「今日と明日は、ゆっくり体を休めるとよい」

「え、明日もですか?」


信玄に報告をし終わった後、そんな言葉をかけられてきょとんとしてしまった。

「はは。佐助は最近仕事しすぎだったからのう、たまには休め」
「はぁ」

有り難く休日をもらってしまったが

「休み…」

何をしようか、全く思い付かない。










信玄の部屋を去った後、何をしようか、屋根の上で考えるが寝るとかしか思い浮かばない。

以前はこんなことはなかったはずだが。
「仕事のしすぎで、頭おかしくなった?」

ありうるのが悲しい。

「そーいえば旦那に言ってあるのかな…」
「佐助!!」
「ん?」

がばっと幸村が勢いよく現れた。

もちろんはしごをかけて上って来たのだろうが、気がつかなかった。

「俺様気が緩んでる…。…旦那、どうしたの?」
「休みを頂いたのだろう?何をするのか気になってな!!」
「休みだから旦那のお世話はしませんからね〜なんて」
「某は子供ではない!!」

ぷぅと頬を膨らませて拗ねるあたり、子供だなぁと思った。

「…うーん、まぁしかし本当何をしようかねぇ…。旦那は、今何かしたいことはある?」
「え?」
「あ、いらない質問かな」

旦那だったら4択。

鍛練か竜の旦那と戦いたいか、に会いたいか、団子を食べたいか…

「今は佐助と話をしていたいのだが」
「……」

…5択でしたか。

何かそう思うと気恥ずかしいね。

「…ま、テキトーに過ごすさ」
「うむ!!どこかに行ったら土産話をしてくれ」
「はいはい」



幸村が立上がり、お館様の元へそろそろ行かねば!!というので、佐助もどこかへ行こうと思った。



「うーん」

南に行っても…

「やっぱ北かな」

小太郎とと、世間話でもしようかな、と思った。






国境付近まで来ると、小太郎の気配がした。

「あれ?なんで殺気振りまいてんだ?あいつ」

音もなく小太郎が佐助の目の前に現れた。

「よ、小太郎。どうした?」
「……」
「立ち入り禁止?なんで?」
「…………」
「え、とかすがが水浴び中…?」

なんておいしい状況なんだ…

まあ、覗くわけにもいかないので、仕方がないから

小太郎で遊ぶ事にした。

「小太郎…実は、俺な…」
「?」
「女なんだ…」
「!!!!!!?????」
「だから俺も二人と騒ぎたいな…今日、お休み貰ったんだ…」
「????????????????」

…んなわけねーのに

小太郎混乱しすぎだろ…!!!おもしれえ…!!!


「ははは!!!冗談だって!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!」

小太郎は佐助の胸倉をがしりと掴んで

「え?小太郎?」
「……」

ぐいぐいぐいと引っ張って、ある程度行くと

「う、わ」

思い切り投げた。

「なんて腕力!!!??」

体制を直して着地しようとすると

「う」
「な…」
「あ」

ばしゃああああああん!!!!!

大きな音を立てて、池に落ちた。

「佐助?大丈夫?」
「…何をしている」
「いやー…ははは…」

二人はすでに服を着て、帰る準備をしていた。

「の、覗こうとしていたのではないだろうな!?」
「ちげーよ…小太郎からかったら投げられた…」
「小太郎ちゃんが?」

すたっと、小太郎はの隣に現れた。

は小太郎の顔を覗いた。

「小太郎ちゃん、怒らせたんじゃない?佐助」
「あー、怒らせたかもねぇ…」
「自業自得ではないか…」
「そうだねえ…」

返す言葉がありません…

「佐助、とりあえずこっちに来なよ。予備のタオルあるから、脱いで服乾かしなよ」
「借りて良いならお言葉に甘えて」

ざばざばと池から出て、タオルを受け取り草陰で服を脱いだ。

「忍のくせに情けないなあおい…」

その間に三人が木の葉を集めて火を熾してくれていた。


「いや、悪いねぇ…」
佐助はタオル一枚で三人のもとへ。

「佐助、服ここの石の上で良いかな?」
「ああ、乾けば何でも良いや」

火の近くの岩に服を置いて、自分もその横に座った。

「いきなり現れて、こんな…」
「反省してますから…」

かすがの視線がすごい痛い…


「まあまあ、佐助、今日は何?お仕事?」
「休み貰ったから散歩してたのよ…そしたら小太郎の気配がしてさ…」
「休み?」
「ああ」
「気が緩みすぎだ」
「判ってるって…」
「佐助、今日休み?」
「…?うん。そう言ったでしょ?」

