんもそういえばそっちのほう出身でしたっけ?」
「…ああ」
「元就は中国だよな」
「厳島神社って行ってみたいな…!!」
「あそこは…良いところだ」
元就の機嫌が良くなってきたようで、は喜んだ。
地元の話には元就も食いついてくれるようだ。
しかし、雰囲気が和らいだのもつかの間、元就はため息を吐いた。
「…もう、いいから、帰れ」
「お?お許しでた。」
「いいの?」
「…説教されたいのか?」
「帰りまーす」
元就に睨まれながら、と元親は回れ右をして、歩き始めた。
お疲れ様、元就〜!!と元親が手を振るので、はやめなよ…!!と言って止めた。
「政宗と幸村には貸しにしとこっと。あの後こっぴどく叱られてよ〜…って明日言うわ」
「じゃあ私も。説教延々一時間…ぐらい言ってやろうね…」
と元親は、二人の反応がたのしみだ、と笑った。
の鞄から、ヴヴヴヴ…とバイブの音がした。
「、ケータイ」
「うん。ちょっと失礼」
は携帯を取り出した。
メールが着ているので、見てみると、元就からだった。
「…?」
開くと、一言。
『そんな馬鹿と行っても大して楽しめぬだろう』
「…………」
元就が
あの元就がこんなメールしてくるとは…
「元親」
「ン?」
「私、学校に忘れ物しちゃった。」
「マジか?」
「うん、だから戻るわ。元親、また明日ね!!」
「おお、気をつけろよ」
元親に手を振って、来た道を戻った。
先ほど元親が座っていた場所に元就が座っているので、少し笑いそうになった。
「元就さん〜」
「…なんだ」
「このメールは自信満々ですよね〜」
は携帯の画面を元就に向けた。
元就はそれに視線を向ける事はなかった。
「つまり、元親より元就さんと行ったほうが楽しめるって事でしょうか?」
「……………」
「わざわざメールにしなくたっていいのに」
「うるさいわ」
いつもの元就なら、堂々と言えばいいのだ。
なのに、こっそり伝えるなんて、ちゃんとした意味があるとしか思えないじゃないか。
「…断りませんから…」
「…」
元就の隣にゆっくり座った。
「…お前は、わざわざあやつらに付き合うことなかろう」
「そういうわけにも…」
「…もし、あやつらの面倒に疲れたと感じたら…我が、癒してやっても良い」
「元就さん…」
「…厳島に」
「旅行ですか?二人で?」
「…!!!!」
元就の顔が少し動揺した。
深い意味はないにしても、言葉に出されると恥ずかしくなるようだ。
「…嬉しいです」
「…そうか」
えへへ、とが元就に笑いかけると、元就もに視線を向け、わずかに笑った。
「でも、私より、元就さんの方が疲れてるんじゃないですか?」
「それは…」
「じゃあ、私は元就さんが疲れたら頑張って癒します!!」
「…………」
元就が黙った。
は今の発言はやばいな…と後悔した。
…ならばあいつらを大人しくさせろ、とか言われるんじゃなかろうか…
「…ならば」
「は、はい」
ほらきた!!!!!!
「…たまにで良い…。我の近くに来い。」
「…え」
思わぬ言葉に、は目を丸くした。
「…返事は」
「は、はい…!!えーと、私で良いんでしょうか?」
「愚問だ」
はとても嬉しくなった。
あの…あの元就が…!!
「元就さん!!」
「なんだ」
「寄りかかってもよろしいでしょうか!?」
「調子に乗るな。」
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あれ、普通の夢…?
元就ENDです