嬉しそうに繰り返すに、どうした?というような視線を向けると

「じゃあ今日は忍じゃないんだね!!!」

「「「?」」」

三人は首を傾げた。

「あれ?」
「忍じゃない…とはどういうことだ?」
「…だって、今日は仕事休みで…あ…」

は忍とは職種の一種という感覚でそう言ってしまったが、言って後悔した。

…生まれてからずっと、忍なんだっけ…

「仕事がないだけで、俺は忍だけど…?」
「そ、そうだね、ごめん」
「…?なんで謝るのさ?」
「な、なんとなく」

、変なのーと言って、佐助は笑った。


「…って、あれ?小太郎ちゃんは?」

気がつくと居なくなっている。

にいいものを取ってくると言っていたぞ?」
「いいもの?」
かすがが佐助の、火を囲んで向かいに座った。

「かすがも休みなの?」
「昼間はな」
「そうなんだ。よかったね、遊んでもらえて」
「うん!!」
もかすがと佐助の間に座った。


「小太郎ちゃん、何もって来るって?」
「お楽しみがいいだろう?そんなにそわそわしなくてもすぐに…ああ、ほら」

小太郎が近くの木から跳んできて、すたっと着地した。

「あ…それ」

腕には持てる限りのアケビを抱えていた。

「見つけたのか」
こくこく

風呂敷を敷いて、その上に置くと、ひとつひとつ佐助に渡した。

「…ん、ああ、回せってね?はい、
「はいはい。はい、かすが」
「有難う」
小太郎も1つもって、佐助の隣に座った。

「うわ、美味そう。ありがとな」
「……」

はきょろきょろと三人を見回した。
忍三人がぱかりと、口を開けた部分を開いた。

「…こう、か…」
も真似をした。

三人がぱくりと中身にかじりついた。

「…!?」

はとりあえず中の白い部分と種を触って観察した。

「…?、食べた事ないの?」
「あ、えーと…うん」

佐助がぺっと地面に種を吐き捨てた。

「種は食べないようにして、ここ食えばいいんだよ」
佐助がもう一個開き、に見えるように食べた。

「いただきます」
もぱくりとかじりついた。

「…!!おいしい!!」
「ならよかった」
「……」こくこく

がり!!

「種噛んだ!!!!!」
「吐いて吐いて!!!!」
「べっべっ!!!」
「ほら、水だ」
「あ、ありがとかすが…」

佐助の顔もかすがの顔も、を見て楽しそうに笑っていて

「……」
小太郎はなんだか嬉しい気分だった。




夕方になるとかすがは仕事だからと帰ってしまった。

佐助も服が乾いたので、そろそろ帰ることにした。

「楽しかったよ、佐助、ありがと」
「こちらこそ。いい休みになりましたっと」

お互いににこーっと笑って手を振り合った。


「…
「ん?」
「俺はずっと、忍だけど、でも、今日はちょっと忘れて遊んじゃった。こういうのもたまにはいいね」
「佐助…」
「俺の正直な気持ち」

正直なんて忍らしからぬ言葉だけど、俺は今に始まったことじゃないし

「佐助、また遊ぼうね」
「ん。また遊んでねー」


ひょいっと近くの木の枝に乗っかってもう一度に手を振って

帰ったらまず、旦那のところへ行こう、と思い、幸村の待つ館を目指した。

「旦那に良い土産話できたしー…」

……

………あ

…………と遊んだって言ったら、どうなるかな…

「…まあ、いいか」

なんだか今日は、素直な気持ちを喋りたい気分。

楽しかったって、伝えたい気分。

…やきもちやかれてもまあいっか…今日も明日も休みなんだし…

「………」






「旦那ー旦那」
「おお、佐助、戻ったか…ああ!!団子!?良き香りがする!!」
「お土産ー」

…これあげるから、俺が何をどんな顔して喋っても、まあ勘弁してくださいね、の気持ちをこめて。














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緑さまから頂きましたキリリク、
「忍3人衆。もしくは、苦労人佐助をどうにか」でした。
遅れて本当に申し訳ないです!!!!

忍三人はエリート育ちな気がしてこんな話になってます
かすががギリ出しました感が…!!すいませんすいません…!!
こんなのでよかったらどうぞ持ってってください…!!
緑様のみお持ち帰り可ですー